大学のクリスマスに関する話題をご紹介しようと思っていたら、完全に期を逃したマイスターです。
今さらクリスマスって感じでもないしなぁ……しまった。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【「赤字」の大学が増加。】
■「私大、3校に1校が赤字 07年度、私学事業団調べ 」(NIKKEI NET)
2007年度に年間の支出が収入を上回って赤字だった4年制私大が194校となり、全体の3校に1校に達したことが、日本私立学校振興・共済事業団のまとめで分かった。前年度より15校増え、過去最多を更新した。赤字校の数は10年前の4倍。小規模校を中心に少子化の影響を大きく受けた。大学を取り巻く経営環境は一段と厳しくなっている。
(上記記事より)
「私大の○割が定員割れ」というニュースは良く聞きますが、ほんの数人でも定員を下回れば形式上「定員割れ」なので、必ずしも経営状態が非常に良くない大学ばかりとは限りません。
ただ、重要な指標の一つではあります。
さて、上記は「赤字」大学の調査結果。
これもまた、大学の経営状態を考える上で、一つの指標になりそうです。
【日弁連、法科大学院の定員削減を提言。】
■「法科大学院の定員4000人に削減を 日弁連が意見書」(NIKKEI NET)
日弁連は24日、新司法試験合格率が想定を下回っている法科大学院の入学定員について「充実した少人数教育を実現するには(現在の全国計約5800人から)4000人程度に減少させることが考えられる」とする意見書を公表した。
意見書は「大規模校でも100人規模の削減」を求め、削減の指標として司法試験の合格実績を過度に考慮してはならないと主張。「(定員は)教育の機会均等の理念から、全国に適正配置されることが必要。地方の法科大学院の犠牲の上に削減が進められてはいけない」としている。
(上記記事より)
司法試験への合格実績がふるわず、定員割れを起こす法科大学院が増える中、日弁連が定員削減を提案する意見書を公表しました。
自然淘汰に任せるだけではなく、「大規模校でも100人規模の削減」を求め、地方の法科大学院を含め、全国に法科大学院が適正に配置されることを打ち出している点が特徴です。
(過去の関連記事)
■ニュースクリップ[-11/30] 「法科大学院、77%が『将来、教員不足も』」ほか
■平成20年新司法試験の結果が明らかに 各法科大学院の合格率は?
■受験者減 揺れる法科大学院
【平均の2倍は注意。】
■「奨学金滞納、校名公表に基準『延滞率』平均の2倍超」(読売オンライン)
大学生らに奨学金を貸与する事業を行う独立行政法人「日本学生支援機構」は22日、奨学金の返済が滞っている卒業生が多い学校の名前を公表する際の基準案をまとめた。
学校全体の「延滞率」が平均の2倍を超えた学校を公表する内容だ。来年2月までに学校側と調整し、早ければ2011年度末から公表を始める。
延滞率は、卒業後3年以内で奨学金の返済義務のある者の合計人数のうち、年度末時点で1日でも滞納している人数の割合とする。各校の延滞率から、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、専修学校専門課程の種類別に平均値を算出し、この2倍を超えていた学校は、同機構のホームページに学校名と延滞率、延滞者数を記載する。
小規模校は奨学生が少なく、わずかな延滞者数の違いで延滞率が大きく変わるため、一定規模以上の学校だけを対象にする案もあったが、「小規模校は逆に延滞者をなくすのも容易なはずだ」という観点から全学校を対象にすることにした。
延滞金は年々増加しており、3か月以上延滞がある奨学生に対する債権の合計は、2003年度末は1564億円だったのが、07年度末は2253億円に上っている。このため、同機構は「機構に推薦している学校にも返済の責任を持ってもらいたい」として学校名の公表を決めた。
(上記記事より)
日本学生支援機構の奨学金滞納者が増加している問題で、機構は、学校全体の「延滞率」が平均の2倍を超えた学校を公表する、という方針を打ち出しました。
大学名だけでなく、延滞率や延滞者数も記載されるとのことです。
(過去の関連記事)
■滞納者が増加 「日本学生支援機構」の奨学金
実質的に、機構の奨学金だけに頼っている大学も少なくないようですが、こんなご時世だからこそ、奨学金戦略を、学生募集に有効に活かすチャンスなのかな、という気もします。
※『プレジデント ファミリー』(2009年2月号)の「ファミリー情報局」に、日本学生支援機構の奨学金滞納に関する解説を書いています。よろしければご覧ください。
【どっちもすごい?】
■「<大学番付>清華大が13年連続1位をキープ―中国」(レコードチャイナ)
■「<調査結果>富豪OBが最も多いのは『北京大学』―中国」(レコードチャイナ)
中国を代表する2大学。
それぞれの評価を解説する記事がほぼ同時に掲載されていましたので、ご紹介します。
理工系中心の大学が最高の評価を受けるというのは、日本とは異なる点。中国では政治家にも理工系出身の人材が多く、その辺りとも関係しているのかも知れません。
その一方で、「だけどお金持ちは北京大学出身者」というのも、興味深いです。
(過去の関連記事)
■【キャンパス・ウォッチ】 中国の頭脳(1) 北京大学
■【キャンパス・ウォッチ】 中国の頭脳(2) 清華大学
【名門大に合格したら不起訴」に賛否両論。】
■「これも貧困対策?高3生の窃盗、「名門大に受かって不起訴」に―重慶市」(レコードチャイナ)
高校3年生だった李(リー)くんは、同級生や教師の間でも評判は良く、一流大学への進学も疑いないほど成績優秀で、物理学の全国テストでも賞をもらうほどだった。しかし、そんな李くんは家が貧乏で、お金を盗んだのは、一時の気の迷いからだったという。重慶市では800元(約1万500円)以上の窃盗は即立件される。李くんは警察に取り押さえられた。在学中の高校生による犯罪ということで、担当の検察官は慎重に取り調べを進めた。公訴すれば、少年が 3年以下の実刑になることは間違いなかった。
学校関係者も交えて李くんの取り調べが行われ、検察庁は「一流大学に合格する」ことを条件に、李くんの起訴見送りを決定。李くんは二度と犯罪を起こなさないことを誓約し、盗んだお金も弁済すると約束。被害者も、李くんを許すと話した。その後、李くんは大学入学のための統一テストを受け、浙江省杭州市のある一流大学に合格。これにより起訴見送りが確定した。現在、大学生となった李くんは感謝の気持ちを胸に勉学に励んでいるという。
(上記記事より)
司法取引の一種なのかと思いますが、これについては中国の法律関係者の間でも、意見が分かれているようです。
法に従って厳格に対処すべき、基準が曖昧だ、大学合格と犯罪には脈絡がない、などの反対意見がある一方で、少年は十分反省しており、罪を追及することよりも今後の可能性に期待するべきだとする肯定する意見も出ているという。
(上記記事より)
法律の原則からすれば確かに問題がありそうですが、結果的には良い状態に。
さて、みなさんはどう思われますか?
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。