内定を取り消された学生に対する大学の新たなサポート

マイスターです。

あまりにも報道が多いため、敢えて一つ一つをご紹介してはおりませんが、内定取り消し問題は相変わらずのようです。

(過去の関連記事)
■「内定取り消し」報道から就職の現状を考える
■内定取り消し報道が続く
■ニュースクリップ[-12/14] 「内定取り消し対策…助成金や企業名公表 厚労省あの手この手」ほか

国が調査を行うなど、少しずつ解決に向けた動きは出てきているようですが、学生さんにとっては、まだまだ安心できない時期が続きそう。就職活動も、大学院への進学も難しい時期に取り消しを通知される学生も少なくないようです。

そんな中、内定取り消しを受けた学生に対し、新たなサポートを打ち出す大学が出てきています。

【今日の大学関連ニュース】
■「内定取り消し学生の留年 授業料減額へ―青山学院大学」(教育情報サイトeduon!)

青山学院大学は22日、業績不振などを理由に来春就職予定の企業から内定を取り消された学生が、単位などの卒業要件を満たしていながらも留年して就職活動をする学際、授業料を大幅に減額する方針を決めた。この措置は来年度1年間の限定とし、景気状況などを踏まえて見直す。就職には新卒が有利とされるため、今年度内定取り消しとなった学生の経済面での負担を軽減し、就職活動を支援することが目的。
青山学院大学では卒業要件を満たしていると、たとえ希望しても留年できないが、今回は特別に在学を認めるという。同大はこれまでも、不足する単位がごく少ない学生には、授業料の一部を免除してきたが、内定取り消しで留年を希望する学生には、減額幅を拡大し、半額以下とすることを検討しているという。
(上記記事より)

青山学院大学の取り組みです。

昔から、就職活動で思うような成果を出せなかった学生が、わざと1年留年して再度「新卒」として活動を続ける「就職浪人」という言葉はありました。
しかし日本の大学の場合、このような場合であっても学費を1年分しっかりと払うことになり、経済的なダメージは小さくありません。

そこで青山学院大学では、内定取り消しにより在学を希望する学生については、学費を大幅に減額する方針を決めました。

もちろん本来なら、こんなことをせずにちゃんと卒業しても、変わらず就職活動を続けられる社会であるべきなのです。
しかし「新卒(予定者)」とそうでない者を区別している企業がある以上、「新卒」の肩書きを学生が気にするのも仕方のないことなのかもしれません。

ちなみに現在の経済不況は、世界中に影響を与えています。就職に困っているのは、日本の学生だけではありません。
お隣・韓国では、↓こんな対策をとる大学も出てきているようです。

■「就職できなかった…大学在学延長制度設置」(中央日報)

淑明女子大学が国内初で「学士後期課程」(Post-Bachelor Program)を運営すると23日、明らかにした。就職難がひどくなり、卒業を延ばす学部生が増えることによる措置だ。
キム・イルヒョン淑明女子大大学・学士支援チーム長は「来年2月に卒業する学生を含み、淑明女大学部卒業生たちを対象に3月から学士後期課程を運営することにした」と発表した。学士後期課程を申請した淑明女子大卒業生たちは最大2学期、1学期に最大3科目を聴くことができる。授業料は無料だ。
学士後期課程生は学生証も発給され、図書館、コンピューター室など校内施設も無料で利用できる。定員を限定するか、何年度卒業生から課程を許容するかなど詳細事項は冬休み中に決めるとしている。
淑明女子大の決定背景には就職難が長期化されることでわざと卒業を遅らせ、大学生の身分を維持する学生も増えている現実が定着していることにある。
(上記記事より)

■「就職浪人学生、講義1年間無料に 韓国名門女子大」(Asahi.com)

卒業に必要な単位を全部履修せず、来年も望んで大学に残るとみられる学生は346人に上り、昨年よりも50人以上増える見通しだ。
徴兵制のある韓国では卒業後に軍勤務を経て就職する男子学生も珍しくない。直ちに入社しなくても新卒扱いにするケースが多いが、企業側は特別の理由なしに就職を先延ばしする「新卒者」の採用を嫌う傾向があるという。
このため、卒業後も1年間は学生の身分を維持できる仕組みを編み出した。学び足りなかった講義を追加で受けたり、国内外のインターンシップ活動に参加したりできる。図書館などの教育施設や大学のインターネットサービスなども無料だ。大学にとって「赤字」になるため、同大の卒業生に限るという。
(上記記事より)

理由なく就職を先延ばしにする人材を企業が敬遠し、学生が「新卒」の肩書きにこだわる、というのは日本と似ています。就職活動の継続を目的に留年する学生が多いという点も同じでしょうか。

そこで韓国の名門女子大学、淑明女子大学が、ポスドクの学士課程版、「学士後期課程」(Post-Bachelor Program)と呼べるような制度を導入したのだそうです。
(ポスバチェ?)

学び足りなかった授業を履修したり、他の在学生と同様にインターンシップに参加したり、図書館やコンピューターなどが利用できたりということで、ただ先送りにするのではないという点がポイント。
そういう点では、意味のある1年間です。
これを無料で行うというのですから、大学側も思い切ったと思います。

日本でも、(無料で行われるかどうかはともかく)同様のコースやプログラムを作ったら、注目を集めそうな気はします。

……というか本来なら、卒業条件を満たした後も、履修する授業分の学費を払いながら、本人の意思がある限り学び続けられるような社会であってほしいですね。
「大学は4年間で卒業するもの。そうでないケースは何か問題があるに違いない」なんていうのが現在の日本社会の、なんとなくの共通認識だと思いますが、学びってそういうものなのかな、とたまに思ったりします。

というわけで、日韓それぞれの話題をご紹介しました。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。