マイスターです。
出張している間に、気づけばもう日曜日。
今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【center of excellence】
■「大学支援60件が目的十分達成 文科省、事業の事後評価」(47NEWS)
文部科学省は19日、世界的な教育研究に取り組む大学を支援する「21世紀COEプログラム」のうち2003年度に採択され、5年間の事業を終えた54大学計130件の事後評価を公表。「目的は十分達成された」とする最高評価は60件だった。
大学別では東京大が8件、京都大が6件、大阪大が5件、東北大が4件など。「惑星系の起源と進化」をテーマとした神戸大の研究は若手研究者らを対象に講義を開き、人材育成に貢献したことなどが評価された。
2番目に優れた評価の「目的はおおむね達成」は60件、「ある程度達成」は10件だった。
(上記記事より)
平成15年度「21世紀COEプログラム」の事後評価が公開されました。
各校の評価結果は、↓こちらから閲覧することができます。
■「21世紀COEプログラム:事後評価結果(平成14年度、平成15年度採択拠点)」(日本学術振興会)
事業ごとのレポートがPDFで用意されており、その最後のページに評価が載っています。
「第三者評価に基づく競争原理により、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進する」ことが21世紀COEプログラムの狙い。
各拠点が、「center of excellence」の名にふさわしい実績を上げられたのかどうか、相互にチェックしてみることが大切です。
【一般の学生さんは食べ過ぎに気をつけて。】
■「『アスリート定食』体力もりもり 立命大各運動部と大学生協スクラム」(京都新聞)
立命館大の各運動部が大学生協と協力し、選手向けの特別メニュー「アスリート定食」を学生食堂で部員に取らせて、体力強化に努めている。今季はその成果か、体格が勝敗の重要な鍵になるアメリカンフットボール部やラグビー部が好成績を挙げており、全国大会などを前に関係者は「食事改善の効果で、大学日本一奪取を」と期待している。
(略)アスリート定食のメニューは同生協の奥井智美栄養士(29)が中心になって作成。激しい練習をこなす選手のために、エネルギー源となる炭水化物を多めにするほか、筋肉のもとになるタンパク質も豊富に盛り込んでいる。奥井さんは食事中に選手とコミュニケーションを取り、体調管理の相談にも乗る。
(上記記事より)
大学をあげての取り組み。
考えてみれば、スポーツをしている学生にとって、食事はとても重要です。
正協の学生食堂はもともとメニューも豊富で、学生は各自で自分の食事量を調節していると思いますが、栄養士の方が特製のメニューを学食で用意してくれるというのは心強いでしょうね。
【日本政府、着々と世界各国に大学を設立?】
■「マレーシア?日本大学が設立、来年7月より開講」()
マレーシア教育省と日本政府が共同で設立する、「マレーシアー日本大学(MAJU)」設立がこのほど内閣閣議で承認された。ノー・オマル企業家共同組合開発相が明らかにした。
同大学は国民信託評議会(MARA)の管轄下におかれ、臨時のキャンパスがセランゴール州ベラナンのマラ工科大学(UiTM)内におかれる。日本政府が15人の教授を派遣、工業技術を講義する。2009年7月に第1期生70人が入学する予定だ。カリキュラム、設備は日本の大学に準拠するが、講義は英語で行われる。
(上記記事より)
日本政府が、マレーシアの教育省と共同で、大学を設立することになりました。
日本から教員を派遣し、日本の工業技術を教えるとのことです。
(過去の関連記事)
■ニュースクリップ[-11/30] 「法科大学院、77%が『将来、教員不足も』」ほか
最近、エジプトでも同様の大学が設置されたばかり。
日本政府の、未来を見据えた投資戦略でしょうか。
現地の大学で双方の人材交流が起こりますし、卒業生が日本の大学や大学院に進学したり、日系企業に勤めたりといった、さらなる交流にもつながるかも。
また、日本の技術教育を世界のスタンダードにするという意味合いも生まれそうです。
こうした戦略は、非常に重要だと思います。
それに何より、日本の技術が、他の国の発展のために使われるというのは素敵です。
環境に配慮した工業生産技術など、日本が教育を通じて世界に貢献できる分野はたくさんあるでしょう。
多くの技術者がここから生まれるといいなと思います。
【総長、教員の実績を自らスウェーデン関係者に売り込み。】
■「京大底力“ノーベル級”PR 松本総長、授賞式時に」(京都新聞)
今年のノーベル物理学賞を受賞した益川敏英、小林誠両氏に続いて京都大からノーベル賞受賞者を出そうと、松本紘総長がノーベル賞授賞式に合わせてスウェーデンで関係者に京大の研究者を紹介するパンフレットを配った。19日に記者会見で明らかにした。
松本総長は、京大名誉教授の益川氏の関係者として今月10日の授賞式に出席、医学生理学賞を選考するカロリンスカ研究所などを訪問し、京大の研究者を紹介する「トップセールス」を行った。
パンフレットは、ノーベル賞や「数学のノーベル賞」と呼ばれるフィールズ賞、「ノーベル賞の登竜門」とされるラスカー賞などを受賞した日本人を紹介。湯川秀樹博士ら京大関係者には京大のマークを記して日本の「トップ大学」であることを強調している。
(略)会見で授賞式への出席について報告した松本総長は「日本は欧米にひけをとらない研究をしているのに、情報を伝える努力が足りない」とし、今後も京大をはじめ日本の研究を世界にアピールしていくことを強調した。
(上記記事より)
授賞式関連の報道の裏で、総長がしっかりトップセールスを展開していました。
効果がどのくらいあるのかはわかりませんが、このような情報発信の姿勢は非常に大事だと思います。
【短くする、という選択。】
■「臨床研修、1年に短縮を提示 医師不足で厚労、文科両省」(47NEWS)
医師不足の一因とも指摘されている医師の臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省は18日までに、現行2年の研修期間を実質1年に短縮するなど現場で働く医師を確保する見直し案をまとめ、厚労・文科合同の専門家検討会に提示した。検討会はこうした方向で議論し、年度内にも結論を出す。早ければ2010年度からの導入を目指す。
現行では、医師免許取得後2年間で7つの診療科の研修が必須だが、見直し案では、1年で内科や救急などの基本となる診療科の研修を終了、後半1年は将来専門とする診療科に特化させ、現場で診療も担わせる。
また、診療科ごとの偏在を招かないよう、小児科や産科など医師不足が著しい科でも一定の研修医を確保できるよう対応を検討する。地域偏在解消については、募集定員に地域ごとの上限を設けたり、地域医療の研修を一定期間必須にすることを盛り込んだ。
(上記記事より)
以前から医師不足の原因として注目されていた、新しい臨床研修の制度。
その見直し案が出されました。
(過去の関連記事)
■研修医の大学離れが進んでいる?
■研修医を大学に戻す施策
新臨床制度の見直しは必要だと思いますが、2年の研修期間を1年に短縮、というのがベストな解決法なのかどうかは、わかりません。
素人目には、医療現場のピンチを解決するために研修を短くするというのは、ちょっと本末転倒のような気もしないでもないのですが、それくらい考え直さないと問題が解決しないくらいの現状だということでしょうか。
「診療科ごとの偏在を招かないよう、小児科や産科など医師不足が著しい科でも一定の研修医を確保できるよう対応を検討する」
……というあたりも、詳細が気になるところです。
どういう方法になるのでしょうか。うーむ。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。