ニュースクリップ[-12/7] 「山学大法学部 『特進コース』設置を撤回 法科大学院の“予備校”になる恐れ 学内に慎重論、募集中止」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【有力法科大学院への特進コースはダメ?】
■「山学大法学部 『特進コース』設置を撤回 法科大学院の“予備校”になる恐れ 学内に慎重論、募集中止」(山梨日日新聞)

山梨学院大は5日、来年度から法学部に設置を決めていた難関法科大学院への進学を目指す「特進コース」の募集を中止すると発表した。法学部のレベルの底上げなどにつなげようと打ち出した、来春入試の“目玉” だったが、司法試験予備校の有名講師を招き、特別カリキュラムで徹底した司法試験対策を行うことに、学内から「法学部が法科大学院の“予備校”になりかねない」と慎重論が出たことが要因。同大学は「急な中止決定で受験を考えてくれていた人に申し訳ない」としている。
(略)同大学によると、10月30日に文部科学省などによる法科大学院教育の改善にかかわるヒアリングがあった際、同コースの設置が「司法制度改革の趣旨に沿わない恐れがある」とのアドバイスがあったという。
(上記記事より)

山梨学院大学法学部が設置を計画していた「特進コース」については、以前の記事でもご紹介していました。

■「難関法科大学院」進学コースを開設? 山梨学院大学法学部

が、その後、このコースの設置計画自体が撤回されたそうです。
いくつかの報道によると、文部科学省から「司法制度改革の趣旨に沿わない恐れがある」と指摘を受けたことが直接の要因だとか。

法科大学院については、多くの大学院が定員の見直しを検討しているようです。

(過去の関連記事)
■法科大学院9割が定員見直しへ

【大学のATMがリストラ対象?】
■「県内の病院や大学で、撤去されるATM 効率化の一環」(信毎Web)

県内の病院や大学などから現金自動預払機(ATM)が徐々に撤去されている。金融機関にとっては効率化の一環だが、近くに金融機関がなかったりする場合もあり、不便を感じる人も少なくない。署名活動で撤去が延期になったケースがある一方、ATMがなくなったことでクレジットカードでの支払いを導入する病院も出ている。
信大農学部(上伊那郡南箕輪村)では、2006年に日本郵政公社(当時)がキャンパス内唯一のATMを08年3月で撤去すると決めた。だが、学生が署名を集めて「存続運動」を展開、現在もATMは稼働している。「学生の熱意が伝わった」と同学部担当者。4年の男子学生(22)は「キャンパス内にATMがないと困る人もおり、撤去されなくて良かった」と喜ぶ。
(上記記事より)

「近くのコンビニにATMがあるのだから、キャンパス内のATMは撤去してもいいでしょ」
……という形で、大学や病院のATMを減らしているという話題。
長野の話題ですが、他の地域にも当てはまるかもしれません。

確かにコンビニはたいていATMがありますし、また明治大学が「SUICA」機能を備えた学生証を発行するなど、大学内でも電子マネーを使う動きも拡がっています。
この金融不況の折、こういった動きも仕方がないかもしれません。

ただ、キャンパス内にATMがあるおかげで助かっていることもあるでしょうから、若干不便にはなると思いますが……。

【町おこし。】
■「箱根駅伝ミュージアムで各大学のグッズが人気に-開催まで1カ月」(小田原箱根経済新聞)

箱根駅伝ミュージアム(箱根町箱根、TEL 0460-83-7511)で販売されている各大学のグッズが人気を呼んでいる。
箱根駅伝の往路ゴール地点であり、復路スタート地点でもある同施設は、各大会の名シーンを記録した貴重な写真や、往年の名選手たちが実際に使用した品などをテーマごとに分けて12のゾーンに展示し、「過去84回にわたる箱根駅伝の歴史やドラマをより楽しんでもらうため」(同社)に富士屋ホテルが主体となり、2005年にオープンした。
館内では、「足跡まんじゅう」(840円)や、走り終えた選手に渡される「大判タオル」(5,000円)、「各大学襷デザイン入りTシャツ」(3,000円)などの同施設オリジナルグッズや各大学に行かなければ購入できないプレミアムグッズなども販売している。中でも各大学の携帯ストラップは年間を通じて人気の商品。
(上記記事より)

■箱根駅伝ミュージアム

本番にはチームの他、応援団や大学関係者、メディア関係者が宿泊に来るし、沿道の見学者も食事やお土産を買うでしょう。
箱根駅伝って、実はちょっとした町おこしになっているのですね。

こんなミュージアムがあるというのも、その一環なのだと思います。
グッズも好評だとのこと。確かに売れそうです。

【どうやって置いたの?】
■「ケンブリッジ大学のてっぺんにサンタの帽子が…、消防車3台出動する騒ぎに」(らばQ)

ケンブリッジ大学のカレッジの1つである、ゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジ(Gonville and Caius College)で、学生がジョークにサンタクロースのあの赤い帽子をカレッジのゲートのてっぺんにかぶせてしまったのでした。
このコミカルとも言えるこのいたずらを大学側はユーモアとは思わなかったようです。
すぐに帽子の撤去をする措置を取るのですが、なんと3台の消防車で10人以上の消防士が1時間以上かけて、ようやく帽子を取り外したとのことです。
地元の人は「大きな火事でもあったのかと思った」と言い、サンタクロースの帽子が救い出されるまでに、油圧式のはしごとかなりの時間がかかったそうです。
周りには人だかりが出来、一時的に道路も閉鎖したため渋滞を招く事態となりました。
いったい誰がどうやって帽子をかぶせたのかは謎のままらしく、特にこのゲートのてっぺんに登るのは不可能だとされています。
1937年に発行された「The Night Climbers of Cambridge」(ザ・ナイトクライマー・オブ・ケンブリッジ)と言う本があり、それを参考にしたのではないかと推測されています。
(上記記事より)

マサチューセッツ工科大学の「MIT Hack」や、京都大学の折田先生像のように、ジョークでキャンパスにいたずらを仕掛ける学生は、世界中にいるようです。

(過去の関連記事)
■京大の有名人 折田先生(像)

そんなわけで上記は、ケンブリッジ大学で起きた出来事です。
リンク先に写真が掲載されていますので、よろしければご覧下さい。

「The Night Climbers of Cambridge」なる本が出版されているという点も驚きです。

【キャンパス入校制限に賛否両論。】
■「北京大学が『鎖国』?入校制限に内外の意見割れる―中国」(レコードチャイナ)

2008年12月1日、四川在線によると北京大学の入校制限が物議を醸している。北京五輪以来、同校では入校制限が行われていたが、学生および学内関係者は学生証などのID認証を経なければ学内に立ち入ることができない。学生ら大学関係者はこれを歓迎しているが、外部からは反発する声があがっている。
ネット上の掲示板に12枚の写真を添付したスレッド「現地撮影:堕落した北京大学、なぜ閉鎖的に?」が置かれ、物議をかもしている。これによると、校門では警備員が学生証確認を行っており、長蛇の列ができている。また、学外者は入校の事前予約をしなければならない。
入校制限賛成派は「北京大学は中華民族の誇り。歴史的な民族の象徴なのだから保存に努めなければならない。また、それ以前に大学は在校生のものである。学外者が学内をふらふら歩いたり、ベンチに居座ったり、自習室に席を取ったりというのは、学習や研究の妨げになる」などと主張する。学生、教職員の 86%はこの「鎖国」に賛成だ。
一方、反対派は学外者に多い。「蔡元培(さい・げんぱい/政治家、教育家)が初代総長を務めたとき、自由や開放を学風としていなかったか?」と北京大学精神の「衰退」を懸念する。
(上記記事より)

日本でも、大学キャンパスを学外に開放するかどうかは、大学それぞれで方針が異なります。
「門のないキャンパス」をアイデンティティとする大学もありますし、そうでないところもあるでしょう。前者の場合、学生や教職員が「開放されたキャンパス」を誇りにしているケースが結構あるような気がします。
先端的な機密を扱う研究棟では入口にID認証を設けるなど、建物単位で部外者をシャットアウトしている大学も多いでしょうか。

さて、オリンピック以降、北京大学では上記のような入校制限が実施されているようです。
学生や教職員側の大多数は入校制限に賛成しており、学外の「反対派」と意見が分かれている様子です。

同大は広大なキャンパスを持ち、その一部は伝統ある公園。市民はもちろん、観光客の中にも、構内を見学したいという方は多いでしょう。

(過去の関連記事)
■【キャンパス・ウォッチ】 中国の頭脳(1) 北京大学

セキュリティも大事ですし、学生や教職員の環境を最優先すべきなのは確か。
一方、大学が市民から長く愛されていた存在であるわけですし、大学の開放度がそのままその大学の成長力、競争力につながっていくという側面もあるでしょう。

賛否両論ありそうですが、関係者はどのような結論を出すのでしょうか。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。