韓国で大学入試がスタート 軍も警察も企業も、入試に全面協力

マイスターです。

大学入試センター試験まで、あと2ヶ月程度となりました。
一般入試に挑戦する受験生の皆様、および保護者の皆様は、本番に向けて段々緊張感も高まってくることかと思います。

さて、ここ数年、今の時期にニュースで取り上げられている話題があります。
それはお隣、韓国の、「大学修能試験」。

韓国版の大学入試センター試験とよく例えられますが、社会の中でのインパクトは、もっと大きいようです。

【今日の大学関連ニュース】
■「軍隊から証券取引所まで、韓国全土で「大学入試シフト」」(AFPBB News )

韓国では13日、日本の大学入試センター試験にあたる「大学修学能力試験(College Scholastic Ability Test、CSAT)」が実施されることにともない、通勤時間帯や飛行機の発着時間、さらには証券取引所の開場時間までもが変更になった。
CSATは韓国社会において、将来の職業選択にも関わってくる非常に重要な試験で、当局によると約59万人が受験した。試験会場前では、親たちが子どもの健闘を願って熱心に祈りをささげる様子が見られた。
ソウル(Seoul)近郊の仁川(Incheon)では、受験生の母校の後輩や卒業生が試験会場となった高校の前に並び、受験生にコーヒーや紅茶を手渡しながら声援を送った。
韓国軍参謀本部の広報官によると、試験中は韓国全土で軍事演習が停止されるとともに、外国語のヒアリング試験の際は、騒音を出さないように軍用機の飛行は取りやめられたという。
韓国の主要空港、仁川空港では、受験生が最初の音声試験を行っている13分間、同空港への到着便7機が高度1万フィートで待機していたという。
通勤ラッシュによって受験生が遅刻しないように、証券取引所や政府機関、多くの民間企業では通常より1時間遅い始業となった。

ソウルにある大統領官邸、青瓦台(Blue House)では、金潤玉(キム・ユンオク、Kim Yoon-Ok)大統領夫人が、CSATを受験する子どものいる青瓦台職員にもちを配ったと報じられた。
もちは、その粘りが成功への粘りを象徴していて縁起がいいと、CSAT受験日には飴とともに好んで配られている。
(上記記事より。強調部分はマイスターによる)

そんなわけで、国を挙げて受験生を応援する、韓国の入試風景です。

実際の様子については、↓このあたりのサイトの写真がご参考になるかと思いますので、よければご覧下さい。

■「大学修学能力試験 受験生の登竜門『修能試験』は、韓国のセンター試験!!」(SEOUL NAVI)

■「韓国の受験は日本以上にキビシイ!?~修学能力試験」(konest.com)

■「【NOW!ソウル】今日が勝負の日!頑張れ受験生!」(中央日報)

日本でも、リスニング試験の間に交通規制をかけたり、米軍に演習をやめるよう申し入れたりといった動きがありましたが、韓国はさらに徹底しているようです。
パトカーが受験生を送迎するというのは、少し過保護な気がしないでもありませんが、好例の取り組みとして全国各地で行われているようです。

後輩による応援合戦も盛ん。
↓こちらに動画がありますが、お祭りのように盛り上がっています。

■「韓国で大学入試 例年通りパトカーが動員されるなど大がかりなものに」(FNN)

国を挙げての熱烈な応援で知られる韓国の大学入試が13日に行われ、例年通りパトカーが動員されるなど、大がかりなものとなっている。
ソウル市内の試験会場前では、早朝から受験生の後輩たちが集まり、応援合戦のような様相となっている。
(略)北京オリンピックの影響か、2008年は重量挙げのパフォーマンスも登場するなど、金メダルの韓国選手にあやかり、受験生を励ましていた。
(記事より)

↓応援への熱意に乗じてか、応援グッズの販売も盛んです。

ロッテ百貨店浦項店の地下食品売り場で10日、今月13日に行われる大学修学能力試験(日本の大学入試センター試験に相当)を前に受験生のためのもち菓子や水あめなど、高得点を祈願する商品を販売している
「頑張れ、受験生!」(朝鮮日報)記事より)

高校の後輩だけではありません。

本人の努力を一番間近に見てきたのは、保護者の皆様。
本人の成功を一番願っているのもやはり、保護者の皆様。
そんなわけで、合格への祈りも、かなり本格的です。

釜山(プサン)から来たというある受験生の父兄(47)は、「息子が体調よく試験を受け、希望する大学に進学することを祈った」と言って、三千拝を続けた。大邱(テグ)から来た別の父兄(52)は、「浪人の娘が今年は必ず名門大学に合格するように、100日間の祈祷中だ」と話した。
管理寺社の禅本寺(住職=ヒャンジョク僧侶)側は、「週末の1、2日に、約3万人が訪れた」と推算した。住職は、「雪や雨の中でも、祈祷を止めない信徒たちを見ると、畏敬の念をおぼえる。子どもの合格を願う親の心をちゃんと理解できる子どもはなかなかいないだろう」と話した。
「修能まで10日、合格祈る父兄たちの八公山祈祷 」(東亜日報)記事より)

2009年度修学能力試験(日本の大学入試センター試験に相当)まであと10日余りに迫った2日、受験祈願の地として全国的に知られている八公山(慶尚北道慶山市瓦村面)冠岩の様子。受験生の保護者たちが多数、子供の合格祈願のため訪れた。
「大学入試目前、高得点を祈る親たち」(朝鮮日報)記事より)

韓国は、学歴社会だとよく言われます。
どの大学出身であるかということが、後々まで影響を与えるのだとか。
(もっとも、これは現時点までの話であり、実際に今後の韓国社会で学歴がどう扱われるかは分かりませんが)

そんな「出身校」への強いこだわりが、これらのような熱気のもとになっているのかも知れません。

■「今日受験するスターは誰?!」(K-PLAZA.com)

↑芸能人の受験状況まで記事になっています。

そんな韓国ですが、最近では大学や大学院を卒業しても職を得られない方が増加するなど、「大学後」の問題が深刻化しています。
またカンニング行為や、試験後に自殺を図る受験生など、苛烈な受験競争による各種の問題が指摘されることもしばしば。
現状の大学入試を廃止することを公約に掲げる政治家も登場しました。

日本でも、入試改革の中で、今も様々な制度の是非が議論されていますが、どのような試験制度が適切かという問題は、各国それぞれの、永遠のテーマでしょうか。

以上、韓国の話題を見て、そんなことを思ったマイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。