大学の動画活用事例:嘉悦大学 ニコニコ動画に教育機関では初の公式チャンネルを開設

マイスターです。

動画を活用する大学の事例をご紹介している関係上、この話題は取り上げないといけません。

【今日の大学関連ニュース】
■「ニワンゴ、ニコニコ動画の公式動画に嘉悦大学の公式チャンネルを開設」(日経プレスリリース)

株式会社ニワンゴ(本社:東京都中央区、代表取締役:杉本誠司)が運営する、WEB サイト上で再生される動画に対しリアルタイムでコメントを付けられる「ニコニコ動画(秋)」( http://www.nicovideo.jp/ )の公式動画コーナーにて、教育機関としては初めて、学校法人嘉悦学園 嘉悦大学(東京都小平市、学長:加藤寛)の公式チャンネル「kaetsutv」を11月6日(木)より開設します。
公式チャンネル「kaetsutv」では、「カトカン」こと、嘉悦大学の加藤寛学長が、現在の社会、教育情勢を背景に、若者に対してメッセージを送る動画を中心に配信します。
公式チャンネルのオープニングを記念した動画では、「学問は学問、ネットはネット、というように縦で切り分ける時代ではない。もっと柔軟な思考を持ちたい。大学がニコニコ動画で情報を発信する時代になった。世界中の生の情報を縦横無尽に取得し、活用できる。こんな素晴らしいものを活用しない手はない」といった要旨で、加藤学長からメッセージが語られています。
嘉悦大学では、「皆で、まじめに賑やかにディスカッションする」ことができる新しい映像メディアとして、「ニコニコ動画をアカデミックに活用したい」と考えています。大学と社会の新しいコミュニケーションを築くために、公式チャンネル「kaetsutv」を開設します。
(上記記事より)

嘉悦大学が、「ニコニコ動画」に公式チャンネルを開設したとのことです。

YouTubeを活用する大学が増えてきている中、嘉悦大学はいち早く「ニコニコ動画」に注目。
学長の加藤寛氏自らが登場し、様々な社会の状況について語る「加藤寛の『怒るな働け』」シリーズを展開してきました。

(参考:過去の関連記事)
■「動画投稿サイトで大学をPR(3):ついにニコニコ動画を広報に活用する大学が登場」

↑以前の記事でもご紹介しましたが、現時点で「ニコニコ動画」を広報に使おうとする組織は、企業も含めてかなり珍しい存在です。
「ニコニコ動画」の特徴は、映像に対するコメントを、ユーザーが自由に書き込める点。
使い方によってはYouTube以上に話題を集められるのですが、批判を集めて火だるまになったり、中傷のようなコメントがあふれ、かえってブランドが傷つくリスクもないわけではありません。

嘉悦大学も加藤学長も、敢えて、そんなステージを選んだわけです。

過去にアップされた「加藤寛の『怒るな働け』」シリーズでは、今の政治や経済について、具体的な政治家の名前も出しながら、学長が大胆に批判する場面もアップされていました。
良い意味で挑発的な内容で、それが「ニコニコ動画」に合っていたように思います。

考えてみれば大学というのは、政治やメディアの圧力に屈せず、社会に対して知的に提言を行ったり、また学術的成果に裏付けられた批判を行ったりする方々が集まっているところ。
そういう意味では、ニコニコ動画は企業や政党よりもむしろ大学に合っているのかも……と、マイスターは加藤学長の映像を見て思っておりました。

そんな過去何度かの映像アップで手応えを感じたのか、嘉悦大学がいよいよ、公式チャンネルの開設に踏み切りました。

■「ニコニコ動画(秋)」

↑「ニコニコ動画」TOPページで、メニューの「公式」をクリックすると、公式チャンネル一覧が表示されます。

26ある公式チャンネル(2008.11.11現在)の中で、確かに教育機関は嘉悦大学だけ。
……というか、嘉悦大学以外は基本的に、政党とエンターテイメント系しかありません。
とても、というか、かなり目立っているように思います。

現在は、

「政治」
 ↓
「嘉悦大学」
 ↓
「エンターテイメント系」

……という並びになっています。
これはアクセス順などではなく、ニコニコ動画運営サイドが設定した順番だと思われるのですが、「政治」と「エンターテイメント」の間というあたりが、ニコニコ動画における「kaetsutv」の位置づけをよく表しているように思います。
自動的に画面の上の方に出てきますし、なんていうか、おいしい位置です。

映像の内容については、↓こちらからご覧下さい。

■「kaetsutv」(ニコニコ動画(秋))

加藤学長は、ニコニコ動画において、嘉悦大学の校訓を冠した動画「『怒るな働け』シリーズ」を8月11日から公開している。さらに、 kaetsutvの最初の動画では、「麻生さんや小沢さんも公式動画を始めたが、あの2人はニコ動には適合しない」などと話す。また、「ニコ動の魅力はユーザー同士の横の広がり。これからは、横のつながりでお互いを刺激し合い、世の中にメッセージを発信することが重要」とコメントしている。
「ニコ動に嘉悦大学が公式チャンネル、教育機関初 」(INTERNET Watch)記事より)

公式チャンネルになっても変わらず、なかなか刺激的な内容です。

以前から展開している「加藤寛の『怒るな働け』」シリーズの映像は、再生回数が多いもので、大体4,000回弱。
これに対し、公式チャンネルにアップされた1本目の映像は、既に再生回数が1万5,000回を超えています(いずれも2008.11.11現在)。
「ニコニコ動画」公式チャンネルという、メディアの力が大きいのでしょう。

ちなみに大学に関係がない、あるいはもともと関心を持っていなかったユーザーもアクセスしたからなのか、以前からの動画に比べて若干、いわゆる「煽り」や、内容に無関係なコメントも増えているように感じました。
ただ、最初の1本ですし、これは当然です。

テレビCMでも何でもそうですが、こういったものは基本的に「そもそも深く関心を持っていない」人に見せることに意味があるわけですから、むしろ大学としては手応えを感じる部分なのではないかとマイスターは思います。

こういった「大学には関心がないけれど、映像は視聴している」というユーザーに対して今後、どのように大学がアクションを起こせるのかが、公式チャンネル化のポイントになってくるのでしょう。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • ニコニコ動画は新しい大学広報の可能性を秘めていると思いますが、学生募集にどの程度役立つか?ということについてはまだ未知数です。
    むしろ大学のプレゼンスを高めるために使った方がいいのかも知れませんね。投げかけ的なアプローチが可能な分、どんなリアクションが帰ってくるのかを確認できますし、「こうした投げかけに高校生はどう反応するか?」というコミュニケ-ションツールとして使えます。
    他の大学でも導入が進めば、よりニコニコ動画での大学広報も洗練させてくるように思いますが、どうでしょうか。