ニュースクリップ[-10/26] 「専門学校に大学並み位置付けも 文科省会議が報告書案」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【専門学校と大学の境界がよりあいまいに?】
■「専門学校に大学並み位置付けも 文科省会議が報告書案」(47NEWS)

文部科学省の検討会議は20日、主に職業教育を担っている専修学校のうち、一定の水準を満たす専門学校や高等専修学校に新たな学校種を設け、学校教育法第1条が「学校」として規定している小中高校や大学などの学校種と同じ「1条校」に位置付けることを重要課題に挙げた報告書案をまとめた。
高卒を対象にした専門学校には、2007年度の新卒者の15%が入学。大学に次ぐ進学先として定着するなど高等教育の一端を担っている実態を考慮した形で、大学、短大などを含めた職業教育全体の中で、専門学校などの位置付けを検討するよう求めた。
(上記記事より)

専門学校が1条校に位置づけられるかもしれない、という報道です。

大学や短大だけでなく、専門学校でもここ数年、様々な制度改革が行われています。
今では4年制課程も多く、またそこから大学編入や大学院への進学も認められています。
上記の報道も、「実質的に専門学校は高等教育の一端を担っているのでは」ということから出てきた話でしょうか。
この方針が実現すれば、専門学校にも私学助成金が出たりすることになりそうです。

ちなみに韓国ではかつて、高校への進学者が急増したことに対処するため、100校の専門学校をいっきに「専門大学」という高等教育機関に昇格させたことがありました。
現在、韓国の高等教育進学率は8割以上ですが、その約半分は、専門大学への進学者だと聞きます。
学術研究的な学びを中心とした4年制の一般大学に対し、より実践的な学びを行う2~3年制の専門大学、という位置づけです。
日本の高等教育でも、そんな棲み分けがされるようになるのでしょうか。

日本では、従来なら専門学校が教えてきたような分野に大学が進出してきているように思いますが、専門学校が大学に近づいたら、両者の境界はさらにあいまいになってきそうです。

【キャンパス内に本格的なパン工房。】
■「北海道で初めて キャンパス内にパン工房 大学会館内に焼きたてパンが楽しめるカフェベーカリーが誕生」(札幌大学)

昨年迎えた大学創立40周年を記念して、学生食堂が入る大学会館(愛称:リンデンホール)の2階部分を、焼きたてパンが楽しめるカフェベーカリーに改装し、10 月20日(月)オープンしました。焼きたてパンを提供するパン工房をキャンパス内に設けるのは、道内で初となります。
愛称は、「Cafe&Bakery Palette」。大学内の公募により決まりました。いろんな色が混ざり合う画材のパレットのように、いろんな人が混ざり合う場所という意味が込められています。
パンはすべて店内で焼き、やわらかいロールパンにエビフライを乗せたエビフライロールや、パン生地にラムレーズンをたっぷり練り込んで甘く焼き上げたパン・オ・レザン、一口サイズのミニ・クロワッサンなど、約40品を販売しています。
(上記記事より)

ありそうで、意外にない存在です。
購買部などで買ったおにぎりやパンを、外で食べる学生も多いでしょうから、本格的なパン工房はよろこばれることでしょう。
ちょっとうらやましいです。

【一般的な社会常識との乖離を指摘される。】
■「通勤手当2億6千万円が節約可能 大学職員など」(47NEWS)

会計検査院は22日までに、国立大学などが交通機関を利用する職員に支給した通勤手当について、支給額の算定基準が不適切として、2006、07両年度で計約2億5902万円が節約できた、と指摘した。
(略)検査院によると、国は04年、一般の会社の大半が最も安い6カ月定期券を基に通勤手当を支給している実態を踏まえ、支給額の算定基準を1カ月定期券から6カ月定期券に変更。
しかし、京都大などは、年度途中の採用や退職、転勤により返納などの事務手続きが煩雑になるとして、1カ月定期券の価格のまま算定を続けていた。
検査院は「算定基準を一般の社会情勢に適合するよう定めなければならない」と改善を求めた。
(上記記事より)

ホテルのバーを安いというのは国民の感覚から乖離していないか、と首相が指摘されたりしていますが、大学業界も、常識のズレを指摘されてしまいました。
「事務手続きが煩雑になる」というのは、行政などでもよく聞かれる言葉ですが、一般社会の感覚からしたら、「面倒くさいからやりたくない」とほぼ同じに聞こえてしまうかも知れません。

【大学生×コンビニのコラボが続々と。】
■「 ローソン、大学生と考えたお弁当2メニューを期間限定で発売」(コンビニパーク)
■「石川・富山の3大学考案の弁当を発売へ」(北陸朝日放送ニュースヘッドライン)
■「コンビニ大手2社、北陸3県の大学と弁当を共同開発」(NIKKEI NET)
■「共同開発した大学弁当の試食会」(KNB web)
■「女子大生考案の弁当発売 ファミマ、かつめしなど 」(神戸新聞)

先日、↓こんな記事で、沖縄ファミリーマートの取り組みをご紹介させていただきました。

■沖縄6大学が商品開発勝負! 沖縄ファミリーマートによる実戦型インターンシップ

その後、続々と、コンビニ×大学のコラボ企画が全国で。ファミリーマート、ローソン、サークルKが展開しています。
沖縄ファミリーマートの取り組みは昨年から行われていますが、他社も参考にしているのかも知れません。何にしても、各地域と結びついた企画がコンビニで行われるのは、楽しそうです。

【高校生のメタボ研究。対象は教員?】
■「「先生!おなかは大丈夫?」メタボ撲滅 高校生研究…京都」(読売オンライン)

京都府立城陽高(城陽市)の2年生11人が府立医科大などの研究者らとタッグを組んで、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善法を探る実践研究に取り組んでいる。同高教諭らが被験者になり、3週間の取り組みで3キロ以上体重が減った人もいるなど成果が出てきている。生徒らは「身近にいるメタボ気味な人にはぜひ自分たちの方法を薦めたい」と自信を深めている。
同高では家庭科の授業でサプリメント(栄養補助食品)を年間の重点テーマに選び、そのうち11人はサプリメントとメタボの関係を探ることを研究課題にした。
専門的な知識は、財団法人「大学コンソーシアム京都」の協力を仰ぎ、府立医科大や同志社大などから研究者の派遣を受けて学び、9月末から実践を始めた。
被験者は、やや太り気味の同高教諭と財団法人の職員ら計6人の男性(29~61歳)。サプリメントを1日1回、朝にとることに加え、▽食べ物は20回かんで、のみ込む▽油料理を控える▽きびきびした動き▽階段を使う――の5項目を日常生活で守ってもらった。
(上記記事より)

高校生の研究が、新聞で紹介されていました。
メタボリックシンドロームの改善法に関する研究で、財団法人「大学コンソーシアム京都」の協力のもと、京都府立医科大学や同志社大学の研究者の指導も受けているそうです。

研究対象になるのは、財団法人「大学コンソーシアム京都」の職員と、自分達が通う高校の先生。
「やや太り気味の教諭」として選ばれてしまった教員の方がちょっと気の毒ですが、これも生徒の研究のため。
ぜひ、改善法の指導を受けてもらってください。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • いつも興味深く拝見させて頂いています。
    さて、「一般的な社会常識との乖離」として掲載されている交通手当ての件についてコメントさせて頂きます。
    私は民間に勤めていますが、仕事上、大学事務の現状をよく拝見する機会があります。
    今回、指摘を受けた「定期6ヶ月の推進による節約」ですが、現場では給与支給システムや国立時代からの規定上の制限から、「6ヶ月分の定期代を月別に支給」という行為を行っているのが実態です。
    そのため、大学側のコメントにもありましたが、「煩雑な業務」を行っており、実際に「正確な手当ての支給」のために、給与計算結果を毎月残業しながら、目を皿のようにチェックしている事務職員の方に要している人件費はおそらく、2年間で2億を上回ることになるかと思います。
    少なくとも私が勤めている会社では、通勤手当は「社員が申請した月額を毎月支給」しています。
    (もちろん、申請時に金額の妥当性はチェックされます)
    「税金の節約」としての観点は大事ですが、「費用対効果」という意味では、今回の指摘は首を捻りたくなります。
    自分の勤める会社を「常識」と言い切ることはできませんが、民間企業で交通手当の算出におそらく労力をかけている企業はそんなに多くないのではないのでしょうか。
    (ご意見がある方がいらっしゃいましたら、是非ご指摘ください)
    ざくっと結論を言ってしまうと、「交通手当て」以外のところにもっと「簡単で、効果の大きい」改善点はあるはずです。
    ただし、そのためには国時代からの規定が制限になっていることが良くあります。
    個人的には、会計監査院には「国立大学法人」となった大学が独立した運営をしやすくなる、大局観に立った提言をしてほしいと思います。