ニュースクリップ[-9/28] 「講義、演習の理解を支援 先輩選べる 中大理工制度本格化」ほか

マイスターです。

「ブタがいた教室」という映画が公開されるそうです。自分たちで育てた豚を食べることで命の大切さを教えようとした、小学校教師の実話を元にした話です。
↓ちょうど1年前、同じ題材を元に、東京学芸大学の先生による塾生向けの特別公開授業が行われたこともあり、個人的にはちょっと気になっています。

■「そのとき教育は!? 」~生と死に直面した小学生たち~

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【研究成果を教育サポートシステムとして導入。】
■「講義、演習の理解を支援 先輩選べる 中大理工制度本格化」(読売オンライン)

中央大学(八王子市)は26日から、後楽園キャンパス(文京区)の理工学部で、上級生が後輩の学習をサポートするシステム「キャンパスコミュニティエイド」の運用を本格的に始める。3年前から同学部の経営システム工学科で導入したところ、「講義の理解に役立った」と評判は上々で、学部全体に広げることにした。
システムの研究・開発を進めてきたのは、同学部の加藤俊一教授(感性工学)の研究室と共同印刷(文京区)。大学の講義についていけない学生たちを手助けすることが狙い。
(略)サポートを希望する学生は専用サイトで申し込み、名前や相談内容などのほか、趣味や友人、知っている先輩なども記入する。趣味が合ったり、共通の知人がいたりする院生らをコンピューターが検索してサポーター候補を選び、双方のマッチングを図る仕組みだ。
(略)今後は、学部内だけでなく、卒業生にもサポーター登録してもらい、就職活動を控えた学生のキャリア支援にも応用したいという。加藤教授は「今後は更に広げて、社会で活動しているボランティアの方の役に立つようなシステムにしたい」と話している。
(上記記事より)

感性工学の研究室が中心になって、大学の学習サポートシステムを開発。
3年前からの実績を元に、学部全体に本格導入だそうです。

研究室での研究成果がキャンパス内で実践されるというのは、色々なメリットを産みそうです。
これで成果があがったら、今度は大学全体で使われることになるかも知れませんね。

【心理学的に解決?】
■「復旦大学 心理テストの結果で部屋割り(1) 」(人民網日本語版)
■「復旦大学 心理テストの結果で部屋割り(2) 」(人民網日本語版)
■「復旦大学 心理テストの結果で部屋割り(3) 」(人民網日本語版)
■「復旦大学 心理テストの結果で部屋割り(4) 」(人民網日本語版)

全国各地から入学した学生は、その生活習慣もそれぞれ異なり、生活習慣、趣味、消費観念など、一人一人違っている。そのため、ルームメイトの間で、何らかの衝突は避けられない。復旦大学心理健康教育センターの劉明波主任によると、センターに相談に来る学生の中には、ルームメイトとの関係が上手くいっていない事を訴える学生もいるという。
ルームメイトとの関係や、寮室内の雰囲気は、大学生の心理的な成長、学業成績、日常生活などの方面において、大きな影響を与えるものであるため、学校側は、大学2年生に進級する際の部屋割りに、合理的な方案を求めている。これを受け、復旦学院聯合校心理学学科および心理健康教育センターは、学生寮の部屋割りのための測定評価システムを開発。
(上記記事より)

中国の名門、復旦大学の話題です。
ここでは、学生達が寮生活で良好な人間関係を築けるように、事前に心理テストを実施し、似たような性格や思考パターンの学生同士を同室にしているのだそうです。

しかしそもそも寮生活には、「性格の異なる人間同士の触れあいを通じて、人間的に成長する」という目的もあるわけですから、本末転倒な気がしないでもありません。
大学でも、この方法は賛否両論を招いているようです。

ある指導教員はよく考えた末、この方案を採用しなかった。この指導教員は、「この部屋割り測定評価システムは、確かに、学生たちに居心地のいい環境を与えることになるだろう。だが、平穏で楽しいだけの4年間が終わり、社会に出たとき、自分と相容れない人と出会う機会も多く、そのとき彼らは適応できるのか?」と疑問視している。「いろんなタイプの人と上手くやっていくことを学ぶのも大学生活の一部だと思う」というのがこの教員の意見だ。
(上記記事より)

上記の意見、マイスターも同感です。

【どちらが効くの?】
■「東大合格生の研究から生まれたコクヨS&Tの新ノート」(日経ものづくり – Tech-On!)

■「オークス、受験勉強専用ノートを発売 色彩で集中力持続」(NIKKEI NET)

偶然かも知れませんが、違うメーカーが同じタイミングで「受験勉強に効果的」なノートを発売しました。それぞれ、まったく違う工夫が加えられています。

近年、受験生をターゲットにしていると思われる製品が、食品を中心に、爆発的に増えているように思いますが、今年は、受験生に最も近い商品である「文房具」でも、そんな動きが見られるのでしょうか。

ちなみにこれらのノート、どっちが効くのかはわかりません……が、どちらも自分で勉強しないと成果が出ないのは間違いないです。

【またしても悲しい事件が。】
■「フィンランドの学校で銃乱射、10人死亡 容疑者自殺 」(CNN)

北欧フィンランドの警察関係者は23日、南西部カウハヨキ町内の職業訓練学校構内で同日午前、男が銃を乱射し、10人が死亡、少なくとも1人が重傷を負ったことを明らかにした。
容疑者は22歳の男子学生で、犯行後に銃で自身の頭部を撃ち、搬送先の病院で死亡した。国営放送YLEによると、約90分に及んだ犯行の最中、容疑者は警官に向けても数回発砲した。
(略)容疑者は今月3週間にわたり、自身の銃撃映像を動画共有サイト「ユーチューブ」に4本投稿。事件前日の22日に警察の聴取を受け、自宅の家宅捜索も受けた。映像が誰かを直接的に脅す内容ではなかったため、容疑者が犯行に至った動機は不明。警察は19日に動画の情報を入手したものの、22日まで容疑者と接触できなかった。事件から数時間後、容疑者のユーチューブのアカウントは閉鎖された。
(上記記事より)

アメリカでは昨年にバージニア工科大学で、今年に入ってからはルイジアナ工科大学や北イリノイ大学で銃撃事件が起こりました。立て続けに多くの犠牲者が出たことは、世界中に衝撃を与えました。

(過去の関連記事)
米ルイジアナ工科大で銃撃事件
再びアメリカの大学で乱射事件

今度は、フィンランドの大学で乱射事件が発生。10人の犠牲者が出た模様です。
最も安全なはずの大学キャンパスという場所が、犯行現場として狙われているような、良くない流れです。

今回は、犯行の予告と取れる映像がYouTubeにアップされていたということで、ネットの監視に関する議論も起きているようです。

■「フィンランドの学校の銃撃事件でWeb監視の強化論が浮上」(ITmedia News)

【京都大学×早稲田大学 好評。】
■「ナイルの夕日、ごくり 京大ビール第3弾 早大、黄桜と開発」(京都新聞)

京都大は26日、古代エジプトをイメージしたアルコール飲料の第3弾、ビール「ルビーナイル」を早稲田大、黄桜(京都市伏見区)と共同開発したと発表した。先行して開発した2種と異なり「濃厚な風味」が特徴。30日から京大生協や百貨店で販売される。
ルビーナイルは、京大農学研究科が種子を保存していた小麦「ピラミダーレ」を使用。古代エジプトで生まれ、1920年代までで栽培が途絶えた「謎の品種」だが、近代的品種と同じ特徴を持ち、古代エジプトの高度な農耕文化を象徴する小麦という。本格的な栽培はこれからのため、2009年夏まではデュラム小麦を使う。
(上記記事より)

「ホワイトナイル」、「ブルーナイル」に続く第3弾。
京都大学での農学研究と、早稲田大学の古代エジプト研究の成果から生まれたコラボレーション製品、売れ行き好調のようです。
こういう連携はいいですね。
(※未成年の方は飲んじゃダメですよ!)

以上、今週のニュースクリップでした。

1年前の特別公開授業では、豚の「Pちゃん」を巡って実際に行われた実践の詳細はもちろん、原作の書籍にも書かれていない「後日談」にも触れつつ、「教育」の意味と役割について教育学の面から考えたのでした。
授業に参加した高校生達の中には、泣きながらドキュメンタリー映像を観ていた人も少なくありませんでした。

今年も、昨年に続き東京学芸大学の山名淳准教授に講義を担当していただきます。
全回とは違う素材を扱うので、教員志望者、教育学部志望者は出席するように。 >塾生各位

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。