マイスターです。
好景気により、ここしばらく、大学生の就職は売り手市場。
どの企業も、新卒生の採用に力を入れています。
そんな中、こういった組織も、従来以上に積極的に動きだしているようです。
2つの事例をご紹介します。
まずはこちら。
【今日の大学関連ニュース】
■「人材確保へ県警攻める」(Asahi.com)
県警が「攻めの採用活動」に乗り出している。団塊世代の大量退職の影響で採用数が増加する一方、警察官の志望者数は減少傾向にあるためだ。5日に県警察学校(新潟市西区)であった採用説明会では、警察学校での授業の見学や、指紋採取の現場などの「生の警察官」を体験できる試みも登場した。
会場には就職活動を控えた高校生や大学生ら93人が参加。ビデオによる業務紹介のほか、白バイの実技走行や逮捕術の実演の見学、指紋採取などの鑑識活動を体験するコーナーなどが設けられた。
(略)県警によると、今後10年間で退職する警察官は全体の4割にあたる約1600人。一方で警察官採用試験の志願倍率は98年の18・3倍をピークに年々減少傾向で、07年度は5・1倍にまで落ち込んだ。「優秀な人材を確保するには10倍程度の倍率は必要」(県警警務課)。このため、警察官が母校の大学を訪れてリクルート活動をしたり、警察官募集のテレビCMを放映するなど積極的な採用活動を展開。今回の体験型説明会もその一環だ。
(上記記事より)
新潟の記事ですが、なんだか大学が受験生向けに行うオープンキャンパスを連想させる取り組みです。
この10年間で志願倍率が18.3倍から5.1倍に落ち込んだ、とのことで、県警側は危機感を持っているのでしょう。
新潟だけの動きかとも思いましたが、↓栃木でも似たようなニュースがありました。
■「警察の仕事、知ってる? 栃木県警が体験型の採用説明会」(MSN産経ニュース)
そう言えば大学のキャリアセンター(就職課)に行くと、警察関連の採用告知ポスターはいつも目立っているように思いますが、こんな状況も背景にあるのでしょうか。
いずれにせよ、仕事の内容をより具体的にイメージした上で試験を受けられるようになったということですから、目指す側にとっては好ましい動きではないかと思います。
結果的に説明会の参加者が採用試験に受からなかった、あるいは受けなかったとしても、市民に県警の仕事内容をPRする機会にはなったわけですから、無駄ではないでしょうし。
そしてもう一本はこちら。
【今日の大学関連ニュース】
■「外務省:国連職員増へ 人材の「一本釣り」など対策本格化」(毎日jp)
外務省は国連機関に勤務する日本人職員を増やすための対策を本格化する。研究者やNGO職員らのなかから人材を「一本釣り」して国連への就職を直接促すほか、職員が大学や高校に出向いて国連の魅力をアピールする。
国連によると、国連本部など主要機関に勤務する日本人職員は07年で108人(女性65人)で、米独仏伊に次ぎ5番目。しかし、国連への拠出金額(米国に次ぎ2位)や人口を基に国連が計算した日本人職員の適正規模(283人)の半分以下にとどまる。政府は従来「国際社会で発言力を増すためには増員が必要だ」との認識を持っている。
外務省はすでに国連機関就職のための研修制度を増やし、ホームページでも就職希望者を募るなどの対策を実施している。今後は、国連のニーズを独自に調査し、最適な人材を探して個別に働きかける考えだ。同省職員が出身大学や高校で、国連への就職を呼びかける「OB訪問」にも取り組む。大学の就職フェアでのPRにも力を入れる。
(上記記事より)
拠出金額の大きさの割には、日本の国連職員の人数は少ない……という指摘は、以前からあります。
そんな状況を改善するために、外務省が本腰を入れて取り組みを始めました。
研究者やNGO職員から人材を「一本釣り」するというのは、「受けたきゃ受けてください」という姿勢とは一線を画しており、なんとしても人数を増やしたいという政府の本気度の表れでしょう。
↓こんなwebサイトも作られています。
↓現在の空席状況も、ネットで閲覧できます。
■「国際機関職員募集情報:最新の空席一覧」
国連の他、ユネスコや世界銀行など、国際機関の採用情報がズラリ。
枠はあるのですから、早くにこうした情報を得ておけば、関連の学位取得を目指す人も増えそうです。
例えば学部段階から、国際関係の学部で学ぶ、とか。
そういった意味では、大学生だけでなく、高校生にPRをするというのは正解かも知れません。
逆に言うと、国際関係の学部を持つ大学にとっては、こういった情報は活用できそうです。
入試広報から教務、キャリアセンターまでが連携して、国際機関に学生を送り出す体制を整えれば、大学のウリの一つになるでしょう。
また一般に、国際機関の職員になるには大学院以上の学歴が必要。
博士号取得者も非常に多い世界と聞きます。
キャリアに悩むポスドクが力を発揮する場として、マッチングをしていく余地もあるのかもしれません。
以上、新卒生の採用に関するニュースを2本、ご紹介しました。
どちらも、多くの大学にとって、まったく関係がないというわけではない話題だと思います。
何かのご参考になればと思います。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。