公式サイトで高校生向けケータイ小説を配信 聖学院大学

マイスターです。

大学では、高校生に大学のことを知ってもらうために広報活動を行っています。

その際、高校生に伝わりやすいものをと考え、ビジュアルを多用した楽しいイメージを前面に出すと、学内から「軽薄だ」とか、「大学の宣伝らしくない」とかいった批判が寄せられたりします。
しかし、学内の意見を聞いていると大抵、堅すぎて高校生の気をひかない内容に落ち着きます。

大学の教育・研究内容を正しく理解していただくためには、ただ楽しげなビジュアルを並べればいいというわけではありません。しかし広報物は学術論文ではないので、「正しい内容を書けば、全員が必ず目を通し、理解してくれる」なんてわけもなく、読みたくさせる工夫が不可欠です。

大学のイメージを壊すことなく、かつ、高校生に届く広報を行うというのは、簡単ではありません。

そもそも、広報内容を高校生に読んでもらうまでが、大変です。
パンフレットを作り、交通広告を出し、webサイトを充実させてみたものの、果たしてこれが肝心の高校生の目に届いているのか? と、まっとうな広報担当者は不安に考えます。
実際、大抵の広報物というのは、作った人達が思っているよりもはるかに、読まれていません。

そこで担当者は、少しでも高校生がウチの広報物に目を通してくれるようにと、あらゆる手段を考えるわけです。

というわけで、最近、こんなことを始めた大学を見つけました。

【今日の大学関連ニュース】
■「聖学院大学が公式サイトから『ケータイ小説』配信スタート」(大学プレスセンター)

聖学院大学は7月より、同大の携帯サイトから「ケータイ小説」を配信する。小さなSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)から生まれたリレー小説で、作者は8人。その中に同大の事務職員がいたことから、高校生向けのケータイ小説として公開することが決まった。大学が発信するケータイ小説は全国でも珍しい。今後は高校生読者の反応をリサーチしていく予定という。
(上記記事より)

聖学院大学は、webサイトによる広報に力を入れている大学としてしばしば紹介されます。

携帯サイトにも力を入れている……のですが、ケータイ小説の配信というのは、この業界では珍しい取り組みですね。
大学でも、色々な事例が出てきたなぁと思います。

■「携帯小説の配信が始まります!:虹色プリズム」(聖学院大学)
(※↑こちらは参考まで。携帯サイトのページです)

さりげなくストーリー中に大学生活が織り込まれているのだろうか……などとあれこれ妄想したのですが、どうやら違うみたいです。

もともと一部の方々が自分たちの趣味として、リレー小説形式で作って楽しまれていたものを、聖学院大学携帯サイト用のケータイ小説として使わせてもらうことになった……という経緯のよう。
たまたま(?)リレー形式で作っている執筆者の中に、同大の職員の方がいらしたという縁で、このように公式コンテンツとして使うことになったということらしいです。

調べていたら見つけてしまったのですが、おそらく、↓こちらがそれだと思います。

■「『虹色プリズム』ケータイ小説化?!」(はるかな旅)

複数の方々の手による物語が既にあるのであれば、(大学広報向けに)内容を変えるということはおそらく、ないでしょう。

どのようなストーリーなのか、マイスターはまったく存じ上げないのですが、どうやら高校生活が舞台みたいですし、直接的に聖学院大学の内容を伝えるものではないのでしょう。
この小説はメールで配信されるものだそうですから、「高校生に、大学名を知ってもらう」、「聖学院大学のことを認識してもらう」というあたりが、まずは目的なのかなと思います。

大学の関係者が関わっていたものだとはいえ、学外のコンテンツを直接発掘して、自校のコンテンツとして取り入れるというのは、大学としては珍しいことではないでしょうか。
(広告代理店などを介したものはたくさんありますが)

これでこのケータイ小説が評判を呼び、映画化などされた日には面白いことになりますが、さて、どうなるでしょうか。

東洋大学の「現代学生百人一首」のように、大学が、中高生や大学生の作ったケータイ小説をコンクール形式で集めて表彰し、優秀作品は大学が代わりに配信してあげる、なんて取り組みが出てきても面白いかも知れませんね。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。