マイスターです。
健康のためにと「wii fit」をやっていたら、ヒザを故障しました。弱すぎです。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【学生による大学活性化案を予算化。】
■「大学・地域の活性化提案 『沖大は私が変える』学生発表」(琉球新報)
沖縄大学創立50周年記念企画「沖縄大学は私が変えるPart4」(学生実行委員会主催)の発表会が10日、那覇市の同大で開かれた。
2005年から始まり、4回目となることしは学生から大学や地域をより良くするための企画29件の応募があり、1次選考を通過した10組が自らの企画を紹介し、学生や教職員らが耳を傾けた。今月下旬に来場者の投票結果や実行委の審査を基に実施する企画を数件選び、費用を予算化する予定だ。
(上記記事より)
どんな企画が出たかは、元記事をご覧下さい。
学生の力を大学の改善に活かす動きは、他大学にもありますが、このように定期的に企画を集め、予算化まで結びつけている大学は珍しいと思います。
教職員が気づかない、学生視点ならでの提案もあるでしょう。
大上段の大学改革も大事ですが、丁寧にこうした企画を取り上げ実施していくことで、細かな「改善」を積み上げていくことも必要です。
企画を立て、実践していく機会を用意することは学生の教育活動にもなりますし、学内の活性化にもなるでしょう。一石三鳥の取り組みです。
【一時的なブームだった?】
■「薬系大学の3割が“定員割れ”-全体でも入学定員を割り込む」(薬事日報)
2008年度の薬系大学・学部入学者数が定員を割り込んだ。入学時に教養学部として入学する東京大学(定員80人)を除く08年度の総定員数1万3414人に対し、入学したのは1万3260人だった。入学者が定員の1.0倍を下回る“定員割れ”は、新設2校を含む全74校中22校と約3割に達し、特に新設校に“定員割れ”が目立った。逆に、入学者が定員を超えていた薬系大学・学部も20校に及んでいた。
(略)薬系大学・学部全体として“定員割れ”したのは、全74校中22校。このうち03年度以降の薬大新設ラッシュで誕生した新設校が、28 校中17校と6割にも及んだ。一方、伝統校でも、北陸大学、福山大学、徳島文理大学、第一薬科大学では、定員充足率が70%前後とかなり苦戦を強いられた格好だ。
特に、入学定員が半数にも満たなかったのが、奥羽大学(定員200人、入学者55人、定員充足率27.5%)と青森大学(120人、47人、39.2%)。両校とも07年度の時点で43%、62%と定員割れしており、今年度はさらに厳しい状況となった。
そのほか、定員割れが大きかった薬系大学・学部は、いわき明星大学(150人、85人、56.7%)、安田女子大学(130人、73人、 56.2%)、徳島文理大学香川薬学部(150人、87人、58%)、就実大学(150人、100人、66.7%)、第一薬科大学(173人、118人、 68.2%)などだった。
(上記記事より)
少し前のニュースですが、ご紹介しておりませんでしたので、改めて。
数パーセントの定員割れなら、歩留まりの読み違いによる影響とも言えるのでしょうが、定員充足率が7割を下回ってくるとなると、深刻です。
ここ数年、学生に人気で「薬剤師」という資格にも直結するということで、経営改善のために薬学部を新設する動きがありました。この新設ラッシュに伴い、日本の薬学部全体での定員は、数千人規模で増加したと言われています。
しかし、薬学部受験生が急増する要素は、冷静に考えると、特にありません。薬剤師を目指す場合、カリキュラムは6年制で、これが受験生から敬遠される要素になっていますし、私立大学の場合は学費も安くありません。
その結果、一部の大学では、逆に薬学部が経営の負担になり始めています。
大学業界では、似たような学部を一斉に開設する「横並び」的な動きがしばしば見られますが、数年後にそれがリスクとなる可能性も、先に考えておいた方が良さそうです。
【学生の力で街を素敵にしていく。】
■「5大学の知恵拝借・街並みづくり、自転車で現地調査」(とーよみnet)
八潮市はこのほど、昔からある自然環境や地域性を生かしながら「市民と共に50年、100年後に誇れる、八潮らしい魅力あるまちなみを創出しよう」と建築や空間デザインなどの専門知識を持つ、関東周辺の5大学の研究室と連携してまちづくりを進める。
4月、市の呼びかけで商工会、やしお市民大学OB会、財団法人やしお生涯学習まちづくり財団が参加し、「八潮街並みづくり100年運動実行委員会」が発足、この運動の推進のため、日本工業大、東北工業大、信州、茨城、神奈川大の研究室と連携。先月31日、今月月1日には、5大学の教員5人、学生43人が参加、現況を把握するため5、6人1グループに分かれ、自転車を使って市内全域の現地調査を行った。
学生たちは、「市内各所に大小の水路があり、十分生かされていない」、「市域全体に工場が分布し住宅工場が混在している」、「地域により住宅、工場、農地の割合が違う」、「路地的な住宅地が残りコミュニテイの存在がある」、「鉄道と高速道路効果によるさまざまな土地利用が行われている」など市域の特徴がおおむね把握できたようだった。来月にも2回目の調査を実施予定。
今後は、各大学間でのミーティングを行い、地形や住環境などの特長を生かし、4地区に分けて担当大学を決定。1つの地区を2大学でそれぞれ異なる枠組みで担当する方式。ワークショップやフォーラムなどを経て、市民と意見交換を行い、「八潮らしい街並み・住宅」をまとめ提案していく。
来年度以降、自宅新築を考えている市民を公募して、「八潮らしい住宅モデル」を設計・建築し公表する。5大学が1棟以上、それぞれモデル住宅を設計予定。また、八潮駅周辺で実施中の南部地区土地区画区画整理地内などにモデル住宅を複数建てるなどの案も検討中。
(上記記事より)
自治体は、街全体に関わる大きなプランは考えられます。
しかし、街に存在する一つ一つのデザイン要素すべてを手がけるところまでは、手が回りません。
また、計画はしたものの、実際にそれが機能しているのかを、街をまわって分析・検討するのは、大変です。
そこで地元の大学と連携し、建築や空間デザインを学んでいる学生達の力でそれをやってしまおうというのが、八潮市の取り組み。
市民を巻き込んだワークショップやフォーラムの実施、また実際に家を建てる市民のための「八潮らしい住宅モデル」の設計・建築など、教育的に面白く、地元にとってもプラスになるような計画も盛り込まれているようです。
街が素敵になっていきそうです。
建築や都市計画などを学ぶ大学は全国にあります。広く、こうした取り組みが広がると、教育的にもまちづくり的にも、面白いと思います。
【研究者の倫理。】
■「大学病院への製薬会社からの寄付…『避けるべき』32%」(読売オンライン)
製薬企業から大学病院の医師に提供される寄付金などの資金について、「受け取るべきではない」と考える一般の大学教員が3割以上にのぼることが、筑波大産学リエゾン共同研究センターの新谷(しんや)由紀子講師らが行った意識調査で明らかになった。
(略)臨床研究で利害関係のある製薬企業からの未公開株の取得は「避けるべきだ」が57%を占めた。企業が主催する講演会での講演料などの受け取りも「避けるべきだ」(40%)が、「条件付きで認める」(36%)を上回った。
企業からの寄付金については「条件付きで認める」(45%)がトップだったが、次いで「大学の正式な手続きを経ていても避けるべきだ」(32%)という答えが多かった。大学に届け出る寄付金の基準は、「過去に1円以上あれば、すべて報告するべきだ」との回答が最も多かった。新谷講師は「企業からの資金提供について、一般の大学教員は、より厳しい倫理基準やルールを求めている」と話している。
(上記記事より)
実際に使用されている薬の問題検証なども、医療系の研究では重要なテーマの一つ。
製薬会社から寄付金や講演料を受け取ることは、客観的な研究活動を守るためにも好ましくない、と考える研究者が少なくないようです。
実際にこういった企業から研究費を受け取っている研究者と、そうでない研究者とで、回答がどのように違っているのかも知りたいところです。
【理数系科目からの逃亡は高1から?】
■「『科学離れ』は高校から?中3の6割が科学に『興味あり』」(読売オンライン)
経済協力開発機構(OECD)の調査で日本の高校生の科学への関心が世界各国の中で最低レベルだったことを受け、国立教育政策研究所が全国の中学生を対象に同様の調査を行ったところ、中学時代は関心を維持している生徒が比較的多いことがわかった。
同研究所では「高校で授業が難しくなる上に、実験・観察が減ることも『科学離れ』の原因では」と分析している。
(略)「科学を学ぶことに興味がある」という質問に「そう思う」と答えたのは、高1では50%(OECD平均63%)で57か国・地域中52位だったが、中3では62%。「科学の話題を学んでいる時は楽しい」という生徒も、高1は51%(平均63%=54位)だったが、中3では69%と割合が高かった。
「科学の問題を解いている時は楽しい」も高1の29%(平均43%=54位)に対し、中3は44%だった。
(上記記事より)
中3→高1の2年間で、ずいぶんと嫌われてしまっている、理数系科目。
難易度が上がる、というのも、もちろん要因の一つでしょう。
自分(高2から理系コース)の記憶を辿っても、高校進学直後、「急に理数系科目が難しくなったなぁ」という感じはありました。
ちなみに、わが国においては、こうして理系への興味を失いかけた直後に、「文系 or 理系」という強制選択が待ちかまえています、
「難しくなった」→「ところで、文系と理系、どっちにする?」→「じゃあ文系に」という流れが見えるよう。
「理系離れ」と言われる流れの発端は、おそらくこのあたりにあります。
でも、進学に伴い難易度が上がるのは、ある意味、当たり前と言えば当たり前。
理系への興味を一時的に失ったからといって、それを容認し、「じゃあ、理系は学ばなくても良いよ」と許してしまう仕組みがあること自体の是非についても、議論が必要でしょう。
そのような高校教育の現状が、大学の受験制度と密接に関わっていることも事実。その辺りも国を挙げて本気で考えてみる時期が来ているように思います。
以上、今週のニュースクリップでした。
治療のために訪れた整形外科の医師は、「wii fit」どころか「wii」すらご存じなく、一体どんなゲームなのかから説明しなければなりませんでした。理解していただけたのか、自信はありませんが。
皆さんも、「wii fit」でヒザを痛めないよう、ご注意下さい。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。