マイスターです。
日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
今週は、海外の話題をちょっと多めにしてみました。
【工学系に来たれ女子学生。】
■「工学系進学情報誌:『女子高生向け』創刊 16大学が編集協力」(毎日jp)
工学系大学への進学にターゲットを絞った女子高生向け無料情報誌が今春、創刊した。工学部の進学希望者はここ10年で半減し、特に女子学生が占める割合は他の学部に比べて低い。こうした現状に、大学側が危機感を持っていることが背景にあり、工学系学部がある東京大、東京工業大、早稲田大、中央大など16大学が編集に協力した。
情報誌は、東京都千代田区の企画会社「アネスタ」が発行する「ハッピーテクノロジー」。8万部を製作し、全国の希望する高校に配布している。
A4判72ページの創刊号では、「工学系がわかる」というテーマで、工学系学部の入試科目、研究室での生活や女性に人気のある研究テーマ、卒業後の就職状況など、高校生が気になる情報を紹介している。また、工学部で学んだり、企業の技術者として働く女性たちのインタビュー記事を積極的に掲載した。進路選択の理由や研究開発の面白さ、充実感などを実体験として語ってもらい、志望の呼び水にすることをねらっている。
(上記記事より)
日本では、工学系に進学する女性が少ないとよく言われます。
毎年発表されている「男女共同参画白書」でも、男女の専攻分野の偏りが、特に工学系において顕著であるということが示されています。
■「第1節 教育分野における男女共同参画」(男女共同参画白書:平成19年6月版)
そこで工学系学部を持つ16大学が、大学の垣根を越え、女子高生向けの進学情報誌の製作に協力したとのことです。
工学系に進学する女性が少ない背景として、身近にロールモデルとなる女性が少ない、周囲のアドバイスが偏っている等、情報不足という点もあると思いますが、そんな現状を変えようという試みです。
お問い合わせ先は↓こちらにあります。ご興味のある方は、連絡されてみてはいかがでしょうか。
■「大学願書・資料請求センター」(株式会社アネスタ)
【人力大学検索。】
■「香川大:疑問に解決策や助言 HP「ナルホド香川大学」開設 /四国」(毎日jp)
香川大の学生たちが、学生同士で疑問を解決するためのホームページ(HP)「ナルホド香川大学」(http: //naruhodo.nazo.cc)を開設。利用する学生が着実に増えている。発案者で工学部大学院2年の日下大輔さん(24)=高松市西宝町1=は「もっと多くの学生に利用してもらい、みんなの力で問題解決する場に」と意気込んでいる。
日下さんが「新入生たちが授業や生活の疑問や悩みを気軽に相談できる場を作ろう」と考えたのが、開設のきっかけ。大学が募集していた「香大生の夢チャレンジプロジェクト事業」に選ばれて20万円の支援を受け、昨年8月に着手した。最初は孤軍奮闘だったが、作業を進めるうちに賛同する仲間が増え、最終的には7人に。同大情報基盤センターの堀幸雄助教(30)=情報科学=の助言も受け、同11月にHPが完成した。
HPに疑問が書き込まれると、それを見た学生たちが解決策や助言を書き込むという仕組み。書き込むにはアカウントの取得が必要だが、見るのは誰でも可能。これまでにサークル、アルバイト情報、休みの過ごし方など約70の疑問に対し、150以上の回答が寄せられた。
(上記記事より)
実際のサイトは↓こちら。
「教えてgoo」、「Yhoo知恵袋」、「はてな人力検索」といった「質問サイト」が、最近はすっかり定着したようですが、これはその大学限定版のようなものですね。
見てみると、「文献の寄り寄せ方」から、「香川のデートスポット」まで、多種多様。
教職員もたまにのぞいてみると、大学を良くする上で、参考になる質問もあるかも知れませんよ。
【「ピタゴラ装置」を競うコンテスト。】
■「からくり装置コンテスト、インディアナ州の大学が優勝」(CNN)
インディアナ州ウェストラファイエット(AP) 米漫画家ルーブ・ゴールドバーグの発想にちなみ、簡単な作業を実行する複雑で創造的なからくり装置を競う、毎年恒例の「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン・コンテスト」決勝大会が5日開催され、当地のパーデュー大学の作品がここ4年で3度目の優勝を飾った。
今年の課題は、調理済みのパテ1枚と野菜2種類、調味料2種類を最低限使い、20段階以上の工程でハンバーガーを作る装置。パーデュー大学のチーム17人は昨年9月から製作に取り組み、今年2月の地区予選を通過した後、新たに55段階の工程を追加した装置を決勝大会に出品した。製作に費やした時間は4000─5000時間にのぼる。
(略)今年の2位はA&M大学(テキサス州)、3位はバッファロー大学(ニューヨーク州)だった。
(上記記事より)
「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」というのは、普通にやれば簡単なことを、敢えて手の込んだからくりで行うマシン。
日本では、「ピタゴラスイッチ」の「ピタゴラ装置」が有名です。
上記は、そんなルーブ・ゴールドバーグ・マシンを製作するコンテストのニュース(英語版の記事はこちら)。様々な大学のチームが参加した模様。
今年は↓こんな競技だったみたいです。
ちなみに日本でも、多摩大学の主催で、同様のコンテストが開催されています。
■「Rube Goldberg Machine Contest 2007 ~からくり多摩テ箱 ~」(多摩大学)
【進学先は世界。】
■「竜仁外高・国際班の全員、米大学に合格」(中央日報)
韓国内高校の在学生らがアイビーリーグを含む米名門大学に合格した。
国際班を設けているデウォン外国語高校(デウォン外高)、民族史観高校(ミンジョクサグァン、民史高)、韓国外大付属・竜仁外高(ヨンイン、竜仁外高)によると、これら3校は今年、米大学に300人を進学させた。デウォン外高は国際班131人のうち129人が、民史高は77人が、竜仁外高は94人全員が、それぞれ合格した。
今年留学班(国際班)の学生数を78人から131人に増やしたデウォン外高は、合格者数が昨年(77)より52人も増えた。プリンストン大4人、エール大2人、スタンフォード大2人、コーネル大10人、ニューヨーク州立大(NYU)34人、カリフォルニア大学バークレー校29人など有名大学の合格者が多い。
デウォン外高のチェ・ウォノ校長は「大半が米大学・ベスト30校に合格している。留学班運営が今年で10年目となるが、米名門大学が実力を認めたようだ」と述べた。民史高も77人が米大学に合格。スタンフォード大5人、プリンストン大2人、マサチューセッツ工科大学(MIT)2人など名門大が多い。
民史高のソン・ウンジュ国際進学室長は「国際班の人員を昨年より減らしたため合格者が昨年より5人減少しただけ。全体的にはまんべんなく合格者を出している」とし「外国学校の基準に基づいた教科課程に効果があった」と語った。今年初めて322人の卒業生を輩出した竜仁外高は国際班の全員が米国に留学する。国内の大学にはソウル大21人、高麗(コリョ)大55人、延世(ヨンセ)大35人が進学した。
(上記記事より)
日本ではいくつかの週刊誌が、東大を始めとする名門合格者数の高校別ランキングを毎年、掲載しています。
でもマイスターが見た限り、そうしたランキングには大抵、海外の高校が含まれていません。
実際には、一般入試で日本の名門大学に合格者を何名も送り込んでいる学校が海外にもあるのに、です。
参考:■「慶應大、中国の高校に指定校推薦枠」
おそらく、メディア関係者が気づいていないのか、それとも意図的に外しているかのどちらかなのでしょう。各誌ともニュースソースは大学による発表のはずなので、もしかすると大学側が、外国の高校を外したデータを出しているのかも知れません。
ああいった週刊誌のランキングは、主に日本の中高年の方々が、自分達の母校の序列を再確認して心の安定を得るためにつくっているのであって、読んでも視野は広がりません。
実際には、国の中だけであの高校は名門だとか、東大合格者が何人だとか言っている間に、中国や韓国の高校はどんどん海外の名門大学に人材を送り込んでいます。
若い方々はもちろん、中高年の方々も、そういった実態を見つめる方が建設的です。
【予期せぬ来訪者。】
■「延世大に1億ウォン寄付、名乗らず姿を消した老婆」(朝鮮日報)
韓国の名門、延世大学で4月1日に起きた話。
突然大学を訪れたおばあさんが、1億ウォン(約1040万円)を寄付し、名前も名乗らずに去っていったとのこと。
「経済的に苦しいのに一生懸命勉強したいと思っている学生たちのために使ってね」
女性の身なりを見て、封筒からお金が出てきても100万ウォンくらいだろうと思っていた総務課の職員たちは驚き、総長室に連絡した。
職員が女性の名前や住民登録番号、住所を尋ねると、女性は「わたしは名前がないのよ」と答えた。金漢中(キム・ハンジュン)総長が慌てて駆けつけ「奨学金をいただく学生たちが感謝の手紙を送れるように住所だけでも教えてください」と言うと、「京畿道に住んでいて年齢は60代」とだけ告げた。
そして「食堂をやって貯金したお金と、この間わたしが住んでいた地域が再開発されてもらった土地の補償金を足したもの。怪しいお金じゃないから心配しなくてもいいわよ」と話した。
「子どもは3人もいるけど、大学で勉強させるどころか食べる物にも事欠く生活でした。子どもたちに申し訳ないから、名前を明かすことはできません。子どもたちがおなかにいるときもまともに食べられなかったから、今も洗濯していると脚がしびれるの。わたしは生活が苦しかったから貧しい人たちの気持ちが誰よりもよく分かるのよ」
そして「延世大学はいい大学だと聞いてここに来ました」と言ったという。金総長は女性が寄付したお金に学校の資金を加え、苦学生のための奨学金にすることを約束した。2時間ほどで学校を後にした女性は、とうとう名乗らないまま、京畿道坡州市金村洞行きのバスに乗って姿を消したとのことだ。
(上記記事より)
純粋に若者のために寄付しようと考えたのでしょう。記事を読む限り、お金持ちというわけでもないようです。
大学に高額の寄付が寄せられることは、どの国でもしばしばあることだと思いますが、こういったケースは珍しいのではないでしょうか。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。