マイスターです。
多くの受験生の方が、受験した大学から、既に何らかの結果通知を受け取っている頃だと思います。
実際に、キャンパスに合格掲示を見に行かれた方も多いでしょう。
個人的には、合格発表は、一人で見に行くことをオススメします。
なぜなら受験というのは、途中では様々な人の力を借りていたとしても、最終的には自分一人の努力が結果にあらわれるものだからです。
友達や家族と一緒に発表を見に行き、合格だったら、それは全員にとってうれしいことでしょう。きっと手を取り合って、喜びを共有すると思います。でも、そこを敢えて、一人で見に行ってみてください。合格の結果を一人で見て、自分の努力が実を結んだ喜びを、まずは自分一人で味わってみてください。
チームで達成の喜びを共有するという体験は、生きていると、意外に何度もあるものです。これまでも、部活や学級行事などで経験したでしょうし、これからも大学生活や仕事の中で、あるでしょう。
でも、「自分で勝ち取った栄光を、自分のものとして味わう」という瞬間は、実は案外、多くありません。
受験の合格発表直後というのは、そんな貴重な瞬間のひとつなんです。
お世話になった人への報告は家に帰ってからでも大丈夫。まずは合格も不合格も、自分が試験を受けた結果として、ひとりでかみしめてみることをオススメします。
そういう体験をしてこそ、受験を通じて人間的に成長できるのだとマイスターは思うのです。
大学から家に向かう間も、わき上がる喜びを抑えようとしながら、それでも抑えきれず電車内でついニヤニヤしてしまう、そんな時間を堪能してください。
それはそれで、良いものですよ。
さて、そんなことを書いておいてイキナリなんですが、最近では、合格発表の様子が随分変わってきているみたいです。
【今日の大学関連ニュース】
■「消えゆく合格掲示板 ネットで速報の大学増える」(Asahi.com)
合格掲示板の前で抱き合って喜び、先輩の胴上げで宙に舞う――。春のこんな風物詩が、大学から消えつつある。合格発表をホームページ(HP)や携帯電話サイトだけですます大学が増えているのだ。私立大では半数以上がキャンパスでの掲示をやめており、国立大でも廃止の動きが出始めた。志望校から重い足どりで帰る挫折の光景もまた、少なくなっている。
(略)大阪大は、昨春の07年度入試から掲示板での合格発表をやめた。5年以上前にHPで合格者の受験番号の発表を始めたところ、掲示板を見に来る受験生が減り、ピーク時の半分ほどになった。「時代の流れです」と明田敏彦・入試課長。
掲示板の設置に手間や金がかかることもあり、私立大では10年以上前から学内掲示をやめる動きが始まった。国立大では3年前に東北大が初めて廃止し、群馬大が2年前、大阪大と横浜国立大が昨年にやめた。文部科学省の調べでは、昨春、一つでも掲示しない学部があった私立大は全561大学中311。国立は全83大学中4だった。
合格者の受験番号がわかる携帯サイトの活用も広がっている。大学情報センター(大阪市)は昨年から、国公立大の委託を受け、サイト上で大学ごとに合格番号を示すサービスを始めた。契約は昨春の23大学から今春は34大学に増えた。今春導入した大阪教育大や奈良女子大の担当者は「今時の受験生にはパソコンを開くより携帯の方が使い勝手がいい」と話す。
一方、学内掲示にこだわるのは東京大だ。合格者の受験番号が載る学生作成のHPはあるが、大学運営のものはない。渡辺省三・本部入試グループ長は「頑張ってきた受験生にとって一生で一度のドラマチックな感激の場。大事にしたい」と話す。
6年前にHPでの発表を始めた立命館大も、掲示板は小さくしつつ、学内掲示を続けている。HPで合格を確かめてから来て、掲示板の前で記念撮影する受験生がいる。片田賢史・入試広報課長は「学内で臨場感をもって合格を味わいたい人がまだいるので、やめられない」という。
(上記記事より)
そんなわけで最近では、合格発表をキャンパスに掲示しない大学が増えているのだそうです。
「文部科学省の調べでは、昨春、一つでも掲示しない学部があった私立大は全561大学中311。国立は全83大学中4だった。」とありますから、結構、普通の対応として受け入れられ始めているのかもしれません。
確かに、インターネットが普及し、PCでも携帯でも簡単に合格発表を確認できる世の中ですから、わざわざキャンパスに出かけて掲示を見る必然性は、あまりありません。
事務的なことだけを考えれば、掲示板は廃止してもそれほど問題はないでしょう。
それに現在は、センター試験利用入試などを使い、遠方の大学を受験する方も増えていると思いますので、ネットに一元化してしまった方が何かと楽ではあります。
ただ、一方で、やっぱり「合格を実感できる」という点で、掲示板の人気も根強いようです。
何しろ、実際に春から通うことになる大学のキャンパスで見るわけですから、単なる数字の羅列とはひと味違います。そりゃあ、感激もひとしおでしょう。
ですから個人的には、掲示板の風景が失われていくのは、ちょっと寂しい気もします。
しかしそうは言っても、確かに時代の流れというものもありますから、仕方がない部分もあるのでしょうね。
ところで、インターネットなんてものが無かった昔は、合格発表を電報で知らせるアルバイトというものがありました。
大学が公式に行うサービスではなく、在学生達が受験生の家庭から依頼を受けて行う場合が多かったようです。
その「合格」、「不合格」の知らせ方にも、それぞれの大学の特色が反映されることが多く、各大学ともなかなかユニーク。
以下、マイスターがネットで見つけた例をいくつかご紹介します。
(噂レベルのネタが混じっているかもしれないので、内容に絶対の保証はできませんが、話のタネくらいにはなるかと思います)
【合格を知らせる電報】
○「エルムハマネク」 北海道大学
○「アオバノヤマニテキミヲマツ」:東北大学
○「ナマハゲカンゲイスル」「オバコワラウ」:秋田大学
○「イワテガキミヲヨンデイル」:岩手大学
○「ジュヒョウカガヤク」:山形大学
○「コマクサノハナヒラク」:信州大学
○「アスワヤマニハナガサク」:福井大
※足羽山(あすわやま)という地元の有名な山だそうです。
○「ボウソウノ ウミハ ハルヲツゲ キミヲマツ」「ボウソウニ ナノハナサキミダレ キミヲマツ」 :千葉大学
○「サクラサク」:早稲田大学他
※有名なこの言葉は、早稲田大学の合格電報で使われたのが最初だと聞きます。
○「オチャカオル」:お茶の水大学
○「ゴウカク」:東京大学
○「フジサンチョウセイフクス」 :静岡大学
○「イセエビタイリョウ」:三重大学
○「ダイブツヨロコブ、オメデトウ」「テンピョウノイラカ カガヤク」:奈良教育大学
○「ニュウシ ハエル」:大阪大学歯学部
○「タテヤマニライチョウウタウ」:富山医科薬科大学
○「クジラガツレタ」「クジラシオフク」:高知大学
○「ケンロクエンサクラサク」「ケンロクコウエンノサクラサクオメデトウ」 :金沢大学
○「ミチザネコウノカオモホコロブ」:福岡市某大学
○「マリアノカネガナル」「アグネス、ホホエム」「ナガサキノカネガナル」:長崎大学
○「アリアケムツゴロウトンダ」:佐賀大学
○「ホクシンカガヤク」:鹿児島大学
いかがですか?
なかなか風流な表現が多いなぁとマイスターは思います。
続いては、不合格の例。
【不合格を知らせる電報】
○「ミチノクノユキフカシ」:東北大学
○「ジゴクザカコロゲオチル」「アカシアノハナガチル」:小樽商科大学
○「オバコヒトリネアキタ」:秋田大学
○「シナノジハユキフカシ」:信州大学
○「ナリタクウコウ キリフカシ」:千葉大学
○「サクラチル」:早稲田大学他
○「イナホチル」:早稲田大学
○「コノメドキマテ」(木の芽時待て):お茶の水女子大学(補欠合格……「カオリマタヨシ」)
○「カンダガワサクラチル」:東京医科歯科大学
○「チンボツ」:東京商船大学
○「サクラチルトウ」:東京工業大学
○「タフデナケレバイキテイケナイ」:愛知工業大学
○「イセワンニテザショウ」:三重大学
○「ムネンサイキヲキセ」:京都大学
○「ダイブツノメニナミダ」:奈良教育大学
○「フネ シズム」:海上保安大学校(呉)
○「フグドクアタル」:水産大学校(下関)
○「ニホンカイノナミタカシ」:富山大学
○「フユノノトノナミタカシサイキキス」:金沢大学
○「リョウマノメニナミダ」:高知大学
○「ゲンカイノナミタカシ」:九州大学
○「アメノナガサキ」:長崎大学
○「アソフハツ」:熊本大学
○「サクラジマバクハツセズ」:鹿児島大学
この通り、どの大学の電報も工夫されていて、面白いですよね。
(中には、合格なのか不合格なのか、判別しにくいものもありますが……)
こういった電報が失われていくことに寂しさを感じていた方も、以前は結構いらしたようです。
時代時代に合わせて、メディアが移り変わってしまうのは、仕方が無いことなのかも知れませんね。
そう考えると、そのうち、ネットでの合格通知でも、味わい深い表現が生まれてくるのかも知れません。
ちなみに、掲示やネットでの発表に加え、通常、合格者には「合格通知」という書類が、大学から送られてくるのですが、その書類の文章にも、大学によって若干の違いがあります。
事務的に、
「選抜の結果、上記の通り合格したので通知する。○月○日までに手続きを完了しない場合、上記の合格は取り消される。」
みたいな文章しか書かれていない場合もあれば、
伝統ある本学で、創造性豊かな未来を共に目指しましょう。あなたの入学を心からお待ちしています。
(平成19年・九州工業大学 合格通知より)
21世紀を担うバイオサイエンスの担い手として、共に歩まれんことを期待します。
(平成19年・長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 合格通知より)
あなたのこれまでの努力に敬意を表するとともに、その努力が見事この結果となって実を結びましたことを、本学教職員一同、心よりお祝いします。また4月に本学キャンパスにてお会いできることを楽しみにしています。
(平成19年・芝浦工業大学合格通知より)
……のように、大学からのちょっとしたメッセージが入っている場合もあります
こういう細部のところで手を抜かず、ひと工夫を入れるのって、いいですよね。
(上記の文章は、マイスターが知り合いから教えていただいたものです。実際と違っている部分がありましたらお知らせください)
こんな風に、その気になれば機械的な通知の中にも「人」を感じさせるメッセージを入れることができるのですから、そのうちネットの合格通知でも、何か暖かい表現が生まれるかもしれません。
既に何か、ユニークな例がありましたら、教えていただければと思います。
受験生の皆さんは、どんなものが大学から届くか、楽しみにお待ちください。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。