マイスターです。
■『大学は美味しい!!』 フェア(1) 「味」を通じて大学を知ろう!
今日は、昨日の記事の続きです。
↑こちらは、北里大学大学による、牛肉の加工食品。
北里大学獣畜産学部付属フィールドサイエンスセンター八雲牧場で育てている、「北里八雲牛」という牛です。
「牛を一頭育てるのに、牛肉の何倍もの量の穀物が使われている」、なんて話、聞いたことがありませんか?
この北里八雲牛は、100%、牧草だけで育てられています。
牛が糞をして、その栄養を肥料に牧草が育ち……という循環を作り出しているのだそうです。
エコロジーに配慮し、しかも安全でおいしい牛肉。素晴らしいですね。
マイスターも、コンビーフになっている物をいただきましたが、おいしかったです。
また、通常の農業では利用できないような地形の土地でこの牛を育てれば、土地資源の有効活用になる、なんてお話も伺いました。
お店で販売を担当されていた方々は、普段はフィールドサイエンスセンター八雲牧場で働いていらっしゃる皆さんでした。
上の写真は、技能職員の方。
おそろいの作業服が、会場の中で注目を集めていました。
皆さん、とても似合っていますね。
服装と言えば、↓こちらも要注目です。
今回、唯一「工学部」から出品されているのが、この山形大学です。
↑山形大学工学部のブースで販売されていたのは、「らぶらいす」というパン。
なんとこれ、お米(米粉)でできたパンなんです。
「地元産のお米の消費量を上げよう」、
山形でそんな構想が立ち上がり、まず企画に上がったのが、お米でパンを作ることでした。
しかし、米粉だけで作ったパンを焼いても、うまくふっくらと仕上がりません。
どうしても、べちゃっとしてしまい、十分にふくらまないのですね。
そこで登場したのがなんと、山形大学工学部のプラスチック発泡技術。
簡単に言えば、発泡スチロールを作る技術です。
この技術により、お米のパンも、ふっくら焼き上げることができるようになったというわけなのです。
工学部的なアプローチで、新しい食品の開発に挑戦するというのは、面白いですよね。
↑こちらもすごいです。
藤女子大学による、「いしかりバーガー」。
地元のチェーン店と、藤女子大学の学生さん達が共同開発した商品です。
使われているソースなども学生さんが考案した物なのだとか。
■北海道いしかりバーガー開発日記
いしかりバーガーについては、↑こちらで詳しい開発経緯を読むことができます。
↑そしてこちらは、やはり藤女子大学の学生さんプロデュースによる発泡酒、「CanaStory」。
ピンク色のお酒で、とてもおしゃれ。
商品のラベルデザインなども、学生さんが行っているそうです。
これは、他の大学とはまた少し違った産学連携ですね。
「センス」という武器が光っています。
↑そしてこちらは、弘前大学による、はちみつ。
なかなかの高級品です。
↑そしてりんごジュース。
うーむ、世間からの青森県イメージに応えるラインナップ、すばらしい。
というよりも、地元の大学がこうして様々な研究を続けているからこそ、特産品が特産品であり続けていられるのかも知れませんね。
ちなみにこのりんごジュース、ただのジュースではありません。
「医果同源」の名前の通り、多くのポリフェノールを含んだジュースで、様々な機能を持っているのです。
(毛髪にも良いらしいです。)
道行くお客さんに、熱心にこのジュースの効能を説明されているこの方は、弘前大学農学生命科学部准教授、城田安幸先生。
お客さんたちも、いろいろと研究内容について質問されていて、これぞ大学の食品フェア! という雰囲気でした。
それにしてもこの城田先生、試飲を呼びかけるタイミングといい、おばさま相手のトークの切れといい、説明のわかりやすさといい、すべてが絶妙。み○もんたレベルです。
想像するに、普段からこうした研究成果を持って、様々な場所で様々な相手に研究の説明をされているのではないでしょうか。
それって、とても重要なことですよね。
↑学生さんと一緒に、リンゴジュース「医果同源」を紹介してくれました。
会場の奥でどどーん! とのぼりを立てていたのは、佐賀大学。
「のどかなくせに国際派」って、ユニークなキャッチフレーズですね。
ここで販売されているのは、「バラフ」という、南アフリカ原産の植物です。
地中の塩分を吸い上げるという性質があるため、元々は塩害対策に持ち込まれたものらしいのですが、食用としても改良が進んでいます。
何しろ、そのまま地面から引っこ抜いた時点で、ほどよい塩味がきいている。これは確かに、おつまみによさそうです。
南アフリカに自生している物は、パサパサで塩っ気が強すぎるらしいのですが、改良を重ね、肉厚でみずみずしく、ほどよい味のものにしてきたとのこと。
先輩から後輩へと研究成果を引き継ぎながら、研究着手から製品化まで5年かかったそうです。
しかし、塩害対策の植物が、そのまま食用になったわけですから、面白いです。
このように研究が、思わぬ成果につながることもあるのですね。
↑そしてこちらが!
とっても珍しい「奈良漬けのアイス」を販売されている、奈良女子大学の方々です。
地元の奈良漬けが、刻まれた状態で、アイス最中の中に入っています。
地元企業との産学連携の成果です。
↑新聞社による、「モノ作り連携大賞特別賞」を受賞したプロジェクトだそうです。
ちなみに奈良漬けアイスの他に、大和の伝統野菜を使用したアイスもあります。
「漬け物」+「アイス」とは、斬新な視点ですよね。
↑「奈良漬レシピ」もいただきました。
「We Love NARA」のロゴと言い、地元密着の雰囲気が出ています。
というわけで、色々とご紹介させていただきました。
この他にも、様々な食品が出品されていました。
これだけの「大学発食品」を一同に集めた、主催者の方々に敬意を表します。
一般の方に実際に食べていただき、楽しみながら大学の研究成果を知ってもらおうという主旨は、大当たりだったのではないでしょうか。
マイスターはお昼過ぎには会場を出たのですが、その時はもう、人が多すぎて身動きが取れなくなりそうなくらい、熱気にあふれていました。
まさに、食の学園祭!
これだけ盛況なのだから、来年も行われるのではないかと思います。
その際は、会場の広さを倍にしても良さそうです。
フェア会場を出るときには、自分の昼食と職場へのおみやげでパンパンになった紙袋を、両手に持っていたマイスターでした。
で。
取材を終え、オフィスに戻ってお昼ご飯。
↓その日のマイスターの昼食メニュー。
【メイン】 藤女子大学 「いしかりバーガー」
【おかず】 佐賀大学 「バラフ」
【飲み物】 弘前大学 「医果同源」
【デザート】 東京農業大学 「(エミューの卵による)生どら焼き」
【デザート】 奈良女子大学 「奈良漬アイス」
デスクの上で、北海道から九州までの大学が夢の競演。
大学間連携ランチです。
欲望のままに食べたいものを買いあさっていたら、デザートが充実する結果になりました。
ちなみに「いしかりバーガー」ですが、なんとタコが入っています。
ハンバーガーにかじりついたら、「くにゃっ」という歯ごたえが返ってきたというのは、なかなか新鮮な体験でした。
「入ってますよ」というタコの自己主張を感じました。
初体験の食感でしたが、でもさすが製品化されているだけあって、おいしかったです。
↑これがバラフ。
表面に水滴のようなものがついていますが、これはプチプチした、「海ぶどう」のような食感のツブツブです。水滴ではありません。この部分や、茎の内部に、塩分が蓄積されているみたいです。
かじると、シャキっとした歯ごたえ。
で、生のままなのに、既に塩味。
うーん、不思議な野菜ですねぇ。
↑で、こちらが奈良漬けアイス。
地元の奈良漬けが、刻まれた状態で、アイス最中の中に入っています。
アイス自体も、酒粕のような味で、なんだか上品。
初めて食べた味でしたが、とてもおいしかったです。
そんなわけで、二回にわたり、『大学は美味しい!!』 フェアの様子をご紹介させていただきました。
会場のレポートは、今回で終わりです。
大学は、確かにおいしかった。
そして、それ以上に、面白かったです。
現在発売されている、『DIME増刊 大学は美味しい!!』には、今回のフェアに出品されている商品の開発秘話が掲載されています。
親切に、お取り寄せ方法まで書かれていますので、ご興味のある方は注文してみてください。
なお、こういった大学発食品の多くは、大学キャンパス内の生協などで購入できるようです。地元の商店などで販売されているものも少なくありません。
高校生や大学生の方々には、できればキャンパスツアーを兼ね、自分の足で大学まで食べに行くことをオススメします。きっと、楽しいですよ。(個人的には、エミューを飼育している様子を見てみたいです)
次回の開催時には、さらに多くの大学が参加するといいですね。
以上、マイスターでした。
今回、取材に快く協力してくださいました大学関係者の皆様、およびイベント主催者の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました!
※明日も、実はもうちょっとだけ、この話題を引っ張ります。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。