マイスターです。
二日間にわたるセンター試験もとりあえず終了。
色々とトラブルも起きているものの、まずは受験生の皆さん、おつかれさまでした。
受験生の皆さんへ、個人的にお願いをひとつ。
「センター試験が終わったらもう受験では使わない」という科目がある人は多いと思いますが、それらの教科書や参考書は、まだ捨てないでおいてください。
それらの科目の知識、大学入学後もそのうち必ず、必要になってきますよ。
さて、それでは日曜日ですので、この一週間のニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【オンラインマーケティングでの、大学対抗コンペティション】
■「AdWordsの最強の使い手はどの大学? Googleがオンラインマーケティング・コンテストを開催」(MarkeZine)
米Googleは、大学生と大学院生を対象にしたオンライン広告とマーケティングのコンテストを開催する。すでに世界中から700以上の大学が参加を表明しているが、日本からはまだ1校も登録していないようだ。
世界規模で行われる「Google Online Marketing Challenge」は、教授と学生、そして地元企業のコラボレーションによって成立する。Googleはこのコンテストによって、企業は無料のオンラインマーケティングを、学生は基調なビジネス体験を得ることができるとしている。
まず、教授が自分の学生をグループに分けてコンテストに登録すると、200ドル分のGoogle AdWords広告のチケットを与えられる。学生と教授は、従業員数100人以下で自社サイトを持ち、さらにAdWordsをまだ利用していない地元企業を探す。学生たちは、オンラインマーケティングの戦略を練ってその企業にプレゼンし、キャンペーンを実際に展開し、その結果をレポートとして提出する。期間は2月10日から5月24日までの3週間で、学生たちはレポートをキャンペーンの前と後の2回提出しなければならない。現在、すでに米国から724のチームが登録しているが、日本からエントリーした大学は現時点ではまだないようだ。登録締切は2月1日までなので、我こそはと思われる大学関係者はぜひとも挑戦してほしい。
(上記記事より)
Google社は、自社のサービスを使って、大学を対象にしたコンペティションをたまに企画します。
検索エンジンとして他を圧倒する存在感を見せつけ、経営的にも拡大している同社。こういったコンペティションには、教育に対する貢献と、学生達や社会に対するGoogleのブランディング、両方の意味があるんだろうなと思います。
AdWordsをより多くの人に知ってもらうことにもつながりますし。
でも、この企画、確かに面白そうです。
日本語による正式な告知は↓こちらにあります。
■「The Google Online Marketing Challenge のお知らせ」(Google)
「ご提出いただくレポートは英語になりますが、AdWords で使用する言語は自由に選択していただけますので、日本語でAdWordsのキャンペーンを展開していただくこともできます」とのことですので、日本の大学の皆さん、いかがですか?
賞金はないそうですが、「コンテストの勝者となったチームは、Google本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューに招待され、サンフランシスコの5つ星のホテルに1週間滞在することになる」のだそうですよ。
なお、現時点でどのような大学がエントリーしているかは、↓こちらから確認することができます。
■「Join the Google Online Marketing Challenge!(英語)」(Google)
近隣の国ですと、ソウル大学や延世大学、それに香港大学などが参加していますね。いずれも名門大学です。
このコンペ、経営学や地域の活性化を学んでいる人はもちろんですが、技術系の学生が経営を学ぶにも良いように思います。
実際、スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学など、技術と経営の両方に強い大学がやはり参戦しています。
日本の大学の皆さん、ぜひどうぞ!
【プロ養成の専門職大学院。多くが定員割れ。】
■「専門職大学院 生き残りへ…問われる教育の質 専攻の4割定員割れ」(東京新聞)
高度な専門的知識を身に付けた職業人の養成を目的に、二〇〇六年四月までに開設した国公私立と株式会社立の「専門職大学院」四十九校計六十六専攻(法科大学院を除く)のうち、約四割に当たる二十五専攻が定員割れになっていることが十二日、文部科学省の調査で分かった。
募集人員の半数に達していないのも七専攻あった上、分野による定員充足率のばらつきもあり、文科省は「要件が整っていれば設置を認可するが、設置目的や教育内容の質が社会の要請に応えられなければ生き残りは難しい」と指摘している。
定員割れだった専攻数は、分野別に見るとビジネス・技術経営(MOT)が二十八専攻のうち九専攻(32%)、会計が十四専攻のうち四専攻(29%)、公共政策が七専攻のうち二専攻(29%)。一方、公共衛生や知的財産、原子力、映画、ファッションなど「その他の分野」は計十七専攻のうち十専攻(59%)が定員を満たしていなかった。
定員充足率が50%未満の七専攻のうち、その他の分野が五専攻を占め、ビジネス・MOT、公共政策がそれぞれ一専攻ずつだった。充足率75-99%は十三専攻、50-74%は五専攻だった。
(上記記事より)
「定員割れ」にも種類があります。合格しても入学しなかった人が予想より多いと、数人程度の定員を割ることはあるでしょう。上記の「25専攻」の中には、そんな大学院もあると思います。
ただ、定員充足率が74%未満の12専攻は、ちょっとピンチですね。
採算が合っていれば無理矢理に定員を満たす必要はありませんが、とは言えあまりに少なすぎると経営にも響くでしょう。
専門職大学院の中には、中長期的な需要があるかどうかあまりリサーチせず、甘い見通しで設立したところもあると思います。
また中には、「ライバル校がやるからうちもやる」とか、「ないと格好がつかない」とかいった理由で設立を決めたんじゃないかな……と思わせるようなところも、ないとは言えません。
いずれにしても大幅に定員を割っているのであれば、早期に縮小もしくは募集停止をするのか、それとも本気で巻き返しを狙うのか、その決断をしなければなりません。
定員割れのときにこそ、大学の企画力・決断力が問われます。
【大学は食べ物の開発がお好き?】
■国立発商品が続々 東大泡盛 京大カレー 北大ハム」(Asahi.com)
キャンパス内の資源や日ごろの研究成果を生かした「大学発のブランド商品」が続々と生まれている。とくに国立大では04年度の法人化をきっかけに、大学間の生き残り競争が激しくなる中で急増。社会貢献の事例を人々の五感に訴える「大学の顔」として定着しつつある。キャンパス内にショップを設け、ネット通販に取り組むところも出てきた。
(上記記事より)
どんな商品があるのかは、記事のリンク元をご覧ください。
こういったニュース、最近多いのですが、どうやら多くの大学が目を付けるのは食べ物。
それも、「お酒」が多いように思います。
保存がきき、商品として抱えておける期間が長いことや、卒業生同士の贈り物として喜ばれることなどが、お酒が多い理由でしょうか。
農学系の学部学科があるところでは、研究成果を活かしたお酒なのかなと思いますが、たまに「どうしてこの大学がお酒を?」と思うような例もあります。
大学がこうした商品開発を進める理由のひとつは、ブランディング。
その割に、受験生が飲めない「お酒」が多いというのは意外な気もしますが、大学も受験生以外の幅広い層に対するコミュニケーション活動に力を入れはじめた、ということなのかもしれません。
【国立大学の誘致が進む?】
■「国立大への寄付規制が緩和、無償貸与可能に 喜ぶ自治体」(Asahi.com)
地方自治体が国立大を誘致する際の「壁」となっていた地方財政再建促進特別措置法(地財特法)の寄付規制が1月、大幅に緩和された。総務省は現行制度の運用を弾力化することによって、自治体が国立大に寄付できる範囲を広げた。同省は、自治体が国立大に施設を無償貸与することなど、今回の緩和で可能になる寄付の例をすでに自治体に通知。さらに緩和の幅を広げる政令改正の検討も始めた。
地財特法は55年、国が整備すべき施設まで自治体が造って国に寄付をしたことによって、当時の自治体財政が悪化した反省から生まれた。04年に法人化した国立大への寄付も、国に準じて禁じられている。
制定から半世紀、自治体が支出を厳選するようになった現在、規制緩和を求める声は自治体側から高まっている。02年には施行令を改正して国立大の研究開発などに限って寄付を認めた。しかし、学生の教育に使う施設については「整備するのは国立大の本来業務だ」として、無償で貸したり譲渡したりすることは禁じたままだった。
だが、07年11月、政府の地域活性化統合本部が規制緩和の必要性を提言。総務省は制度の運用による緩和に踏み切った。施設の無償貸与のほか、国立大が行う公開講座などの事業の経費負担や、ベンチャー企業などを育成する施設への国立大の入居などが可能になる。
(略)さらに総務省は政令改正を行う検討も始めた。実現すれば、自治体から国立大への土地や建物の無償譲渡や、国立大付属病院の運営費に対する補助金支出などが可能になる。規制緩和の幅が広がることで、地域活性化の手段として国立大を誘致する動きが活発化しそうだ。
(上記記事より)
用途がなく持てあましている土地や建物を大学に譲渡し、活用してもらう。
自治体が運用する施設の一部に国立大学が入り、事業を行う。
そんな活動が、これから促進されそうです。
地元の活性化というのは、ある意味、国立大学の本来の役割の一つでもありますし、こういった連携に期待をかけていた人もいるでしょう。
どのような成果が生まれてくるか、見守っていきたいところです。
ところで、ちょっと穿った見方をすると、公共事業としてつくってはみたものの全然使われず、市民から批判を浴びたりしているような施設って、全国にたくさんありそうですよね。
そんな悩みを抱えている自治体にとっても、今回の改正は渡りに舟なんじゃないでしょうか。大学の誘致が、無駄な公共事業の隠れ蓑にされる可能性もありそうです。
総務省が積極的に動いているのも、ひとつにはそんな側面があるんじゃないかな……なんて、悪いことを考えてしまうマイスターです。
【学食で学習。】
■「食料自給率、こんなに低いの? 東北大学食に特別メニュー」(河北新報)
日本の食料自給率の低さを実感してもらおうと、国産の食材だけを使ったメニューを提供する「日本SHOCK!(食)フェア」が15日、仙台市青葉区の東北大川内北キャンパス第一食堂であった。
法学部のゼミで食料安全保障を研究する2、3年生5人が企画。農林水産省が「戦後の食料難を脱した1950年代の水準のカロリーを満たす」ことを前提に作った献立例を参考に、国産のコメやイモなどを用いた基礎メニューを作った。
朝食は「ご飯一杯、ふかし芋(ジャガイモ)2個、ぬか漬け」で、昼食は「焼き芋(サツマイモ)2個、ふかし芋1個、リンゴ4分の1個」、夕食は「ご飯一杯、焼き芋1個、焼き魚」。学食の管理栄養士は「過度な栄養失調になる可能性は低いが、食べ続ければやせる人が出るのは確実」と分析した。
昼食を試した農学部2年の男子学生(20)は「国産の食事は予想以上にさみしい」と苦笑い。同級生の男子学生(19)は「消費者が食の在り方を見直さないと、自給率の問題は解決しない」と感想を話した。
(上記記事より)
元の記事には、メニューの写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
教科書などで学ぶよりもずっとリアルに、食糧自給率の低さが実感できそうです。
ゼミでの学習が大学キャンパス内の企画と連動し、それがまた、他の多くの学生に学びをもたらす。
これは面白い上に、意義のある企画だと思います。
最後に、もうひとつ、夢のあるニュースを。
■「宇宙→地球、飛べ紙ヒコーキ 愛好家と東大が検証試験」(Asahi.com)
宇宙から地上まで紙ヒコーキを飛ばそうという、素敵な試みです。
ある日、家に帰る途中のあなたのもとに、空から紙ヒコーキが舞い降りてくるかも知れません。
届いたら、東大に届けてあげてくださいね。
以上、今週のニュースクリップでした。
一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。