マイスターです。
昨今では、様々な雑誌が高等教育の動きを取り上げています。
一般紙からビジネス誌、20代向けからエグゼクティブ向け、男性誌や女性誌、日本の雑誌、海外の雑誌……大学というトピックを扱うにも、それぞれの雑誌の個性が出ていて興味深いです。
というわけで、今週発売されていた、↓こちらの特集が面白かったです。
■「Newsweek日本版:学歴新時代(2007-10・31号)」(Newsweek)
http://nwj-web.jp/
※リンク先の内容は、来週になったら次の号のものに差し替わってしまうと思います
具体的には、以下のような記事が並んでいました。
ちょっとだけ、内容をご紹介します。
【留学生よ 来たれわが国へ】
世界各国の政府および大学が、他国から学生を呼び寄せるために、いかに本気で力を入れているか……という内容の記事です。
世界トップを走るアメリカの名門大学については「留学生がやって来るのをただ待っていられる時代はとうに終わった」と書き、「中国やインドも大学改革や留学生勧誘に前例のない規模の予算をつぎ込んでいる」と続きます。
競争を勝ち抜く要因として、徹底した「国際化」が挙げられています。
外国キャンパスを設立し、国内にある本校と自由に行き来しながら学べる環境を整備する名門大学の取り組みは、脅威です。
アメリカのシンクタンク所長の、「これからの大学は……学生が入ってきたら、まずパスポートを取らせるくらいでないと」というコメントが印象的です。
早稲田大学国際教養学部の例を引き合いに出し、「アジアの大学では、英語で授業を行う学部の新設も目立っている。英米の大学にとっては無視できない動きだ」と書いています。
なるほど、日本でのこういった動きは、英語圏の大学の留学生募集担当者にとっても大きな変化でしょうね。
【IT大国の使えない技術者たち】
インドや中国の大学が急成長しているとよく言われるけれど、実態は問題も多い、ということを指摘する記事です。
インドでは毎年50万人の若者が工科系の大学を卒業するけれど、国内の企業の採用担当者が見てそのうち採用に値するのは25〜30%であるとか、コンピュータ科学の博士号を取得する学生はインド全体で50人にすぎない、とかいった数字が並んでいます。
そうなってしまう理由については、実際の記事の分析を読んでみてください。
【国境なき大学へ ヨーロッパの挑戦】
ヨーロッパ内で高等教育の障壁を取り払う「ボローニャ・プロセス」の現状を取り上げた記事です。
「欧州高等教育圏」の創設に向け、課題になっていることと、順調に進んでいることが紹介されています。
【完璧な願書より素顔を見せて欲しい】
アメリカの「入学選考部長」による記事です。
そう、本家本元の、いわゆる「アドミッションズ・オフィス」の責任者の方ですね。
大学入試に関わる方には面白い内容だと思います。
【BRICsでは私立ブーム】
かつては「政府の独占事業」であった途上国の高等教育も、経済成長や規制緩和によって民間参入が進んできた、という内容です。
私学の長所と短所を両方挙げながら、私学で学ぶ学生が増えている現状を解説しています。
……と、世界の高等教育事情について、このように様々な切り口の記事が掲載されています。
マイスターは別に『Newsweek』の関係者でも何でもないのですが、せっかく高等教育の特集をやっていましたので、ちょっとご紹介してみました。
この『Newsweek』や『TIME』、『クーリエ・ジャポン』といった海外メディアの視点は、たまに読むと新鮮です。
これらの、国際的に広く支持を集めているような雑誌は、欧米だけでなくアジアや途上国などの問題を(日本の雑誌に比べると)割とバランス良く取り上げているように思います。教育関連の記事についても、そんな印象を受けます。
日本の国内メディアがダメと言っているわけではありません。日本の話題は、当然日本のメディアの方がずっと詳しいですし、海外の動きについても興味深い記事はしばしば見かけます。
ただ、やはりこうして海外の様々な動きを一気に特集できるのは、国際的な雑誌ならではでしょう。わかりやすくまとめられていますから、背景にある動きもわかって勉強になりますし。
ご興味のある方、いかがでしょうか。
以上、マイスターでした。