マイスターです。
ここ数日、コンビニの書籍売り場でよく見かける本があります。
■「ダカーポ特別編集『早稲田大学の実力』」
http://book.magazine.co.jp/action/detail.do?seizoBumonCd=DCZ&seizoGosu=200702
金色の装丁で、でっかく「早稲田大学の実力」というキャッチーなタイトル。
しかもマイスターの家の近くのコンビニでは、レジ付近にずらーっと立てて並べてあるので、とても目立っていました。
買っていく人を、ちらほら見ました。
ビジネス誌などが、しょっちゅう大学特集(各種のランキングや世間からの評判etc.)を組むことからもわかるように、日本のオトナは、大学の話題が好きなようです。
(人のことは言えませんが……(^_^;))
しかし、一つの大学だけの特集でコンビニのレジ横を独占し、しかもそれが売れるというのは、ワセダくらいのものなんじゃないでしょうか。
内容が、またすごい。
この本では、多様な業界で活躍する、多様な卒業生達のインタビューが掲載されています。
政治、経済から文芸、文化・スポーツ、ジャーナリズム、学術の世界まで、その顔ぶれは「さすが早稲田……」と驚くやら感心するやら。
とにかく豪華なのですが、そうやって登場するOB、OGのほとんどが、
「大学ではサークルに打ち込んでいた」
「大学の授業で学んだことはない」
「大学はモラトリアムだった」
という趣旨のコメントをしているところが、すごいのです(^_^;)
(さすがに、教授の皆様は違うコメントをされていますが)
文筆業の方やタレントさんに偏った構成であるとはいえ、やっぱり大胆です。
逆に、早稲田の卒業生の、良い意味での批判的精神を感じました。
他の大学だったら、今、こうした本を出版することはできないかも知れません。
それが、ある種の魅力を帯びる形で、こうして現在でも堂々とアピールできるのは、ワセダだからでしょう。
こういうのを見ると、
「早稲田大学には、この本に登場しているOBのような、自由な学生時代を過ごす若者が減ってきている」
「また、こういう学生が集うワセダになって欲しい」
という、大人達の願望のようなものを感じます。
でも同時に、やはりちょっと考えさせてしまいます。
しばしば指摘されることですが、年輩の方、特に、学生運動時代にキャンパスに通っていたいわゆる団塊世代以前の方が大学を語るときは、どこかノスタルジックな空気が漂います。
そこで語られるのは、
「昔は、学生同士で明け方まで議論をしたもんだ」
「授業なんかには出ないで、サークルに打ち込んだものだ」
「学校には行かず、○○先生のところに入り浸って、その中で色々なものを学んだものだ」
といった、「古き良き大学」のイメージです。
この本に限らず、そういうトーンで「理想的な大学像」が語られることは、あります。
で、マイスターは、こうした大学のあり方が良いか悪いかは別としても、何だか、極端な語られ方だなぁという気がするのです。
授業や研究だけからすべてを学べるというわけではないけれど、かと言って
「大学生にもなったら、授業になんか出ないで、周りから自分で学べ。
大学とは、そういう場所だ」
と言い切ってしまうのもどこか乱暴だと、個人的には感じるのです。
どちらか一方に極端に針が振れているような大学像ばかりが語られていて、なんだかバランスが悪いなぁ、という気がしてしまいます。
昔は、大学から学べる内容よりも、同級生から学べる内容の方が多かったかも知れません。また、学生運動のときには、そもそもあまり授業を受けられなかったから、大学生活のそういう面が強調される、という部分も少しはあると思います。
でも、だからといって今この現在、「これからも大学で学べることなんて、ないよ」と若い方々に言う気には、マイスターはなれません。
そもそも、昔と今とでは、社会を取り巻く環境も、そこで求められる力も違います。
当然、大学の役割も、違ってきているはずです。
それに、18歳の時点で身につけている能力も違います。
そもそも、大学にいるのは、18歳だけではありません。
卒業の時点で、期待される能力も違います。
そう考えると、「昔は良かった」「昔の大学は良かった」式の話は、あまり建設的ではないように、マイスターは思うのです。
でも、この本を読むと、現在、各界で活躍されている人達は、そうは思っていないのかなぁと感じたりもするのです。
……と、そんなことを感じながら、この本を読んでおりました。
通常なら、「こうした本の出版による広報効果は見逃せない」などと語るところですが、普段から上記のようなことが気になっておりましたので、この機会に書かせていただきました。
(※この本では、もちろん他の面についても色々と書かれていますし、実際マイスターも、色々なことを感じたのですが、上記のような部分が、一番印象に残ったもので……)
もちろん、人によってこの本の感想は様々でしょう。
高校生なら、「何だか楽しそうな大学だなぁ」と憧れるかも知れませんし、既に社会で活躍している団塊世代の方々は、「昔のようなワセダに戻って欲しい」と考えるかも知れません。
皆さんは、どのような感想を持ったでしょうか。
以上、マイスターでした。
コンビニで一大学の特集号が並ぶ、というのが
凄いですね。
印象的だったのは、ヒップホップMCライムスターの宇多丸氏が言っている(早稲田卒であったことも驚きですが)
「早稲田はモラトリアムを過ごすにはベストの空間でしょう。でも本当に勉強したいやつは
ICU(国際基督教大学)を目指せと言いたい!(p44より)」
です。勉強するにはいい環境ではない、
ということを卒業生が堂々と言ってしまえるところが早稲田の力かもしれませんね(^^)
早稲田卒OBがマスコミを私的に利用してるとしか思えませんね。それほど危機感を持っているということでしょうかね。