ニュースクリップ[-8/19]「横暴患者に大学病院苦悩、昨年は暴力430件暴言990件」ほか

マイスターです。

今週も日曜日になりましたので、恒例のニュースクリップをお届けします。

大学病院で暴れる患者のみなさん。
■「横暴患者に大学病院苦悩、昨年は暴力430件暴言990件」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070819it01.htm?from=top

全国の大学病院で、昨年1年間に医師、看護師が患者や家族から暴力を受けたケースは、少なくとも約430件あることが、読売新聞の調査で明らかになった。

理不尽なクレームや暴言も約990件確認された。病気によるストレスや不安が引き金となったケースも含まれているが、待ち時間に不満を募らせて暴力に及ぶなど、患者側のモラルが問われる事例が多い。

回答した病院の約7割が警察OBの配置などの対策に乗り出しており、「院内暴力」の深刻さが浮かび上がった。

(上記記事より)

記事の続きに被害の具体例が掲載されていますので、詳細は上記リンク先をご覧ください。びっくりします。
病院で働いている職員が、患者から怪我を負わせられるなんて、大変な時代です。

けがを負う病院職員は少なくないが、「病気を抱えて弱い立場にいる患者と争うことはできるだけ避けたい」という意識から、警察に届け出ない場合も多いという。

精神疾患や重い病気で心理的に追い詰められた患者が、暴力や暴言に走ってしまった事例もある。しかし、多くの病院は、それ以外の患者や家族による理不尽な行為に悩んでおり、「(一部の患者から)ホテル並みのサービスを要求され、苦慮している」(慶応大病院)との声が上がっている。(上記記事より)

と、病院ならではの苦悩もあるようで、気の毒です。

病院に限らず、このように、あらゆる場所で「すべての面で最上級のお客様待遇を求める」という人が増えているように思います。
「極端に非常識な人が目立ってきた」のか、「普通の生活をしている常識人の間で、社会サービスに対する認識が変わってきた」のか、一体どちらなのでしょう。どっちもでしょうか。

今では、学校に過大な要求を突きつけてくる保護者を「モンスター・ペアレント」なんて表現しているメディアもあります。学校と保護者の関係も、病院と患者のそれに似た問題があるように思われます。

そう言えば少し前までは、国際線の航空機内で、キャビン・アテンダントに過大で理不尽な要求を行ったり、暴力をふるったり、傍若無人な振る舞いをしたりする例が問題になっていました。国際線の機内で暴力をふるう人が出ても、それを罰する法律がなく、航空会社も泣き寝入りをするしかなかったのが原因だと聞いたことがあります(違っていたらご指摘ください)。それが、現在は法が整備され、機内での暴力行為に対しては、然るべき罰則が与えられるようになったのだと記憶しています。
もっともその後、それが抑止力として有効に機能し、暴力事件が減少したかどうかまでは、マイスターは知りません。
詳しく調べたら、そこから学校や大学病院で起きている問題を解決するヒントなども得られそうな気もしますが、お詳しい方がいらしたら、教えてください。

「社会人基礎力」を、「採点」?
■「大学生の社会人力を産官学で採点・阪大やリクルート」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070817AT3S1600A16082007.html

経済産業省は、若者が社会で仕事をするときに必要になる対話力や協調性などの「社会人基礎力」を大学や企業が採点する仕組みをつくる。企業と大学が共同でカリキュラムを開発し、経産省が資金面で支援する。学校の成績は一定以上でも会社生活に対応できなかったり、就職後にすぐやめたりする若者が多いことに対応する。

経産省は9月から全国の大学などと協力してモデル事業を始める。事業に参加するのは、大阪大学や宮城大学、東京電機大学など7大学。リクルートやサークルKサンクスなど企業も協力し、学生の同意を得て独自のカリキュラムを進める。

(上記記事より)

「社会人基礎力」。この通り、すっかり市民権を得た感があります。
もっとも個人的には正直言っていまだに、内容にも字面にも違和感を覚えています。しかもそれを「採点」するのだそうで、ますます、イメージが浮かびません。一体、どのようなものになるのでしょう。

ところでこれ、リクルート社が採点の仕組みをするのでしょうか。
内容はこれから作られるのでしょうから、いいか悪いかはまだマイスターにはわかりませんが、なんとなく、微妙な気分です。

同社は何しろ、「リクナビ」に登録して、(リクルートが開発した)「SPI試験」の対策を行わないと、新卒の就職活動が実質的にできない……という仕組みを作り上げた会社です。
現在の日本の新卒採用システムは、実質的にほとんどリクルートが構築していて、多くの企業は「その上に乗らざるを得ない」という状況なんじゃないかとすら、マイスターなんかはたまに感じたりします。

おまけに、いざ内定を得た会社で働き始めた途端、すぐさま「リクナビNEXT」(リクルートの転職サービス)に登録させる仕組みも、ここ数年でできあがっています。
うむむ、なんと商売のうまい会社、でもこれってOKなのかなぁ……などと唸ってしまいます。

日本の大卒新入社員に何か問題があるのだとしたら、(その仕組みを作っている)リクルートにもちょこっとは責任があるんじゃ? なんて正直思わないでもありません。
この上、「社会人基礎力」の仕組みにまで、他ならぬそのリクルート社が関わるとしたら、なんていうか、社会に対する同社の影響力が強くなり過ぎやしないでしょうか。
少し心配です。

シニア研究者、ボランティアで活躍。
■「山形大学長、退任後に『シニアボランティア』で南米へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070815i501.htm

今月末で2期6年の任期を終えて退任する山形大の仙道(せんどう)富士郎学長(69)が、国際協力機構(JICA)の「シニア海外ボランティア」として、今年12月から2年間、南米・パラグアイに派遣されることになった。

「学長を辞めたら海外でボランティア」と“第二の人生”を考えていたといい、専門の免疫学の知識を生かし、保健・医療関係者に感染症対策などを指導する

(上記記事より)

団塊世代を中心にしたこれからのシニア層には、定年後もアクティブに社会に関わっていこうとする方が多くおられるのではないかと思います。
研究者の方の場合はさらに、専門の知識や経験、語学力、これまでに築いた人的ネットワーク等を活かして、その人ならではの活躍が期待できそうです。

というわけで上記は、まさにそんな例です。
3年前から現地語を学び始めるなど、かなり計画的に準備をしてこられたようで、その行動力には頭が下がります。

今は教育でも、国際貢献でも、その他各種の非営利事業でも、シニア研究者の方々の活躍が求められている場面がたくさんありそうですね。

がんばれ理系女性。
■「増やせ!理系女子 大学が中高生対象にサマースクール」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/kyouiku/070806/kik070806000.htm

最先端の科学や技術に興味を持ってもらおうと、この夏、女子中高生を対象にしたサマースクールが各地で開かれている。理科離れがいわれ、とりわけ理系への進学を敬遠しがちな女子。科学への夢をはぐくんで進路選択の幅を広げてほしいと、ロケット打ち上げや体験合宿など、大学側が知恵を絞ったプログラムを準備している。

(上記記事より)

先進諸国と比べて日本では、理工系に進学する女性が少ない……これはしばしば指摘される事実です。

そんな現状を改善させるため、現在では文科省の支援なども受けながら、各大学が「理系女性」を増やそうと努力を重ねています。
上記の記事には、そんな例が並んでおりますので、興味のある方はリンク先をご覧ください。メディアで紹介されることも多いので、いくつかはご存じかも知れませんね。

科学技術分野で身近に活躍するロールモデルがいないといった要因に加え、「保護者や教師の意識も影響している」と日本女子大の黒沢格(いたる)教授は指摘する。資格を取れる医歯薬学部と違って、明確な将来像が描けないとの誤解があるというのだ。

(上記記事より)

上記のような意見もしばしば紹介されますが、マイスターもこの内容、同感です。

ちなみにマイスターの実感で言うと、確かに理系の学科には女子学生は少ないかも知れませんが、彼女たちがその学科の成績上位を占めていたりすることもあります。

韓国の場合。
■「学士・修士・博士8年で終える課程新設…梨花女子大」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=90113&servcode=400&sectcode=400

李培鎔(イ・ベヨン)梨花(イファ)女子大総長(写真)は9日「早ければ来年から理工系新入生が大学入学後、8年で博士学位を取ることができる制度を取り入れる方針だ」と明らかにした。李総長はこの日就任1周年を迎えた記者懇談会で「女性学士・修士・博士8年理工系教育モデル」を発表した。

この制度のアイディアは李瑞九(イ・ソグ、生物学)教授が出した。李教授が教育人的資源部の財政支援をもらって「生命工学融合体制構築事業」研究を進行し、学士から博士まで連携する制度の必要性を感じたというものだ。女性理工系研究人材は結婚・出産問題のため中途であきらめる場合が生じるからだ。

(上記記事より)

というわけでこちらは、韓国の事例。
通常より短い期間で学位が取れるプログラムだそうです。

このプログラムができたことで、実際にどのくらい理系女性が増えたのか。
そのあたり、マイスターも興味津々です。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでいただきまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。