ニュースクリップ[-7/23]「『ニセ学位』実態を調査 文科省、全国の大学に照会」ほか

休日がむしろ忙しい、マイスターです。

すみません、昨日は日曜日でしたので「ニュースクリップ」を書くべきだったのですが、土日に関係なく働いているため、日曜日だということを完全に忘れていました。

……orz

というわけで、いつもと違うリズムで申し訳ございませんが、一日遅れでニュースクリップをお届けしたいと思います。

学位の「質」調査始まる?
■「『ニセ学位』実態を調査 文科省、全国の大学に照会」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007072301000075.html

研究や教育活動の実体が確認できず、実在するかどうかさえはっきりしない海外の大学で取得した“学位”が、日本国内で大学教員の採用の際などに悪用されている実態を把握するため、文部科学省は23日までに、国公私立大の人事部局を対象にした全国調査に乗り出した。今秋にも結果を公表する。

こうした海外の大学は「ディグリーミル(DM、学位工場)」などと呼ばれ、米国では取得した博士号などの学位を就職に悪用するケースが問題化。国内でも最近になって大学案内の教員紹介などで、DMとみられる大学・研究機関の学位が十分にチェックされないまま掲載されている事例が表面化している。

(上記記事より)

ディグリー・ミルとか、ディプロマ・ミルとか呼ばれる大学の存在が、日本でもここ数年、話題になり始めています。

(過去の関連記事)
・アメリカで流通する「ニセ学位」(2005年10月04日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50064702.html

例えばアメリカの場合、大学を設立して学位を発行するのは、日本に比べて非常に簡単です。「自称、大学」みたいな機関も山ほどあります。いい加減な運営をしていて、お金次第で簡単に学位を発行してしまうような大学もあります。
それがいわゆる、「ディグリー・ミル」です。

普通の大学と違うのは、ちゃんとした認証機関から認証を受けていないということです。アメリカの場合、大学の価値というのは国が決めることではなく、第三者の認証機関が判断し、認証するものなのです。
まともでない大学は、ちゃんとした認証を受けていません。そして認証を受けていない大学の学位には、価値はありません。

ですから「ニセ学位」というよりは、「ゴミ学位」みたいな表現の方が実態に近いかも知れません。
こういった「価値のない学位」であることをご本人がご存じなく、プロフィールに記入しているケースもあるのではないかと思います。

文科省が全国を調査するということですが、「え!? これってニセ学位だったの!?」などとビックリされる方が、少なからず出そうです。

(ただこれって、文科省が調べることではなく、個々の大学が自分達で調査すべきことじゃないかなぁ、って気もします)

ニセ進学成果。
■「ほかに4校も受験料負担 大阪府、全私立高調査へ」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200707240099.html

大阪市の私立大阪学芸高校が有名私大の受験料を負担し、成績優秀な生徒に大量出願させた問題で、同校のほかにも大阪府と兵庫県の私立四高校が受験料を肩代わりして生徒に多数の学部を受験させていたことが二十三日、分かった。

四校は大阪青凌高(大阪府高槻市)、履正社高(同府豊中市)、仁川学院高(兵庫県西宮市)、神戸学院大付属高(神戸市)。大阪府私学課は府内の私立百一校すべてを対象に、受験料負担の有無などを調べる方針。

(略)センター試験での入試のほか一般入試で肩代わりした高校もあり、受験料は各校で毎年数十万円から百万円前後。仁川学院高では校長や理事が私費で負担し、神戸学院大付属高では教職員の積立金から出していた。

(上記記事より)

(過去の関連記事)
・進学実績PRのため、優秀な生徒に大量出願させていた高校(2007年07月20日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50328826.html

またしても全国に……?」と思っていた矢先、さっそく出始めました。
違法ではないが社会的に許されない行為だという点では、「ディグリー・ミル」と同じです。

これはまだ、氷山の一角だと思います。大阪府がちょっと調べただけでこれですから、全国で調べたら、数十・数百という高校がリストアップされる可能性があります。
文科省は、どちらかといえば、こっちをちゃんと調べた方がいいかもしれません。

Googleっぽい発想?
■「『博士余り』解消へ『20%ルール』!?物理学会が提言」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070716i501.htm

若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を――。日本物理学会(坂東昌子会長)が、こんなユニークな提言を発表する。

「20%ルール」は米企業「グーグル」などが取り入れて、社員のやる気を引き出しているが、学会が呼びかけるのは異例。背景には、博士号を取得しても、希望する研究職につけない「博士余り」の問題がある。若手博士の視野と発想力を広げ、企業など幅広い分野で活躍させるのが狙いだ。

これまでの若手指導は、一つのテーマに集中することが良いとされる傾向があった。ただ、専門性の高さを「視野が狭い」「社会性がない」と企業側はみなし、博士の採用を敬遠。博士も企業と接点がなく、就職に積極的ではなかった。

同学会では、若手が異分野の研究も行うことで人材としての魅力がアップすると考えた。たとえば、素粒子や宇宙論の研究者が経済を研究して金融に進んだり、渋滞の仕組みを研究して交通関係に進んだりすることをイメージしている。

(上記記事より)

もともと20%ルールというのは、Google社の取り組み。「業務時間のうちの20%を、自分が重要だと思うプロジェクトに費やせる」というものです。GmailやGoogle Newsなど、同社のサービスのいくつかは、この20%ルールの成果として生まれたものです。
興味のあることをやっていい、という自由が、同社の爆発的なクリエイティビティを支えているわけです。

上記の物理学会の場合は、「好きな研究ばっかりではなく他のこともやっておかないと、視点が狭くなって、進路が拡がらないよ」という主旨なのかな、と思います。Googleのそれとは、若干違うようですね。

ちなみに個人的には、企業の方や大学職員などの間に、「自分の時間の何パーセントかを、自分の企画や研究に使っていいですよ」という動きが生まれたら面白いのにと思っています。

ポートアイランド、大人気。
■「甲南大学、中央区ポートアイランドに進出」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070719c6b1902o19.html

神戸市は19日、中央区ポートアイランド2期地区への甲南大学の進出が決まったと発表した。甲南大はナノテクノロジー(超微細技術)とバイオの融合を目指した「フロンティアサイエンス学部(仮称)」と大学院を2009年4月に開校する。生命現象を分子レベルで解析する「ナノバイオ」分野の世界的な拠点を目指す。

予定地は理化学研究所の次世代スーパーコンピューター整備予定地の西隣約1ヘクタールで取得金額は9億6000万円。

(上記記事より)

以前、↓こんな記事をご紹介しました。5つの大学が隣接して開校する事例をご紹介したものです。

(過去の関連記事)
・神戸ポートアイランドに5つの大学&短大…集中による相乗効果はいかに(2006年12月12日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50270763.html

今回の甲南大学は、これらの大学と隣接しているわけではないようですが、しかしポートアイランド、大変な人気ですね。
一気に、いくつもの大学がひしめき合う、大学集積地域になってしまいました。

飛行機をチャーターして授業。
■「九州産業大:航空業界目指す学生ら、空の上で実践講義 /福岡」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/07/20070719ddlk40040267000c.html

九州産業大(東区)は18日、航空業界への就職を目指す学生を対象にした特別講義を、スターフライヤー機(A320型、144人乗り)をチャーターして実施した。商学部観光産業学科の2、3年生23人が、北九州空港を出発して松山市-高知市-鹿児島市-福岡市上空を巡る約1時間半のフライトの間、客室乗務員(キャビンアテンダント=CA)に狭い機内での接客の仕方、保安要員としての心構えなどを学んだ。

特別講義「航空業界実践研究」の一環で、機内の講義は3年連続。4~7月の計6回、スターフライヤーの現役パイロット、CA、整備士から講義を受けており、「機上講義」はその総仕上げとなる。北九州空港到着後は、機内でCAの指導を受けながら、実際に飲み物を乗客に提供するトレーニングもした。

(上記記事より)

キャビンアテンダントの重要な業務は、保安です。実際の飛行機で学べば、確かに緊張感もあるでしょう。
しかし、かなり贅沢な教室です。

ところで、かかった費用は200万円だとのこと。受講生は23人ですから、一人当たり10万円近いフライトになりますが、費用はどういう形で負担したのか、個人的に興味があります。

以上、今週のニュースクリップでした。

先週も一週間、本ブログにアクセスしてくださいまして、ありがとうございました。
今週も(既に一日過ぎてますが)どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。