大学の「地域貢献度」調査 上位はほとんど地方国立大学

マイスターです。

先日、「国立大学の運営交付金を研究費ベースで振り分ける」、という案を財務省が提示しました。

その後、地方国立大学の方々などから、財務省への批判や反対意見が噴出。
その中で、

「研究力だけで評価されては困る。本学は、地域に貢献してきた」

といった意味の言葉が、しばしば飛び出していたようです。

さて、今日は↓こんな報道をご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「全国大学の地域貢献度調査 専門系大学が健闘 工学部系が旗振り」(日経グローカル)
http://www.nikkei.co.jp/rim/glweb/index.htm
■「地方国立大や単科大、地域への貢献活発・日経調査」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070702AT3S0100601072007.html
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大学の研究や人材の力を地域に役立てる地域貢献への取り組みが進む中で、新たなけん引役として地方の単科大学が浮上し、総合大学に迫る勢いであることが分かった。
日本経済新聞社が実施した「大学の地域貢献度ランキング」調査によると、総合ランキング1位の室蘭工業大、3位帯広畜産大、北見工業大、10位豊橋技術科学大、岐阜県立看護大など、ベスト100に入った105大学のうち半数近くの44大学が専門系大学だった。中でも地元産業界との産学連携や行政との連携で成果を出してきた工学部系大学が4分の1と多い。

(「全国大学の地域貢献度調査 専門系大学が健闘 工学部系が旗振り」(日経グローカル)より)

日経は、webサイトランキングなど、他にも大学関係のランキングを公表していますが、今回はなんと大学の「地域貢献度」。

「日経グローカル」のサイトでは、上位22位の大学が公表されています。
結果を見てみると、22校の内訳は以下の通り。

国立大学 14校
公立大学 3校
私立大学 5校

圧倒的に、国立大学が地域に対して貢献しているという結果が出ています。
ちなみに上位の顔ぶれは……

1位 室蘭工業大学
2位 信州大学
3位 帯広畜産大学
3位 北見工業大学
3位 岩手大学

……と、地方の大学ばかりです。

そして、記事でも指摘されていますが、理系の専門系大学が中心です。

都内の大学は、19位の東京工業大学くらいで、上位には見あたりません。

また、地方は地方でも、旧帝大の名前は出てきません。

このように、地方国立大学の関係者は「それ見たことか」と喜ばれそうな内容です。

が、残念なことに上記のサイトでは、このランキングがどのような評価軸や採点基準で作成されたものなのか、一切説明されていないのです。
なので、これらの大学が地域に対してどのようにすばらしい存在なのかということは、正直、よく分かりません。

(「日経グローカル」の冊子を購入すれば書いてあるのでしょうか?)

その辺りも、詳しく知りたいですよね。
詳細がわかりましたら、またご紹介するかも知れません。
本日のところは、とりあえず「こういう調査結果が出たみたいですよ」というお知らせとして。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 確かに、これだけを見ると、誰が、何に対し、どんな基準で何を評価してもらったのかがよくわかりません。
    そもそも地域貢献といいますが、それは地域にとってだけではなく、大学にとってもプラスに働くものであることが大切だと思うのですが。
    そのあたり、大学側が、自らの地域貢献についてどう評価しているのかについてもあわせて比較考察することが大切であると思います。

  • 地方大学に勤務する者ですが、ランキングの根拠となる資料を入手したところ、一部いいかげんな基準で判断されているようです。地域貢献で生きていくしかない地方大学の貢献度を取り上げてくれるのは大変ありがたいことですが、実力以上の評価を受けることは当該大学にとって決していいことにはつながりません。