ニュースクリップ[-7/8]「教員志望は首都圏お得 狭き門の東北に教委がPR」ほか

いったい梅雨はいつ始まっていつ終わったのか。それともまだこれからなのか。よくわからないうちに、気づけば7月を迎えていたマイスターです。

今週も日曜日を迎えましたので、恒例の、ニュースクリップをお届けしたいと思います。

地元ではなく、我が県で教員になりませんか?
■「教員志望は首都圏お得 狭き門の東北に教委がPR」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0706/TKY200707060387.html

7月から本格化する教員採用試験で、受験者の争奪戦が首都圏で起きている。団塊世代の大量退職に備え、新人の先生が大量に必要になったためだ。とりわけ各教育委員会が熱い視線を向けるのは、まだ「狭き門」の東北の学生たちだ。地元志向が強い学生に目を向けてもらおうと、魅力をPR。大学側が首都圏での受験を支援する動きも出ている。
(略)
教員採用試験などの予備校「東京アカデミー」によると、07年度採用の小学校教員の場合、東北では試験の倍率が20倍を超えた県もあるのに対し、首都圏では軒並み3倍前後。08年度の倍率もほぼ同じ傾向で、地元志向が強い東北でも「首都圏を併願先とする学生も目立ってきた」という。

東京都教委は大量退職に備え、社会人選考を設け年齢制限を緩めるなどの対策を取ってきた。その成果もあって応募者数は右肩上がりだが、ここ数年でピークを迎えている退職者の数に追いつかないのが現状だ。そこで、従来の仙台に加え、今年は初めて盛岡でも説明会を開催。青森や秋田の学生も出て来やすく「東北全体を視野に入れられる」ためだ。

埼玉県教委も昨年から仙台で受験できるようにし、今年の説明会は東北だけで9大学を回った。「都会は自分に合わないと思っている学生が多い」という大学側の声を受け、「埼玉は自然がたくさんあってあまり都会ではない」と適度な田舎度合いをPR。千葉県と千葉市教委も「幕張のような大都市もあるし、豊かな自然もありますよ」とアピールした。

こうした動きを受け、東北の各大学も首都圏での受験を支援。弘前大や山形大は無料バスを走らせている。

今年初めてバスを出す岩手大は6日朝、キャンパスから約50人を送り出した。川崎市教委の説明会の後、今春行ったアンケートでは、「地元で臨時採用を待つよりも、本採用の確率の高い川崎市で受験した方がよいと感じた」などの回答があったという。

(上記記事より)

教員採用試験の競争率が、地方によって大きく異なるため、このような現象が起きているとのことです。
「逆 Iターン就職」みたいなことになっています。

東北から学生を招き入れるために、
「『埼玉は自然がたくさんあってあまり都会ではない』と適度な田舎度合いをPR。」と言う埼玉県教委の方々をはじめ、必死です。
学校の現場が維持できるかどうかが、この採用にかかっているわけですから、無理もありません。

ただ(記事の中でも指摘されているのですが)こうなることは何年も前からわかっていたはずなのだから、もっと早くに手を売っておけばよかったのではないかな、なんて思ったりもします。

様々なところに影響が。
■「LEC大10校 募集停止」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070703ur21.htm

構造改革特区制度を利用して株式会社が初めて設立した「LEC東京リーガルマインド大学」(反町勝夫学長)が、全国14校のうち、2008年度から札幌、宇都宮、千葉、静岡、岡山、北九州など10校の学生募集を停止し、首都圏と大阪の4校に縮小する意向を各市に提示していることが3日、わかった。

これを受け、札幌市は特区計画を廃止する。(略)札幌市は、特区計画の目標として、〈1〉株式会社の学校設置による高度なキャリア教育〈2〉高い専門性を持った人材の育成による地域の活性化――を挙げていたが、頓挫する。札幌校には現在、36人が在学中で、市は在校生が卒業した段階で、特区計画を廃止する。

LEC大は、募集停止について「自治体と協議中で、まだ決定していない」としている。

(上記記事より)

LEC大学が問題を起こした結果、札幌市の特区計画が廃止されることになりました。
今回の問題で、札幌市および札幌の学生は、同大に振り回される格好になってしまいました。

■「LEC大生から不安の声。札幌市は釈明に躍起」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20070704wm01.htm

こんなことがあった以上、今後、他の学校が札幌で特区計画を持ちかけても、実現は難しいかもしれません。
様々なところに影響を与えてしまっています。

(過去の関連記事)
・「文科省、LEC大に改善勧告へ 設置基準に違反の疑い」(2007年01月22日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50282439.html
・LEC大学の改善計画が発表されました(2007年02月24日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50292669.html

自殺予防の教育。
■「『自殺予防学』開講へ 秋大大学院、専門家の育成目指す」(さきがけOn The Web)
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20070627d

秋田大学は、自殺予防対策を担う人材育成を目指し、大学院に「自殺予防学」を開講する方針を固めた。地域や職場で実践的に自殺予防にかかわる専門家を育成したい考え。本格実施は来年度以降だが、11月からは市町村職員や保健師らを対象にした講義をスタートする予定。

同大の「高齢社会における自殺予防の学際的研究創出事業」は、本年度から3年間、文部科学省の補助対象事業に指定されており、同事業の一環として講義を開設することにした。初年度の補助額は約1700万円。

講義は、自治体職員や保健師らを対象にした「実務者向け」と、大学院生らを対象により高度な研究を目指す「上級者向け」の2本柱で想定している。

(上記記事より)

非常にユニークな、しかし確かに必要とされている講義だなと思います。「実業者向け」と「上級者向け」の分け方も適切かなと感じます。
こういった講義が各地域で計画されることは、重要です。秋田大学の試みの成果が、いずれ全国に波及するようになるといいですよね。

国際的な研究機関にするために。
■「国際学校検討委が発足 研究者の子弟受け入れ」(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24934-storytopic-7.html

県企画部は25日午後「インターナショナルスクールのあり方検討委員会」の第1回会合を県庁で開いた。沖縄科学技術大学院大学の研究者の子弟をはじめとする児童、生徒が通う沖縄型インターナショナルスクールのイメージをまとめ、2007年度中に検討報告書を作成することを確認した。
(略)
インターナショナルスクールは、英語で授業を行う小中高一貫教育を想定。大学院大学の研修者の子弟だけでなく、英語教育を希望する日本人の受け入れも含め、国籍を問わず生徒を募集する方向で検討を進める。

(上記記事より)

各国から研究者が集まる、国際的な研究拠点になる予定の、沖縄科学技術大学院大学。
海外から人材を集める場合、その家族のための環境整備という視点が欠かせません。
特に、子弟のための教育をどう確保するかという問題が大きな課題であるということは、以前から指摘されていました。

そこで持ち上がっているのが、上記のインターナショナルスクール構想。現時点では、日本人も受け入れる方向で検討されているようです。
こちらの学校にも、「国際水準」の教育が求められることになりそうですね。

(過去の関連記事)
・沖縄科学技術大学院大学とは?(2005年12月21日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50119391.html
・科学技術投資と、「地域振興」という事情(2006年12月07日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50269558.html
・大丈夫? 沖縄科学技術大学院大学の開設準備(2006年12月14日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50272246.html

「女性って○○だよね」というステレオタイプが……。
■「理数系分野における女性:ステレオタイプが活躍に影響」(科学技術振興機構)
http://crds.jst.go.jp/watcher/data/215-002.html

全米アカデミーズのホームページでは、理数系分野における女性のパフォーマンスに関する最新の研究結果及び全米研究会議(NRC)報告書を紹介している。

シカゴ大学らが行なった研究によると、「女性は理数系に弱い」といったステレオタイプ(固定観念)の存在が、女性の成績を低下させる一因となることが明らかとなった。実験では、数学の成績が良い女性200名を2つのグループに分け、1つのグループには「数学のテストを行なう」とのみ、別のグループには「数学分野で女性が男性に劣る理由を調査している」と伝えテストを行ったところ、前者のグループの成績は良好であったのに対し、後者グループの成績は90%から80%へと低下した。同研究では、女性を過小評価するステレオタイプを聞いた参加者が混乱や不安を感じ、その結果、問題解決能力の低下が生じたと結論付けている。

(上記記事より)

アメリカの研究成果です。
この研究だけで、すべての原因がこうであると結論づけることはできませんが、それにしても気になる内容ではあります。
「女性が理系に進学しないのには、社会的な先入観や偏見によるところも多いのではないか」と以前から様々な方が指摘をしていると思いますが、それを裏付けるための研究が、こうして進められているのですね。

今後のさらなる研究が待たれるところですが、いずれにしても、先入観を押しつけるのはあまり良いことではないと個人的には思います。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。

1 個のコメント

  • 東大理事交代は何か(裏)事情があるのですか?
    上杉道世⇒辰野裕一