ニュースクリップ[-7/1]「」新司法試験、考査委員の慶大教授が類題演習…法務省が調査ほか

マイスターです。

日曜日ですので、一週間のニュースの中からいくつかを選んでご紹介したいと思います。

司法試験の考査委員が、学生達に類題演習。
■「新司法試験、考査委員の慶大教授が類題演習…法務省が調査」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070623it01.htm

法科大学院の修了生を対象に先月実施された今年度の新司法試験で、出題と採点を担当する「考査委員」を務める慶応大法科大学院(東京都港区)の植村栄治教授(57)(行政法)が、今年2~3月、同大学院の学生相手に答案作成の練習会を開いた上、実際の試験問題と類似した論点を説明していたことが22日、分かった。

植村教授は読売新聞の取材に、「問題を漏えいする意図はなかったが、軽率だった」と事実関係を認めており、法務省も同教授から事情を聞くなど調査を始めた。

(略)関係者によると、植村教授は、既に問題作成を終えていた今年2~3月、慶大法科大学院で試験対策の答案練習会を7回開き、毎回、150~170人の学生に対し、「行政処分の執行停止」などの論点を説明した。その後も、練習会に出席した学生たちに一斉メールを送信。「試験の参考になるよう送ります」と記述した上で、「外国人の退去強制処分」などに関する6本の判例を紹介した。

先月中旬に実施された新司法試験の論文式試験では、行政法分野で、外国人の退去強制処分の事例を基に処分の執行停止などについて論じる問題が出された。

また、植村教授は、同試験の採点基準が秘密にされているにもかかわらず、試験直前に学生たちに対し、「新司法試験の採点が終わる8月末以降、各自が試験で書いた論文を再現して送ってくれれば、採点してあげる」との内容の一斉メールも送信していた。

法務省は、考査委員の任命の際、公正さを疑われることがないよう、答案作成の練習会を行わないよう要請している。考査委員が個人的に採点を行うことについても、採点基準に関する守秘義務違反に当たる可能性があるとの見解だ。

(上記記事より)

これは大変な事件です。
およそ試験と名前の付くもので、このように公平性を疑われる行為は大いに問題です。
しかもそれが国家試験、それも社会秩序を守り公平を維持することを使命とする法曹を選ぶための司法試験だとあっては、何か根本的に前提が覆されてしまうような気がします。

研究費獲得のためのムチ?
■「補助金申請しない教員に「罰則」 財政難の宇都宮大学」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0628/TKY200706270396.html

文部科学省に科学研究費補助金(科研費)を申請しない教員は、大学が教員に配分する研究費を1割減らします――。財政難に悩む宇都宮大学は今年度、外部資金の獲得をねらって、こんな「お触れ」を全教員約350人に出し、実行に移している。同大は「大学として生き残っていくため、教員に対する引き締めが必要」と必死だ。国立大学協会によると、科研費申請をめぐるペナルティーは珍しいという。

(略)同大は06年度に原則、全教員が科研費を申請することとし、今年度からは申請しない教員に「ペナルティー」として教員の命綱である研究費の削減に踏み切った。さらに、2年連続で申請しない教員は研究費を3割削減することも決めた。

その結果、同大の申請率は06年度の73%から、昨秋公募された今年度分では90%に急伸。今年度は過去最多の116件が採択され、総額2億8400万円が交付される。ただ、大学別の配分額では、東京大学の196億3500万円を筆頭に同大は98位にとどまっている。同課は、次は採択率の向上に知恵を絞るという。

一方、教員には大学側の「脅し」ともとれる方針に対する不満がくすぶる。ある文系教授は「教員に対する信頼が感じられず、教員いじめのようだ」。大学側は「地道で基礎的な研究が大切なことは分かる。でも、競争的資金に力を入れる文科省の姿勢に追随するしかない」と漏らす。

(上記記事より)

賛否両論出てきそうな報道です。
科研費の取得率を上げたいという大学経営陣の立場に立てば、とてもよくわかる施策です。研究者である以上、これくらいは当然だというご意見もあるでしょう。

一方で、「脅しだ」「信頼が感じられない」という感想が出てくるのもわからなくはありません。
大学側の意図を、丁寧に説明して回る必要があるかも知れませんね。

関関同立 小学校の競争も過熱?
■「お受験“熱く”…関学初等部説明会に3800人」(読売オンライン)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070630p302.htm

兵庫県宝塚市に来春開校する関西学院初等部(小学校)の入試説明会が30日、同学院西宮上ヶ原キャンパス(同県西宮市)で開かれた。募集定員計270人に対し、参加者は約2000人という人気ぶり。開校をにらんだ「お受験」ビジネスも盛況で、少子化に伴い生徒獲得競争を繰り広げる他の私学もライバルの動向に神経をとがらせる。

初年度の募集は1~3年生。説明会は2回目で、会場は、約1800人が集まった初回(23日)を上回る熱気に包まれた。静岡県の私立校副校長を務め、校長に就任予定の磯貝曉成さんが、試験の狙いや教育方針などを説明し、父母らが熱心にメモをとった。

長男(5)が来春、新1年生になるという神戸市北区の主婦(37)は「大学まで16年間の一貫教育が魅力。人気も当然でしょう」。

食育がテーマの保護者向け講座を設けるなど「親子教育」を掲げてPRを進める設置準備室は「これだけの注目が集まり、責任の重さを感じる」と話す。

(上記記事より)

大変な人の集まりようで、同校の人気ぶりがうかがえます。

「関関同立」と言われる関西大、関西学院大、同志社大、立命館大はいずれも系列小学校を新設。立命館大と同志社大は、既に開校しています。
私学一貫教育が一気に盛り上がる中、保護者の方も情報集めに奔走中のようです。

韓国の大学がアファーマティブ・アクション。
■「低所得層6万4000人、大学入試で別枠選抜」(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=040000&biid=2007062733838

2009学年度の大学入試から、疎外階層の生徒を大学が募集定員の11%まで枠外で別途に選抜できる「機会均等割当制」が実施される。また、高等教育の競争力強化のため、来年、1兆ウォンの予算を追加確保し、首都圏や地方にそれぞれ研究中心大学を5つずつ選定して、集中的に育成することになる。

教育人的資源部は26日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と152大学の総長や学部長たちが出席し、大統領府で開かれた「高等教育の戦略的発展方策」の討論会で、このような高等教育の育成政策案を報告した。

この製作案によれば、大学で低所得層や多文化家庭、片親家庭や専門系高校、農漁村出身の生徒を、毎年、募集定員の11%まで枠外で選抜できるように認める機会均等割当制が09年度から実施される。

教育部では現在、枠外で3.9%まで選抜できる「社会的な配慮対象者の特別選考」の規模が11%に増えれば、低所得層の子弟など6万4000人が恩恵を受けられると説明した。

教育部は、「従来の農漁村の生徒(4%)と専門系高校の出身者(3%)、在外国民(2%)選考を統合し、選抜対象を低所得層の生徒にまで拡大する」とし、「大学は11%の範囲内で、試験成績よりも潜在能力などに焦点を当てて選抜でき、選抜人数や基準は自主的に決定できる」と明らかにした。

教育部では、同制度を利用して入学する基礎生活(生活保護)受給者の子供2万6000人余りに、2年間、全額奨学金を与え、次上位階層以上の4万4500人にも登録金の免除や無利子での学資金の融資のできる優遇策を与えることにした。教育部では、機会均等割当制の導入のため、高等教育法の施行令を改正し、一般生徒より学力の落ちる生徒たちの学業を補うための学業支援プログラムを、大学ごとに開設するよう指導する方針だ。

(上記記事より)

いわゆるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の一種です。

大学入試の場で、こうした差別是正措置を執ることは珍しくはありません。
ただこういった施策を採ると、多くの場合、逆差別が生じます。つまり、成績は良いのに、お金があるという理由で合格できなかった人達が出てくるのです。

案の定、韓国のメディアはその点を含め、この新しい方針を厳しく批判しています。

■「【社説】低所得層大学入学試験特別措置はポピュリズムだ」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=88765&servcode=100&sectcode=110

さて、この政策、韓国の国民には受け入れられるのでしょうか。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。