教員免許更新の講習 国立大学「対応できない」の声

マイスターです。

教員免許法が改正され、教員免許更新制がスタートすることになりました。
教諭の皆様は10年ごとに免許更新のため、大学で講習を受けることになります。

さて、この講習。地元の国立大学教育学部で受けるのかな、なんて思われている方が少なくないと思います。
「国立大学設置の11原則」に従い、(昨今では統廃合もあるとはいえ)基本的にはどの都道府県にもひとつは、教員養成学部を持った国立大学があるということになっておりますし。

マイスターもそんなイメージを持っていたのですが……どうやら色々と問題もあるみたいです。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「教員講習に『対応できぬ』 免許更新で国立大」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200706250177.html
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改正教員免許法が今国会で成立し、二○○九年度から十年ごとの教員免許更新制がスタートすることが決まった。どのように実施していくか、具体案づくりはこれからだが、更新講習の一翼を担う国立大学は財政難や人手不足にあえいでおり、新たに加わる重荷に「対応しきれない」と悲鳴を上げている。

小中高校の現職教員は約百十万人。更新講習は、年約十万人余りが受講することになり、教員養成課程を持つ大学・短大八百五十五校のうち、文部科学省が認定した大学が中心になって行う。

仮に八百五十五校すべてで講習ができれば、一校平均百三十人の受け入れで済む。しかし、「年中いつでも受講可能」といった文科省の認定要件を、すべての大学・短大が満たせるとは考えられず、数百人の受講者を引き受ける大学も出てきそうだ。

特に負担が大きくなりそうなのが私大が少ない地方の国立大。財政難から必要最低人員で経営しており、更新講習の引き受けに難色を示す大学も多い。

(略)文科省は「大学に更新講習をしてもらうには、それなりの土産が必要」(幹部)と、大学の「収入」になるような制度導入を検討しているが、国がどこまで財布のひもを緩めるのか未知数だ。

(上記記事より)

というわけで、予算と人員が不足しているようです。

マイスターは当然、大学の収入になるような仕組みになるものだとばかり思っていましたが、現時点では違うのでしょうか?

本来、問題のある教員を減らし、より高いモチベーションと知識・スキルを授けるために始まる制度です。
質の高い教育を行うためにも、ちゃんと大学の事業として展開できるようにした方がいいのではないでしょうか。

どうせ毎年研修を行うのであれば、各大学が「教員研修センター」などを設立し、教員講習を通じた中長期的な教育・研究を展開していく……とか、そういう方向に持って行くのも良いような気がします。

ただ、講習を有償にするとなると、その負担は教員個人や教員が所属する学校、および教育委員会などに回ってくることになります。
「費用負担を負ってまで講習なんて受けられるか」という声を上げる方も、もしかしたらおられるかもしれません(個人的にはその発想はどうかと思いますが)。
ここをどうするかが、一番の問題になるのでしょう、きっと。

余談ですが、欧米では教員の多くが修士号以上の学位を持っていると、しばしば言われます。日本と比較され、「日本の教員はレベルが低い」なんて言われることもあります。

ただ、これにはいくつか理由があります。

まず、そもそも教員養成が大学院を中心にして行われているケース。
この場合、当然、院卒の教員が多くなります。

次に、修士をとることで、職場での給与や待遇が良くなるケース。
これは、アメリカのいくつかの州で見られます。「より高い学位を持っている者は、より高い能力を持っている」という考え方に基づくもので、アメリカらしい合理主義的な発想です。
こうした土壌があると自然に、大学院に通って学位を取得しようと考える教員は増えます。働きながら少しずつ大学院の単位を集め、数年がかりで学位を取るのです。

このほかに、「大学・大学院で所定の単位を集めないと、教員免許が更新されない」というケースが存在します。
これもアメリカなどにあるようです。
数年ごとに大学に行って所定の単位を履修することで、教員免許が更新されるわけです。この場合、全ての教員が必ず数年おきに、大学に行くことになります。
その際、単位が手元に残るわけで、どうせならこのまま単位を集めて修士でも取ろうかと皆さん考えるわけですね。

そこでマイスターは思うのですが、日本の教員免許更新講習でも、ちゃんと教員個人に、大学の正規の単位が蓄積されるようにしてみてはいかがでしょうか。
講習を重ね単位を集めることで修士号などの学位がとりやすくなるように、大学院のシステムと連動した制度にするのです。
人によっては義務としての講習を、積極的な自己研鑽につなげられるのではないでしょうか。

正規の科目等履修生登録なら、数万円の出費を取るところです。
免許更新のための講習費として同じくらいの金額を自己負担することになったとしても、単位が残るのであればまだ少しはお得な感じになると思うのですが。

(というか、既にそういう仕組みになる予定だったりしたらすみません。
 実際のところはどうなんでしょう?)

冒頭の記事を読んで、ふとそんなことを思った、マイスターでした。