フィンランドが、日本向けに教育サイトを開設

マイスターです。

OECDの国際学力調査「PISA」で世界一の成績を示し、各国の教育者達から注目されている国、フィンランド。

日本でも、しょっちゅうフィンランドの教育システムを紹介する書籍が出版されたり、学校関係者が現地に視察に行ったりしていますね。

今日は、そんなフィンランドが日本の子供達のために制作しているサイトをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「フィンランドが日本向け教育サイト 国際学力調査で世界トップの成績」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/kyouiku/070614/kik070614001.htm
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経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査(PISA)で世界トップの成績を示したフィンランドの教育を日本の子供たちに紹介しようと、同国大使館が、インターネットの教育サイト「プロジェクト・フィンランド」を開設した。同国の人気キャラクター、ムーミンと「自ら学ぶ教育」を疑似体験できるようになっている。同国大使館では「自ら考える大切さを伝えたい」とアピールしている。

サイトは、平成15年に駐米フィンランド大使館が作成し、好評だったことから日本向けにリフォームしたもの。ムーミンがガイド役となり、同国の(1)教育(2)自然環境(3)ハイテク(4)エネルギー問題(5)社会福祉-などについて閲覧者が自主的に学ぶ内容になっている。

対象は小学5年~中学3年生。クイズなど子供たちの興味を引きつける工夫が随所にみられるのも特色のひとつで、大使館関係者は「社会科の調べ学習や夏休みの自由研究などに役立つのでは」としている。

教育のサイトには“世界ナンバーワン”の同国の教育手法が、子供にも分かるよう実践的に盛り込まれている。教員向けに教育内容を紹介したり、コラムや資料も掲載されている。

(上記記事より)

というわけで、↓こちらがそのサイト、「プロジェクト・フィンランド」です。

■プロジェクト・フィンランド
http://www.projectfinland.jp/

■Project Finland(英語版)
http://www.projectfinland.com/

マイスターも以前、企業が提供する小中学生向け学習サイトの企画・制作に関わっておりましたので、興味深く拝見しました。

なかなか、良くできたサイトだと思います。
基本的にはテキストを読ませるサイトなのですが、記事にもあるように、子供を飽きさせないような工夫が盛り込まれています。

フィンランドを代表する世界的キャラクターである、「ムーミン」がどのページにも配置されていて、ほのぼのした雰囲気のサイトになっています。

各章に設けられたクイズに答えると、ムーミンのアニメがちょっとずつ見られるようになっていき、すべてのクイズに正解すると、一話分のアニメが完成するようになっています。つい、全部答えようと思ってしまうような仕組みです。

テキストの内容も、フィンランドの国を様々な切り口から紹介する構成になっていて良いなぁと思います。

(マイスターは愛知万博に行った際、「北欧諸国パビリオン」の展示に一番感心したのですが、あちらも「様々な切り口で、静かに、しかし興味深くその国の文化や人々を表現する」という感じだったのを思い出しました)

このサイトを管理しているフィンランド大使館は、このサイトに関して、「教育現場の皆様へ」というメッセージを出しています。

■「教育現場の皆様へ」(プロジェクト・フィンランド)
http://www.projectfinland.jp/educator/index.html

フィンランドはOECDによる国際学力テスト(PISA)において近年、素晴らしい成績を収めております。その理由のひとつに、先生の存在があげられます。フィンランドでは、先生の役割とは子供達を必要な情報のある方向へ導くことであり、案内役、もしくはスーパーバイザーとしての役割が求められています。先生からの一方通行で教えるのではなく、子供達自身に発見させることが大切だと考えているのです。

子供達が自分から進んで学ぶためのきっかけを与える。それが本サイトの目的です。子供達は自分の身近なことから吸収していきます。そして身をもって体験した冒険から多くのことを学びます。プロジェクト・フィンランドはこうした考えに基づいて制作されました。

(上記リンクより)

日本では「総合的な学習の時間」が導入されてからようやく、子供の発見を促すための方法論が世間で議論されてきたように思います。
ただ、教員によっては、未だに教員から子供達に一方的に知識を流し込む、普通の講義スタイルから離れられないという方も少なからずいると聞きます。
まだまだ、自分で何かを発見させるという教育方法は、日本では確立されていないのかなという気がします。
それに日本の教育界にも、大量の情報を記憶させる詰め込み主義の教育で一定の国際水準に辿り着いたという自負があるんだろうと思います。そう簡単には、教育の方針というのは変わらないのかもしれません。

一方フィンランドでは、以前から「きっかけづくり」を大事なキーワードのひとつとして捉えてきたようです。

どちらのやり方が優れているとは、単純には言えないと思います。また、やり方以前にそもそも両国の置かれている社会環境自体が違いますし、教師の位置づけやキャリア、学校の仕組みなども異なっています。
何よりも、学校を出た後の社会が違います。教育の一部分だけ取り出して比較することにはあまり意味がありません。

ただその上で、やっぱりフィンランドのやり方には、ちょっと興味深いものがあるように感じます。かの国から学べることは、あるんじゃないでしょうか。
手始めに、「プロジェクト・フィンランド」のサイトを訪れてみると良いかもしれません。

最後に、プロジェクト・フィンランドについての、フィンランド大使の声をご紹介します。

ヨルマ・ユリーン駐日特命全権大使は「自ら考え、自ら学ぶように導くのがフィンランド式。このサイトが日本の子供たちはもちろん、多くの教育関係者の目にとまって、何らかの参考になればと期待している」と話す。

サイトの一部には小学生にとって難しい漢字や表現もみられるが、「分からないことがあれば自分で辞書を引いて調べるのがフィンランド式」(ユリーン大使)とも。

(「フィンランドが日本向け教育サイト 国際学力調査で世界トップの成績」(SankeiWEB)より)

以上、マイスターでした。