中国の新卒人材獲得で後れを取る日本企業

マイスターです。

日本の大学からは少し離れる話題なのですが、興味深い内容のコラムを見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「若者の離職率アップに日系企業は採用活動の再考を」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0606&f=column_0606_004.shtml
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上記コラムの筆者は、日本の大学とアメリカの大学院を卒業した後、中国に関するキャリアを積まれたという方です。

ここでは、日本企業が中国で展開している人材採用の現状について書かれています。
欧米企業と比べて、日本の企業は中国の大学キャンパスの中で存在感を発揮できていないというご指摘です。

日系企業の人材採用は、基本的には現地法人の総務部或いは人事グループの日本人の人事担当者が、通常は「人材市場」や「ジョブフェア」と呼ばれる学卒者向けの就職説明会に参加して採用活動を行っている。例えば上海等の大都市で行われる就職説明会に企業が出展して、そこに来た学生に簡単な面接と企業紹介を行う。また、新聞広告、知り合いの紹介等様々な形で学生をリクルートしている。最近では日本の人材紹介会社も数社中国へ進出しているので、そうした会社に登録している人から選ぶ企業もある。

ただ、欧米系企業との違いは、彼らは大学のキャンパスに入って採用活動をしているという点だ。もともと、母国でも企業がキャンパスに出向いて、学生に対す企業概要の説明やプレゼンを行い、採用の面接までしているため、中国でも同様の活動を違和感なくできていると思われる。

例えば、清華大学など有名大学の授業には欧米の有名企業の幹部が来て講義するような機会も多い。それは企業の採用とは直接関係ない場合も多いが、企業理念や経営方針を学生によく理解してもらうことにつながる。また、大学の中の掲示板に、米系コンサルティング会社等企業の応募要項が貼ってある。それを見て学生が企業説明会に来る場合もあるし、直接企業にコンタクトをする場合もある。

大学の中における存在感は欧米系企業の方が大きいといえる。日系企業が単独でそうした活動をしている姿は徐々に増えつつあるとはいえ、あまりみられない。北京大学、復旦大学など優秀な大学に取材に行った際にも、大学の就職部などから日系企業にPRに来てほしいという声が多かった。

日本では、これまで基本的には学生が企業へ出向いていくというのが主体で、そうした習慣はあまりなかったと思われる。……

(上記記事より)

中国は今や「世界の工場」であると同時に「世界の研究所」としても注目を集めている、人材獲得の激戦地。
中国、日本、韓国の各企業はもとより、欧米のメーカーなども優秀な中国人学生を求めているはずです。

……にも関わらず、上記のように、いまひとつ日本企業の活動ぶりは冴えないようです。
「中国は我が社にとって最重要の地だ!」なんてことを口にする日本の企業関係者は多そうですが、そのために最も大切な「人材獲得」で存在感を発揮できずにいるのでは、ちょっと心配です。

上記コラムの筆者は

日本では、これまで基本的には学生が企業へ出向いていくというのが主体で、そうした習慣はあまりなかったと思われる

と書かれています。
確かに、「企業の担当者が大学キャンパスで採用の面接まで行う」という文化は、日本にはありません。基本的には、自社に呼びつけて試験を受けさせます。

ただそうは言っても、日本の企業も今では結構、大学の方を向いています。

景気が回復し、売り手市場となった日本の新卒採用マーケット。少しでも優秀な人材を集めようと、企業は必死です。
人事の担当者が大学に出向いて説明会をしたり、OB・OGの若手社員を使ったリクルーティング活動を展開したりと、工夫をしています。求人票はもちろんのこと、説明会告知のポスターなどを大学に送る企業もあるでしょう。

日本の大学生に対しては、日本企業も、それなりに努力をしているのです。

なのに、中国の大学生に対しては、これができていないのですね。
どうしてでしょう?

まず第一の原因ですが、日本企業が新しい環境での採用活動に対応できていないということが考えられそうです。

先に述べたように、日本国内では企業もそれなりにがんばっています。が、それらは基本的に、日本で長い時間をかけて形成された「新卒一斉採用」という仕組みの範囲での話です。
卒業する前の学生に、一斉に説明会を行い、一斉に筆記試験を受けさせ、順番に面接をする。説明会や試験の日程は、業界ごとに大体決まっている。説明のために人事担当者が訪問する大学も、そのタイミングも大体決まっている……。
日本ではうまく回っているように見えるこの新卒一斉採用の仕組み。しかしこれらはみな、世界的に見たらかなり特殊な習慣に過ぎません。

日本の企業は、今までやってきたことを、最近ではより熱心にやっているだけに過ぎないわけです。これまでいた環境から一歩外に出た途端、何をすればいいのか分からなくなってしまったのではないか、という気がします。

第二の原因としては、「中国で採用活動を行っているのは、採用のプロではない」ということが考えられます。

これについては、↓冒頭のコラムでも触れられています。

中国に駐在している採用担当者が必ずしも人事を経験している人ではないケースが多く、戦略的な採用活動ができていなかった面もある。

日系企業では、管理部門の方も技術畑の方や営業の方などが多く、今までは人事を経験した人材が少ない傾向にあった。最近は日系企業にも人事経験者を現地に派遣して統括会社の中で人事グループを形成するというやり方もみられるが、一部の大手企業に限られる面は否めない。中堅企業の場合は、人的資源に余裕がなく適切な人材を送れない、または大企業でも大部分の日系企業の本社側の意識がまだそこまで達していないということもある。

(上記記事より)

日本の企業が中国に送っている人材は、基本的に技術や営業の担当者で、彼等が同時に、採用活動も行っている。だから合同就職説明会にブースを出すとか、交通広告を出すとかいった「おきまりの行動」はできても、戦略的に自分達から大学に出向いて、優秀な学生を発掘するような行動は取れていない……というご指摘です。
人事のプロを現地に送るというところまでは、まだ企業の体制が追いついていないということでしょうか。

いずれにしても、このままでは人材獲得合戦で、他国の企業に後れを取ることになります。
海外に進出する際には、現地の採用習慣をじっくりと研究し、大学キャンパスに通ってみるということが重要なのかも知れませんね。

以上、マイスターでした。