マイスターです。
桜美林大学の「大学アドミニストレーション専攻」で科目等履修生をしていた頃、よく授業で耳にした名前が「ICU」。
そう、大学関係者と、関東近辺の受験生ならご存じ、国際基督教大学です。
■ICU 国際基督教大学
http://www.icu.ac.jp/index.html
アメリカ式のリベラルアーツ、広大な敷地に少人数教育、いち早く取り入れた本格的なGPA制度、独自の入学試験などなど、大学のマネジメントを学ぶ上では何かと参考にされやすい学校なのですね。
世間的にいう「入学難易度」も高く、独自のブランドを築いている大学です。
また、マイスターはこれまで、何人かのICU卒業生の方とお話する機会を得ましたが、どなたも母校に対する満足度が非常に高かったのが印象的でした。それだけでも、さぞかしいい大学なんだろうとわかります。
実際、あれこれ調べてみたり、キャンパスを訪れたりしてみると、学びのためにいい意味で贅沢な環境を提供している大学だなぁと思えます。
ですが、このICU、全国的な知名度はあまり高くありません。
マイスターは工学系出身だったこともあり、正直言って高校生のときは、まったくこの大学のことを知りませんでした。名前を聞いたこともありませんでした。
ほんの数年前、『大学図鑑!』を読んで、「へぇ、こんな大学あったんだ」と初めて知ったのです。
偏差値だけで進学を決めてほしくないからという理由があるから知名度を高くしないのかな、敢えて露出を抑えているのかな、と思えるくらいです。
(実際の意図はよく存じ上げません)
ところが、
そんなICUも最近、駅にポスターを出すようになりました。
首都圏にお住まいの方は、何度かご覧になられたかも知れません。
↓こんなデザインのものです。
■「ICUの交通広告(駅貼りポスター)を掲出中」(国際基督教大学)
http://www.icu.ac.jp/news/2007/070409.html■「ICUの交通広告(駅貼りポスター)をまもなく実施」(国際基督教大学)
http://www.icu.ac.jp/news/2007/070309.html
ICUでは初めての試みとして、東京近郊の計84駅(JR及び私鉄)でポスターを使った広告展開を実施する。2008年4月からの教養学部改革(現在の6学科を廃止しメジャー制へ移行)へ向けた広報活動の一環で、B1サイズのポスター計10種類を制作。
(上記記事より)
ポスターの駅貼りが、今回「初めての試み」だったというところが軽くショックです。これまでは、ポスターを貼らなくても学生が集まっていたのですね。今回初めてとなるこのポスターは、学科改編を知らせるためということです。
ちなみに独自の入試を貫いてきたICUも最近、大学入試センター試験を用いた受験方式を用意するなどの手を打ってきています。
リベラルアーツを志向する大学は、ここ近年で急激に増えています。特に早稲田大学と上智大学の「国際教養学部」なんて、ICUのターゲット層と、おそらくかなりバッティングしているはずです。
そんな中で優秀な学生を獲得するために、独自ブランドのICUも様々な努力を迫られているということなのではないかな、と想像します。
話をポスターに戻します。
デザインにはいくつかのバリエーションがあるようですが、マイスターは
ホームで強いけど
アウェーで弱いのは、
サッカー選手だけだろうか。
……というキャッチコピーがなかなか良いなと感じました。ICUの特色を打ち出せていると思います。
ただ、いかんせんコピーが小さすぎるのが惜しいところです。残念ながら、道行く人には読めません。
で、実はごく最近もマイスター、このポスターが一堂に並んでいるのを見かけたのです。
はい、ここからが今日のメイン(?)です。
←クリックで拡大します
↑ほら、並んでますね。
これだけ並ぶとなかなか壮観……って、あれ?
よく見ると、なんだかポスターがちょこちょこと汚れてません?
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↑拡大するとこうです。画像をクリックしていただければ、さらに拡大した写真をご覧いただけます。
落書き……というかこれは、ポスターに対する意見?
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↑他のポスターにも。
ICUの学びに対する「感想」も掲載されていますね。
それも、筆跡が一種類ではありません。
複数の方によって書かれていることがわかります。
←クリックで拡大します
↑こちらをご覧ください。
感想どころか、なんとポスターの落書き同士で、議論が行われています!
一体誰がこんなことを……
落書きの下に見えるのは……「卒業生」の文字!?
はい、そうです。
このポスター、実はICUキャンパス内に貼ってあったものなのです。
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↑この通り、ここはICU学食です。
学力の壁にずらっと貼られた広告ポスターに、学生や卒業生達が落書きをしていたのでした。
(って、ゴールデンウィークにも大学巡りですか自分 orz…)
ポスターに落書きする学生ってのは珍しくもありませんが、議論するというのはなかなかレアではないでしょうか。
その秘密は、↓こちら。
←クリックで拡大します
実はポスターの横に、こんな貼り紙がしてあったんです。
(手書きの文字に「ドラフティングテープ留め」というあたりに、のどかな大学キャンパスの空気を感じます)
なんだか、ちょっと面白いと思いませんか?
よく、「学生の発想を大学の広報に活かそう」なんてスローガンを耳にしますが、ポスターに対する意見をこんな形で求めるというのは、なかなか楽しいなとマイスターは思いました。
考えてみたら、大学キャンパスって、この程度ののどかさや自由度はいくらでも許される空間なんですよね。
コピーが表しているICUの教育理念についての「議論」も起きていて、なかなか読んでいて興味深かったです。さすがリベラルアーツの大学だと感じるものもありました。
加えて、
「文字が小さすぎる」
「形(※文字の背景になっている図形)に意味はあるのですか?」
……などなど、マイスターが感じた疑問点もちゃんと指摘されていました。
大学側がこんな呼びかけをするあたりに、ICUのおおらかさや、議論好きの校風が感じられます。
皆様の大学でも、(もし許されるなら)このくらいのことを試してみても良いかもしれませんよ。
率直な意見や改善案、これまで聞いたことがなかった大学に対する不満や要望など、色々なことが分かるかも知れません。学生と大学との、ちょっとしたコミュニケーションメディアになりえます。お金も時間もかかりませんし、何よりキャンパスがちょっと活気づきます。
というわけで今日は、ちょっと珍しい光景をご紹介させていただきました。
マイスターでした。
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(おまけ)「パロディでもご批判でも、書き込んでください」とのこと、なかなか懐が深いです、ICU。
というわけで、パロディの落書きもいくつかありました。
←クリックで拡大します
←クリックで拡大します
↓
←クリックで拡大します
こういうのを見ると、やっぱり大学生なんですよね。
なんか、ちょっとホッとします(^_^;)
楽しい日々を過ごされてますねぇ!
ところで、ブログタイトルの変更は・・・
ここはやはり皆さんの落書き募集ですか!
広報センターが手書きでパロディー可なんて,すごい大学ですね。
意味もない・下半身系な書き込みでは荒れない,という大学側の自信があるんでしょうね。ちゃんと議論になるか,好感のもてる落書きのどちらかが集まるに違いないという。
他大学でやったらどうなんでしょうね…。書き込むことすら行われない大学も多そうです。
「寿司は鮮度が命。でも伝統もある。」というのは伝統と鮮度の維持がICUでは可能,というような意味なのでしょうか?それとも学問の話でしょうか?ただのパロディには思えない内容ですね。
非常にICUらしいです(笑。卒業して十数年、「最近のICU生は変わった」という話もちらほら聞くのですが、根っこは相変わらずやなぁ、と思いました。良いものを読ませてもらいました。ありがとうございます。
一あらむなすさんと同様、非常にICUらしいなぁと感じました。私が在学中に(卒業年度は2002年です)学内に掲示してあった、学生作成のポスターなんかも、秀逸なものがありましたねぇ。作成者にコンタクトとって、譲ってもらったことを思い出しました。
2001年の卒業生です。
大学側の試みも学生側の反応も本当にICUらしいですね。卒業してからしばらく経ちますがICU気質は健在のようで、学生時代を思い出しながら楽しく読ませていただきました。母校を誇りに思います。ありがとうございました。
自分もめぐまさんと同じく02年卒業生です。
ブログ読ませて頂いて、学生時代を思い出してとても懐かしく感じました。ピュアで議論好き学風、ICUってパロディでIsolated Crazy Utopiaなんて学生の間で言ってたりしたけど、その通りにいい意味でisolatedで独自の雰囲気を未だに守れている、そんなことを感じてうれしく思いました。