ニュースクリップ[-5/6]「佐賀大:授業料値上げ意向 国の交付金削減、財政厳しく」ほか

マイスターです。

ゴールデンウィークも、あっという間に終わりましたね。
皆様はどのように過ごされましたでしょうか。

さて、日曜日になりましたので、一週間の教育関連ニュースの中から、マイスターが独断と偏見でいくつかを選んでご紹介します。

ついにすべての国立大学が。
■「佐賀大:授業料値上げ意向 国の交付金削減、財政厳しく」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/04/20070425ddlk41040630000c.html

佐賀大の長谷川照学長は24日、来年度から大学授業料を値上げする意向を示した。04年の法人化後も授業料を据え置いていたが、国からの運営費交付金が年1%ずつ削減されるなど、財政が厳しくなったため。6月をめどに金額などを決め、公表する。

同大によると、現行の授業料は年間52万800円。授業料の目安となる国の標準額の引き上げに伴い、他の国立大は05年度から授業料を値上げしたが、佐賀大は出願時期まで時間が足りないことなどを理由に唯一、金額を据え置いた。

だが、運営費交付金がここ3年間で約3億円削られ、人件費も減らされていくことから、赤字化も想定される経営状態となっている。長谷川学長は「このままでは教育や研究に影響を与えるのは必至。値上げは本意ではないが、上げざるを得ない状況を理解頂きたい」と語った。

(上記記事より)

国立大学として唯一、授業料を据え置いていた佐賀大学。しかし「赤字化が想定される経営状態」を前に、学費の値上げに踏み切るそうです。

教育再生会議が大学・大学院関連予算の増額について議論していますから、今後のことは何とも言えません。が、「国立大学の学費が値上がり続ける」シナリオの可能性もあるわけです。今のところは、じわじわとその方向に向かっているように思います。

将来は、国立大学の間で学費に大きな差が付く可能性もゼロではありません。
さて、どうなっていくでしょうか。

敢えて定年引き下げ。
■「東大:先端研だけ教授の定年引き下げ、65→60歳に 人事や研究の活性化狙い」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070426ddm012040068000c.html

東京大先端科学技術研究センター(先端研、東京都目黒区)は25日の教授会で、先端研に所属する教授の定年を今年度から60歳とする方針を決めた。東大は教員の定年を65歳まで延長する計画を進めているが、先端研だけは事実上の引き下げとなる。ベテラン研究者の働き方を多様化する一方、人事の停滞をなくし、先端分野の研究を活性化させる狙いがあるという。
(略)
宮野健次郎所長は「優れた研究者であれば、自分で自分を雇えるだけの研究費を獲得できる。そういう人には年齢に関係なく研究してもらう。一方、定年を引き下げることで人事の停滞をなくし、新しい人材を登用できる」と話す。

(上記記事より)

学内他組織とは異なる方針、なかなかアグレッシブです。こういう決定が教授会で成される組織というのは、きっとこれからも強くなるのでしょうね。

大学は一度退職し、退職金も受け取ります。しかし自分で研究費を獲得し、教授会が承認すれば、その後も大学で特任教授として研究を続けられるようになっているとのことです。
研究費を集められる方にとっては、その方が自己裁量がきいて、いいのかもしれません。

ただ、大学からはお金は出ません。無給です。ですからより魅力的な条件を提示されて、他大学に引き抜かれていく研究者も出てくるかも知れません。それでもこういった方針を打ち出すのは、東大先端研が記事でも触れられている「活性化」を重要視しているからなのだと思います。

文部科学省関連の情報がたくさん。
■「『21世紀COEプログラム』平成19年度補助金交付決定(平成15、16年度採択拠点)について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/04/07042019.htm

■「平成19年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』の申請状況について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/04/07042309.htm
■「平成19年度新規『理数学生応援プロジェクト』採択大学の決定について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/koubo/06122815/003.htm

大学関係者にとっては気になる発表が続きました。
ゴールデンウィークも明けることですし、頭の切り替えも兼ねて、ここらで全国の動きを総チェックしてみるのも良さそうです。

教育委員会も、熱心にリクルーティング活動。
■「優秀な教員人材、早期確保を 京都市教委、大学担当者集め説明会」(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007050300034&genre=F1&area=K1F

京都市教委は2日、来春の教員採用に向けた大学就職担当者への説明会を同市下京区の市総合教育センターで開いた。団塊世代の教員の大量退職に伴い、優秀な人材を早期に確保するねらい。就職担当者を対象にした説明会は初めてで、近畿圏を中心に28大学の担当者が試験の実施要項の詳細に耳を傾けた。

市教委は来春、小中学と高校などで、前年を10人上回る330人の教員を採用する予定。大学や大学院から推薦された学生に一次試験を免除する「推薦制度」などを新たに設け、優秀な人材の確保に努めている。

すでに1日から大学・短大へ出向いて説明会を実施しているが、志願書の受付期間が6月11日までとなっているため、採用試験の情報をいち早く学生に伝えたいという大学側の要望を受け、就職担当者向けに初めて説明会を開いた。

(上記記事より)

優秀な人材を教員として確保するために、教育委員会も様々な対策に乗り出しています。
その一つがこの説明会。「大学の、就職担当者向け」というのがポイントです。おそらく、一昔前ならこんなことはなかったのでしょうね……。
でも、おかげで学生さんに多くの情報が届くわけですから、いい流れなのではないでしょうか。できることなら、教員不足が解消された後も、こういった連携は継続して欲しいなぁと思います。

研究開発投資を集める中国。
■「『中国は世界第2位の研究開発国』WTOが指摘」(IBTimes)
http://jp.ibtimes.com/article/technology/070427/6930.html

世界貿易機関(WTO)知的財産権局長は24日、2007年中国知的産権保護高層フォーラムの席上、中国はすでに世界第2の研究開発国となっており、最も魅力的な研究開発投資国だといえると述べた。

同局長はまた、「ここ数年間、中国は現代知的財産権システムの構築および応用という面において目覚しい進歩を遂げている」と述べた。中国国家知識産権局の統計によると、2005年に申請された47万6000件の特許のうち、80%が国内の申請人によって申請されたものであり、発明特許のなかでも、国内申請人によるものが50%を超えているという。また中国の研究開発投資が国民総生産に占める割合は、1995年の0.6%から現在1.3%にまで上昇しているという。

同局長はさらに、国連貿易開発会議の最新調査によると、中国は世界で最も魅力ある研究開発投資の目的地であり、中国の後に続くのは米国・インドとなっていると説明した。

(上記記事より)

経済や科学技術で躍進する中国。博士レベルの人材育成にも力を入れていると聞きますし、国の発展に全力を注いでいるんだなぁと感じることが多いです。
そんな中国は今や、研究開発投資をする上でも、非常に魅力的な国になっているようです。人材の質とコスト、経済や産業の状況、等、様々な要因が絡み合っての結果でしょう。産学の連携など、大学も随所で関わっているはずです。
技術力や開発力が自慢(だったはず)の日本も、負けてはいられませんね。

以上、今週のニュースクリップでした。

ゴールデンウィーク中も、本ブログをごひいきにしていただきまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。