ニュースクリップ[-4/29]「愛知の工業大『文系生徒もどうぞ』 英・国だけで受験可 情報系など新学科」ほか

マイスターです。

日曜日になりましたので、一週間個人的にクリップしていたニュースの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。

門戸を拡げる工科系大学。
■「愛知の工業大『文系生徒もどうぞ』 英・国だけで受験可 情報系など新学科」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007041902009919.html

愛知県内の私立工業大で文科系の学生獲得に力を入れるケースが増えている。具体的な対応策は、数学や理科の入試必須科目からの除外、文科系でも抵抗なく学べる情報やデザイン関連の学科新設など。学生の理工系離れを背景に工業大の人気は低下しており、門戸を広げて多彩な人材の入学を目指す。

(上記記事より)

工科系大学が、文系受験生向けの学科や学部を作る流れは以前からありましたが、この理工系離れの中、それが加速しているような気がします。上記は愛知県内の動きを報じる記事ですが、「ものづくり」の中部地方でも、やはり理工系は改革を迫られているようです。

一般的に、文系向けとして情報やデザイン、環境、経営等の学科が作られることが多いようです。「どうして工科系大学でこの内容を学ぶのか」といった大学側の説明が、今ひとつわかりにくいケースもあるような気がします。
でも、広く多様な学生を集め、工科系ならではの発想法や手法を学んでもらって、社会に送り出すのは意義があることなんじゃないかと、個人的には思います。

ただ、文系向けの新学科といいつつ、教員の顔ぶれやカリキュラムが従来の「○○工学科」のままだったりすることもあるようです。従来と違う層の学生を入学させる場合は、何か工夫をしなければ教育が成り立たないかもしれません。お気をつけください。

(過去の関連記事)
・「工学部志望、10年で半減 私学、相次ぎ再編」(2006年11月04日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50260262.html
・京大が入試科目を変更 工学部も国語必須に(2007年03月26日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50300883.html
・「学力の差激しい理工系、大学が解決に乗り出す」(韓国)(2007年02月15日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50296016.html

増える「9月入学も可」な大学。
■「大学改革:9月入学の学部17%増 文科省調査」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070417k0000m040107000c.html

文部科学省は16日、全国の国公私立大学を対象にした05年度「大学における教育内容等の改革状況」の調査結果を公表した。政府の教育再生会議が導入を検討している9月入学(4月以外の入学)については、学部で前年度比約17%増の322学部、大学院で同31%増の468研究科が実施していた。
(略)4月以外に入学者を受け入れている大学は、学部や研究科単位では増加しているものの、大学単位では前年より1減の153大学だった。

(上記記事より)

9月入学が増えています。もっともここでいう「9月入学」とは、「4月入学が基本的なんだけど、帰国子女等のために、9月からでも入学できるようにしてある」という意味だと思われます。後期から学んでも支障がないように、カリキュラム設計などを工夫しているわけです。
比較的容易にこのような工夫ができる学科、できない学科があると思います。ただ、大学側は大変ですが、学ぶタイミングが柔軟になるというのは、受験生からすればありがたいことでしょう。
(ちなみに教育再生会議が検討している「9月入学」は、「すべての学生が9月に大学に入学する」という仕組みです)

「争奪戦」のアフターケアは十分?
■「新人看護師が多数進出 大学病院、報酬改定で」(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/21454.html

昨年の診療報酬改定の影響で、大病院を中心に看護師募集が急増した結果、新卒看護師の就職が始まるこの4月から、国立大学病院などで多数の新人看護師が働き始めた。中には入院患者をみる看護師の4割程度が「新人バッジ」を着けている病棟もあるほどで、各病院とも研修の強化などの対応に努めている。

昨年の診療報酬改定では、急性期の入院医療を強化する狙いで、看護師1人当たりの入院患者が7人と手厚い配置をした病院に診療報酬を上乗せした。

この結果、看護師の増員を計画する大病院が相次ぎ、特に、国立大学病院では、大学の法人化により公務員の定員枠に縛られなくなったことも手伝って増員が目立つ。

(上記記事より)

以前の記事で、看護師争奪戦の様子についてご紹介しました。

(過去の関連記事)
・大学病院による、新卒看護師の争奪戦(2006年08月29日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50238364.html

で、その結果が今回の報道なのですが、

中には入院患者をみる看護師の4割程度が「新人バッジ」を着けている病棟もあるほどで

ちょっと心配になるのですが、あの、これってほんとに大丈夫なのでしょうか……?
ベテラン看護師も新人の研修に手を取られていそうですし……うーむ。
各病院様、どうぞよろしくお願いします。

残る、事件の影響。
■「暴力的作文で高校生逮捕=大学乱射事件受け過剰反応か-米イリノイ州」(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007042700126
■「大学銃乱射事件でクラス討論、発砲の真似で講師解雇と」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200704250022.html

米イリノイ州の男子高校生が、教師や学校関係者などを不安にさせる暴力的な内容の作文を書いたとして逮捕された。26日付のシカゴ・トリビューン紙が伝えたもので、バージニア工科大銃乱射事件を受け当局が過剰に反応したようだ。
同紙によると、逮捕されたのはシカゴ郊外にある高校の18歳の中国系男子生徒。警察の説明では、23日の授業で書いた作文が「特定の人や場所を示してはいないが、暴力的で困惑させる」内容だとして、24日に軽犯罪容疑で逮捕されたという。

(「暴力的作文で高校生逮捕=大学乱射事件受け過剰反応か-米イリノイ州」(時事ドットコム)より)

ボストン――ボストンの大学講義で、バージニア工科大で発生した銃乱射事件に関する討論会を開き、男性の非常勤講師(37)が手で学生を撃つような仕草をし、銃声の擬音を発したなどとして解雇されたことが24日分かった。

(略)講師はこれに対し「教師は知的探索の場所であり、大学の措置は自由討論を封殺するものだ」と反論している。討論会に出ていた学生の1人は、大多数の学生は講師の行動を批判的には受け止めていなかったとしている。
(「大学銃乱射事件でクラス討論、発砲の真似で講師解雇と」(CNN)より)

ともに、バージニア工科大学の事件から一週間経った頃の出来事のようです。
確かに、時期的に気を払わなければならないことではありますが、過敏な反応であるようにも思われます。
皆、こういった出来事一つ一つに対してどのように対処していけばいいかわからず、戸惑っているというのが正直なところではないでしょうか。

(過去の関連記事)
・バージニア工科大学で発砲事件 32人が犠牲に (2007年04月18日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50306547.html
・広がっていく、事件の衝撃 (2007年04月19日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50306863.html

争いが教育に与えるダメージ。
■「米国:甚だしく不足する戦争被災国に対する教育支援」(JANJAN)
http://www.janjan.jp/world/0704/0704234329/1.php
■「紛争地帯の学校、標的となる傾向 恐怖与える目的か」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/international/update/0428/TKY200704280190.html

4月12日発表の報告書によると、国際支援国の対紛争被災疲弊国(CAFS)補助が他の低所得国と比べ少ないことから、CAFSの非就学児童数は他の地域を遥かに上回っているという。

例えば、戦争に引き裂かれたスーダンのダルフールでは、50%強の子供達が教育から遮断されているにも拘らず、彼等を教育するための支援は殆どなされてこなかった。

米国を拠とする開発支援団体Save the Childrenが4月12日発表した報告書「Last in Line, Last in School」(取り残され最後に学校へ行く者)は、ドナー国および国際ドナー機関が紛争国ではなく政情が安定している国々への教育関連資金提供を優先している事実に警鐘を鳴らしている。

(「米国:甚だしく不足する戦争被災国に対する教育支援」(JANJAN)より)

……イラクでは、戦争後も内戦状態が続く中、昨年約75%だった小学校の出席率が、今年約30%に下落。国外に昨年逃げ出した教師の数も一昨年に比べ倍増し、学校は崩壊状態という。特にバグダッドのスンニ派地域では誘拐を恐れる子どもたちがほとんど登校せず、学校は空っぽ。大学も狙われ、07年1月だけで殺された学生の数が100人に達した。

アフガニスタンでは、教育機関を標的とした爆破事件が05年の11件から18件に、焼き打ちが50件から66件に増加。児童生徒のうち約10万人が通学をあきらめた。イスラム原理主義勢力が女性の教育機関を狙う事件も多い。

このほか、ネパールでは02~06年に79校が破壊され、パレスチナ自治区では00年以降イスラエル軍に43校が占拠された。コロンビアでは00~06年に教師310人、タイでは06年までの3年間で教師71人が殺され、130校が焼き打ちにあった。

武装勢力が学校を標的とする最大の目的は、基本的に無抵抗の学校を破壊することで地域に恐怖感を広げることにある。さらに学校が、それを設置した勢力の権威の象徴とみなされるケース、学校が広める人権意識が武装勢力への批判や反感につながるとして襲われるケースもあるという。

ユニセフによると、世界の未就学児童の4割が紛争国の子どもたちだ。学校への武力行使が、貧困と並び、学校に行けない子どもを生む大きな要因となっている。

(「紛争地帯の学校、標的となる傾向 恐怖与える目的か」(Asahi.com)より)

気が重くなるニュースが続きます、が、これが現実です。

政治的、宗教的な争いが起きた際、教育関係機関が攻撃の標的にされることは多い、ということです。学生・生徒や、教職員が犠牲になることも少なくありません。
裏を返せば、それだけ相手が「教育」の力を恐れているということでもあります。

ユネスコは教育機関を紛争から「聖域化」することを提唱、そのための努力を国際社会に求めている。

(「紛争地帯の学校、標的となる傾向 恐怖与える目的か」(Asahi.com)より)

と記事にはあります。本当に、これは国際的に取り組む必要があるテーマです。

以上、今週のニュースクリップでした。

ゴールデンウィークですね。学校は、カレンダー通りに授業をされるところが多いでしょうか。
とは言え貴重な休暇期間。休めるところではしっかり休養を取り、英気を養ってください。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
ゴールデンウィーク中も、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。