マイスターです。
「アメリカは男女平等だ」というイメージを持っている方は少なくないと思います。
WASPを頂点とした人種間の差別や、スラム街の貧困などは存在するけれど、男女は比較的平等……そんな印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
政治やビジネスの場でリーダーになる女性の割合など、確かに日本よりもアメリカの方が男女平等だと思えることは多々あります。
(というより、日本の女性の社会進出があまりにも遅れているだけなのかも知れませんが)
でも、だからといってアメリカも、完全に平等だいうわけではありません。
そんなわけで今日は↓こんな報道をご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「男女の給与差、年々広がる~大学出た直後から」(U.S. FrontLine)
http://www.usfl.com/Daily/News/07/04/0427_013.asp?id=53376
————————————————————
米国では大学を出た直後から男女の給与に差が生じ、1年ごとに広がっていることが、米女性大学教育協会(ワシントンDC)の調査で明らかになった。
シアトル・タイムズによると、大卒1年後、フルタイムで勤務する女性の給与は男性の80%で、10年後には約69%になる。労働時間や職種、子どもの有無を考慮しても男女差は歴然として存在し、給与差の4分の1は男女差が原因だと同協会は結論づけている。
(上記記事より)
というわけで、アメリカでもやはり、就業においては男女平等ではない場面が少なくないようです。
※↓おそらくこちらが、記事の元になっている米女性大学教育協会のプレスリリースです。
■「AAUW – Press Release: Pay Gap Exists As Early As One Year Out of College」(American Association of University Women)
http://www.aauw.org/newsroom/pressreleases/042307_PayGap.cfm
さて、興味深いのはここからです。
調査からは、大学時代の専攻には男女で違いがあり、これが給与差を生み出していることも分かった。女性には教育、保健、心理学といった比較的給与の低い分野を専攻する人が多いのに対し、男性は給与が高い理工系分野を専攻する人が圧倒的に多い。
(「男女の給与差、年々広がる~大学出た直後から」(U.S. FrontLine)より)
このように、大学時の専攻についても言及しています。男女それぞれの志望する専攻に偏りがあって、それが給与水準に影響を与えているという話です。
同じことは日本でも起きています。ちょっと、日本のデータを見てみましょう↓
大学(学部)における学生の専攻分野をみると,女子学生が最も多く専攻している分野は,ここ数年は社会科学が一番多くなっている。平成17年では,社会科学分野を専攻している全学生の約3割が女子となった。また,工学を専攻する女子学生は,17年には工学専攻の全学生の10.5%となっており,男女の専攻分野の偏りがみられる。
また,女子学生の大学院における専攻分野については,修士課程では人文科学,社会科学が並んで多く,これに次いで工学,教育の分野が多くなっている。女子学生の近年の増加が特に著しいのは社会科学,工学,保健,人文科学の分野で,社会人学生においても平成17年では45.2%を女子が占めている。博士課程では,保健,人文科学の分野での専攻が多く,また,16年4月より設置された法科大学院では,30.2%が女子となっている。
(「男女共同参画白書:第8章 教育分野における男女共同参画」(内閣府)より)
↑これは日本の記事ですが、いかがでしょうか。
現在様々な機関が女性の理系進学をバックアップする活動を行っていることもあってか、工学が増えつつあるようです。が、全体的な傾向はアメリカとあまり変わらないようですね。
専攻した分野によってその後の給与が変わるのは、ある意味自然なことですから、強引に調整するわけにも行きません。ですから社会としてできる改善策は「女性の進学先の幅を拡げる」ことくらいだったりするわけです。社会的な環境(女の子は文系の方が向いていると周囲の大人が言う、理工系女性のロールモデルが身近にいない、etc.)の結果、女性が理工系を進路に選びにくくなっているという現実はあるからです。
次の記述は、さらに根が深そうです↓
同じ分野を専攻しても、男女の給与には差がある。教育分野では、女性の給与は同僚男性の最高95%、数学の場合76%にしかならない。しかし、大学教育だけを見ると、すべての分野で女性の方が男性より成績が良い。
(上記記事より)
女性の皆様にしてみたら、なんだそりゃ、と怒りたくなる事実でしょう。どういうカラクリでこういう結果になっちゃうんでしょうか。
でも、日本でも同じようなことが起きているような気がしないでもありません。
詳細に調査したデータが無いものでしょうか。詳しく知りたいです。
というわけで、アメリカ社会の一面を伝える記事をご紹介しました。
日本人にとっても、男女間の差別や格差というのは身近な問題です。
急に改善される者ではないのかも知れませんが、こうしたデータは常に気にかけていたいものです。
以上、マイスターでした。