マイスターです。
大学院での学びに関連して、ちょっと気になる記事を見つけました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「『働きながら大学院』拒み入学金返還命令 名古屋市立大」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/NGY200703230008.html
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名古屋市立大学大学院の教授らと面談し、会社勤務を続けながら博士課程を修了できると思い込んで入学金を支払ったのに、勤務しながらの研究を同教授に拒否されたなどとして、愛知県阿久比町の男性が、同大学を相手取り、支払った入学金約33万円の返還を求めた訴訟で、名古屋地裁(内田計一裁判長)は23日、「入学の動機に錯誤があった」などとして、大学側に全額の返還を命じた。
判決によると、男性は04年、製薬会社に勤務中、同教授や助教授に入学を相談したところ、「楽観的な説明」を受け、勤務を続けながら研究ができると考え、入学を決意。同10月、同大学院医学研究科博士課程の入学試験に合格し、入学金を納付した。しかし、同教授から「最低1年間の研究への集中」を求められ、05年4月、大学側に入学金返還を求めた。
(上記記事より)
こういう記事を読まれたとき、
「この男性の見通しが甘い。博士の研究はそんなに簡単じゃない」
……のような感想を持たれる大学関係者の方って、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。
最初の「同教授や助教授」が実際、どのような「楽観的」な説明をしたのか。
入学後に言われたという「最低1年間の研究への集中」が、どのような理由により発せられたものなのか。
そもそも入学前に楽観的な説明をした教授(仮にA教授とします)と、入学後に研究への専念を求めた教授(仮にB教授とします)は同一人物なのか、それとも違う人物なのか。
そのあたりの詳細がわからないので、マイスターにはあまり勝手なことは言えません。
(裁判所の判例もまだwebデータベースに載っておりませんし、2004年時点の募集要項は見つけられませんでしたし)。
ただ記事の記述を読む限り、B教授から求められたという「最低1年間の研究への集中」というのは、「1年間は休職などしてひとまず仕事から離れ、学業だけに専念しろ」という意味であるように受け取れます。
でも、該当大学院のwebサイトを見てみると、例えば↓こんな記述が載っていたりします。
■「大学院の概要と募集案内:名古屋市立大学大学院 医学研究科」(名古屋市立大学)
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/information/index.html
医学研究科では、広く人材を求め受け入れる目的で、平成 14 年度より、夜間や特定期間の集中講義など社会人が受講可能な教育カリキュラムを実施する。
(上記記事より)
ちなみに冒頭記事の男性は、平成16年度の入学生なんですね。
こういった大学の公式発表と冒頭の記事を読む限り、なんだかこのケースでは、大学側の対応に危うい部分があるのではないかと個人的には感じられるのです。
誤解のないように申し上げておきますが、博士課程の研究・教育は確かにヘビーだと思います。
例えば、もしこの男性の仕事がものすごく大変で、普段ぜんぜん研究や学習に時間を割けないくらいの内容なんだとしたら、そりゃ進学は無茶かも知れません。
その際には、大学院側は自分達の教育方針に照らし合わせ、場合によっては入学を拒否する権利があると思います。
ただし記事のケースでは、この男性はあらかじめその辺りのことを心配して、受験前にここのA教授に相談しているのですよね。そして、記事内容から推測するにおそらく、そのとき「働きながらの修了も不可能ではない」という説明を受けたのだと思います。
だとしたら、入学後に「1年は研究に集中しろ」なんていうのは、大学側のルール違反です。
仮にA教授とB教授が別人物だったとしても、大学側に責任があるという点は変わりません。自分以外の教授の指導方針に責任が持てないのに、安易に「楽観的な説明」をしたのであれば、A教授の行動には、多少なりとも問題が合ったと思います。
また、「既に周囲に告知されている大学院の公式見解と、違う指導方針を採っている」という点で、B教授の指導方針にも問題がありそうです。
というかそもそも1年間の休職を求めるほど厳格なカリキュラムなら、最初からアドミッション・ポリシーその他にその旨を明記し、賛同できない受験生は不合格にしていれば良かったはずです。
このままですと、
「入学の時だけOKを出しておいて、お金を払った後に突然違うことを言うなんで、なんてふてえ大学だ」
という印象を社会からもたれてしまいます。
今回、裁判所からも学費の全額返還を命じられたわけですし。
というわけで本日の教訓としては、
「重要な教育方針は、必ずアドミッション・ポリシーに明記しよう」
「教員も職員も含めた全スタッフの間で、そのポリシーを普段から共有しておこう」
「自分で確信を持って答えられない重要な質問に対しては、すぐに無理して回答するのはやめておこう(ちゃんと確認してから後日回答しよう)」
といった感じになりますでしょうか。
皆様も、お気をつけください。
以上、マイスターでした。
初めまして!
この記事が目に留まりコメントさせて頂きます。私は文系大学を卒業し、管理栄養士を目指しもう一度、4年生大学に入学し勉強をしている一年生です。入学前に単位認定の有無を確認し、「認定制度あります。34単位認めます。卒業まで90単位を取ることになります。」と説明を受けたのですが、入学してみて学則を確認するとその説明は栄養士の資格を得るためでもなく、管理栄養士受験資格を得るための単位でもなく、ただ単に卒業するためだけの単位だったのです。私は初めて大学に入学する子達よりたった2単位の軽減だけで語学、一般教養全て取り直さなければならない状態です。入学前に適当な説明を私にしておきながら大学側は証拠がない。と強固な姿勢でしかも私の勘違いのように言われました。
しかしこの記事を読んで私ももうすこしきつく大学側に訴えようと思いました。