マイスターです。
・慶應義塾大学と共立薬科大学が合併 慶大薬学部新設
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50265022.html
・「共立薬科大、慶大との合併効果で志願者倍増」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50284196.html
ちょうど入試シーズンの前に発表された、慶應義塾大学と共立薬科大学の合併。
「早稲田と東京女子医科大は?」などの新たな憶測を巻き起こしたりと、まさに日本の大学業界に大きな衝撃を与える電撃発表でした。
ただ、共立薬科大学の志願者が倍増したという報道もありましたが、↓最終的なデータを見てみると、案外、そういう印象でもないですね。
■「入試FAQ:入学試験の競争率はどれくらいですか?」(共立薬科大学)
http://www.kyoritsu-ph.ac.jp/admission/faq.html#01
それはそれとして……
先ほど、小さく報道されている一つのニュースに、目がとまりました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「慶応義塾と共立薬科大、08年4月の合併を正式契約」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703260270.html
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「発表」段階だった両校が、このほど正式に合併の契約を結んだ、という報道です。
マイスターがおっと思ったのは、↓この部分です。
共薬大の現役学生は、合併時に在学していれば卒業時に慶大の学位が与えられ、来年4月1日に4年生になる現在の2年生から「慶大卒」となる。共薬大が約800人の学生ほぼ全員に意向を尋ねたところ、慶大への転籍に反対の学生はゼロだったという。
(上記記事より。強調部分はマイスターによる)
ゼロですか……。
合併が報道された時は、メディアの取材に対して「学校名が変わるのは寂しい。あんまり喜べない」と言っていた共立薬科大の学生さんもいたような気がしますが、最終的には全員が「慶大卒」を選んだようです。
学生さんに対してどういう質問をしたのかマイスターはわかりませんから、もしかすると、すべてが慶大ブランドの力ではないのかも知れません。
しかしそれでもやはり、圧倒的なパワーがあるのは事実のようです。
共立薬科大学の教職員の方々は、複雑な気持ちかもしれません。
800人もいるのに「共立薬科卒」を望む学生がゼロというのは、寂しいでしょう。
でも一方で、慶大ブランドの力を目の当たりにして、今回の合併は間違いではなかったという思いを新たにされたのではないかな、とも思います。
それこそ、もし競合である他の薬科大学と慶應とが合併していたら、このブランドパワーを敵にしなければいけなかったかも知れないわけですし……。
でも、やっぱり「一人くらいは……」という思いはあったのかな……うーん。
でもこれってアレですね、他の大学でも、
「○○大学と本学が合併した場合、あなたはどちらの学校から学位を受けたいですか?」
という質問を在学生にしてみることで、自校のブランド力をはかることができたりするかも知れませんね。結構、ホンネの意見が集まりそうです。
ところで、両校は08年4月1日付で正式に合併するとのことですが、上記の記事にあるように、その時点で共立薬科大4年生以下の方は全員「慶大卒」になるわけです。そりゃそうです。だってこの時点で共立薬科大学という大学は(手続き上は)存在しないことになるわけですから。存在しない大学から学位を受け取ることはできませんよね。論理としては、とてもよくわかります。
両校よるプレスリリースにも、合併後に学校法人共立薬科大学は解散すること、合併をもって共立薬科大学の在学生は全員慶應義塾大学に一括転籍することなどが明記されています↓。
■「2008 年4 月1 日の合併に向け、学校法人慶應義塾と学校法人共立薬科大学が合併契約を締結」(慶應義塾大学)
http://www.kyoritsu-ph.ac.jp/pdf/keio%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9070326.pdf
ただし実際には、共立薬科大学の学生として過ごした時間が3年、慶應大生として過ごした時間が1年なわけです。
学生さんの感覚としては、「実質的には慶應大生として教育を受ける機会はほとんどなかったけど、自分の学習歴は慶應が保証してくれるらしい」という状態になるわけですよね。
学位って、考えてみると色々不思議です。
アメリカでは在学中に大学を移る、つまり転籍が普通に行われているようですが、大学名の入った学位を正式に出すためには、「この大学で○単位以上取得したこと」「○年以上在籍したこと」といった条件を要求されることも結構あると聞きます(大学によっても違うと思いますけれど。詳しい方がいらしたら教えてください)。
そんなわけで、学位の出場所について色々と考えるきっかけを得られたマイスターでした。
通常は、旧大学を(形式上は)在学生がいなくなるまで残すというのが通常なんですけどねえ。。。
国立大のケースですが、筑波大・図書館情報大の例では、
http://www.tsukuba.ac.jp/koho/ho_kisoku/s-04/2004hs01.pdf にあるように:
> 本学において図書館情報大学図書館情報学部図書館情報学科所定の課程を修
めて卒業したことを認め、ここに学士(図書館情報学)の学位を授与する
>
> 平成 年 月 日
> 筑 波 大 学 長 xxxx
なる、ちょっと不思議な学位記を出したようです。
初めて書き込みさせていただきます。
私もmasaoさんの意見に同感です。
在学生がいなくなるまでは法人を存続させるというのが私学でも普通の手順だと思います(倒産した場合は別ですが)。関学と聖和大の統合でも、そうした手順がとられるようです。共立薬科大から慶應に一括移籍というのはかなり荒業ではないでしょうか?よく文科省が許可したなという印象です。
多分,新たに設置される薬学部の中身によっぽど変化がないのでしょうね。
>在学生がいなくなるまでは法人を存続させる
>というのが私学でも普通の手順だと思います
>(倒産した場合は別ですが)。関学と聖和大
>の統合でも、そうした手順がとられるようで
>す。
ん?
法人は合併しても、「在学生がいなくなるまでは『大学』を存続させる。」でしょう?
「関学と聖和大の統合でも」そうですよ。
http://www.kwansei.ac.jp/news_img/993_ref.pdf
揚げ足を取ったと受け取られても仕方がないんですが、それでも「法人」と「大学」は区別して考えるべきだと思います。
masaoさん
国立大学法人については、一法人一大学が今のところ文部科学省の方針らしいです。
高専機構や大学共同利用機関法人のように、「一法人が複数教育研究機関を保持」としたケースもあるのに…
国立大学の法人化は注目度が高かったので、合併による国立大学法人の局長ポストの削減分を高専機構や大学共同利用機関法人の理事や局長ポストを新設することで穴埋めするという財務省との裏のバーター取引でもあったのでしょうか?
筑波大学と図書館情報大学のケースは力技ですね。まさに苦肉の策。
筑波大学の某職員さんに、図書館情報大学生として入学した方と筑波大学生として入学した方の確執をちらっと聞いたことがありますが…いやはや何とも…
はじめまして。
「共立薬科卒」を望む学生0でしたか。なんとなく学生さんの気持ちはわかりますが、さすがに0っていうのは職員の方は寂しい気持ちでしょうね。
なかなか職員の方の目線でこのようなニュースを見ることは無いので非常に興味深く読ませてもらいました。
こちら全体を読んだわけではないのですが何となく気になって。受験生の殆んどは薬剤師を目指して薬学部や薬大に入学しますよね。在校生が転籍反対0と言うのは資格が学校名に関係ないので反対するまでもないからであり、プライドがないように言われるのは残念です。薬学系統以外の方はご存知ない大学だったのでしょうけれど。創立者が慶大の方ですし吸収されるみたいに思われていますが、合併の内情は違いますのでお見知りおきを。
実際は伏せているけど3名が反対の投票をしたんです。アドバイザーが直接、学生と会話してなだめた訳ですな。といっても3名しかいないというのも寂しいものなんだけど。
共薬は日本全国の大学の中で鉄道が5つも乗り入れていて、この評価額は400億とも言われている。この価値が目当てだったのではありませんかね~ぇ