ニュースクリップ[-3/25]「教育3法、改正答申 地方・国、深い溝」ほか

もう日本に帰ってきたマイスターです。

日曜日ですので、一週間個人的にクリップしたニュースの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。

スピード答申。
■「クローズアップ2007:教育3法、改正答申 地方・国、深い溝」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/03/20070311ddn003010018000c.html

いじめ自殺や高校の履修単位不足を受け、安倍政権が最重要課題に掲げる「教育再生」。それを具現化する教育3法の改正について中央教育審議会が10日、答申した。わずか1カ月の審議だったが、その過程では、教育委員会制度に対する国の権限強化の思惑に地方側が猛反発、議論は迷走した。中教審は結局、答申を急がせた政府に対し、賛否の「両論併記」という玉虫色の内容で応える形となった。
(上記記事より)

詳細は上記のリンクをどうぞ。

地方分権を進めるという流れに沿って考えるべきか、
教育は国が責任を持つ、という従来の原則を重視すべきか、

どちらにもそれなりの言い分があり、それなりの説得力があるように思えます。

しかし異例のスピード審議。
中教審の答申は今後の法案作成のたたき台になるものですが、それが「両論併記」の形を取らざるを得なかった背景には、選挙対策など、政治的な思惑もあるようです。

これから議論の場は国会に移りますが、改正案によって何がどう変わるのか、その説明が丁寧になされることを願います。

(参考:他の記事)
■「教育関連3法:中教審答申 教委へ国関与、『勧告・指示』賛否併記 教員免許更新制に」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/03/20070311ddn001010005000c.html
■「教育関連3法:中教審答申 最後までせめぎ合い」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/03/20070311ddp041010008000c.html
■「教育関連3法:中教審答申 最後まで異議 スピード審議でしこり」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/03/20070311ddm041010138000c.html

ヘリコプター・ペアレンツが(我が子の代わりに)戦場を殲滅中。
■「【溶けゆく日本人】『最高学府』が泣いている」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/seikatsu/070313/skt070313000.htm

大学事務室への親からの“理不尽な要求”は卒業するまで絶えることはない。

留年した学生の親からの「なぜこうなる前に知らせてくれないのか」という注文▽履修ミスをした学生の親からの「息子のために(履修を)やり直せないのか」という懇願▽宿題のリポートを自宅に忘れた学生の親からの「ファクスするから子供に渡してほしい」との連絡▽「風邪をひいて休むから教授に伝えてくれ」という依頼-。すべて、大学関係者が実際に見聞きした例だ。

そして、どうにもならないことを知ると、決まって吐く“捨てぜりふ”がある。「『高い学費を払っているのに』という言葉です」(染谷さん)。最高学府ならぬ「最高額府」-その程度の認識なのだろう。

もちろん、こんな親ばかりではない。だが、「行き過ぎたかかわり方をする親は確実に増えている」(芝浦工業大学の山下さん)というのが大学関係者の実感のようだ。
(上記記事より)

このブログを読んでくださっている方には、大学職員として働いている方が少なくないようです。そんな皆様にとっては、上記のような例はもう慣れっこなのでしょう。上記のリンクには他にも様々な例が載っています。マイスターも何度かこうした保護者の方からの「要求」を経験しました。

このように「子供に極端に世話を焼かないと気が済まない親」のことを、ヘリコプター・ペアレンツと言います。
普段はホバリングするヘリコプターのように子供の上空を旋回していて、なにかというとすぐ急降下して子供の世話を焼くので、皮肉としてこのように呼ばれるようになったのですね。

この現象は今、世界各国で起きているもののようです。
↓以前、このヘリコプター・ペアレンツについての記事を書きましたので、ご興味のある方はどうぞ。

・“ヘリコプター・ペアレンツ” いつまでも子供から離れない親
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50190571.html

「学力低下」が主に教員が直面する問題だとしたら、「ヘリコプター・ペアレンツ」はどちらかというと職員が対応することの多い問題かもしれません。

世の中、このような過干渉の親ばかりではないでしょう。しかし実際に直面したときはさすがに、「こういう家庭で育った子供が、果たして自立できるのだろうか」とマイスターも心配になります。

変わる、東大生のキャリア意識。
■「東大解剖――第3部(3)薄れゆく『官僚で出世』」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070315us41.htm

「官僚をめざすなら東大」という構図に変化がある。

東京大学本郷キャンパスの体育館「御殿下(ごてんした)記念館」で、リクルートスーツ姿の学生が、企業や官庁が設けたブースを行き来していた。

今月10日に開かれた、今年5回目の「業界研究会」。大学主催のいわゆる企業説明会だが、基本的にすべての企業や役所のブースに東大OBがいて質問できるようになっている。この日は、銀行、証券会社、自動車メーカーなど約40社のほか、環境省、防衛省、公正取引委員会、会計検査院なども参加した。5回で参加企業・省庁は計約220になる。

民間企業に比べて、官公庁のブースの熱気はやや劣る。広告業界志望という文学部の男子3年生(22)は「役所の仕事は安定しているかもしれないが、才能を自由に発揮できないイメージがある」と最初から選択肢に入れていないようだった。
(上記記事より)

このように、中央省庁などの官僚を目指す東大生が減っているという記事です。個人的には、大学主催の業界研究会に中央省庁がブースを出しているという事実にまずびっくりしました。

記事によれば、国家公務員1種試験の申込者数や、各省庁の中で東大出身者が占める割合なども、軒並み低下しているようです。
個人的には、これまでが中央省庁に偏り過ぎで、むしろようやく自然な割合に近づいてきたのではないかと思います。

官僚を目指すこと自体が悪いわけではありません。ただ、<官僚になること=自分が優秀であることの証明>のような認識が世の中に(そして東大のキャンパスにも)あるのだとしたら、マイスターは「必ずしもそうではないよ」と言ってあげたい。
そもそも「エリート」「優秀」と呼ばれる位置を目指すこと自体には、実はあまり意味がないのです。
それに、官僚だけが社会のために働いているわけでもありません。官僚以上に世の中を良くしている人間は、それこそ星の数ほどいます。

東大におけるこうした固定観念を崩した転機としては、2005年の「キャリアサポート室」設立も大きいのではないかと想像します。
今後も、「必ずしも官僚じゃなくていいや。他の仕事も面白そうだ」と考える学生さんが増えるといいなぁと、個人的には思います。

ハーバードの学費が上昇。
■「3.9%増の約371万円に、ハーバード大の年間授業料」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200703220027.html

マサチューセッツ州ボストン――米私立のハーバード大は21日、来年の年間授業料を前年比で3.9%増の3万1456ドル(約371万円)にすると発表した。米国のインフレ率の約2倍の伸び率。

これに寮利用、学生サービスなどの経費が加われば4.5%増の4万5620ドルになる。米教育省によると、同大の授業料などは値上げされれば、米私立大の平均額のほぼ倍の水準となる。
(上記記事より)

ハーバード大学の金持ちぶりについては、以前からなんどかブログでご紹介してきました。3兆円の基金を運用しそれだけで毎年5,000億円の運用収益を稼ぎ出しているという、桁外れのパワーを持っています。

(過去の関連記事)
・ハーバード大学の基金運用担当者
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50158024.html

そんな大学の学費がなぜ上昇するのか。それも、インフレ率以上に。
その辺りを考えるにあたっては、↓こちらのブログが大いに参考になります。

■「アメリカ大学教育の苦悩① -あがり続ける学費-」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003636352.html
■「アメリカ大学教育の苦悩② -アメリカの労働市場-」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003654561.html
■「学費が上がる理由」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003825466.html
■「学費上昇をくいとめるために -連邦政府の思惑-」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003845201.html
■「アメリカの大学教授の給料 2006」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10011848483.html

なお「約371万円」の学費と聞くと「高額だな」と我々は感じますが、結果的に元が取れればいいという考え方もあります。
アメリカでは、教育=自己投資という考え方が強いとしばしば聞きますが、まさにそれです。371万円の投資を取り返せるリターンがあるから、進学者が絶えないのだと思います。
(もっともこのあたりの事情は学問領域によっても違ってきそうです。MBAコースやロースクールなら取り返せるけど、公共政策系の大学院だと厳しい、とか)

平等か、競争か。
■「【社説】次期大統領は教育改革できる人でなければ」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=85771&servcode=100&sectcode=110

ソウル大と私大総長協議会が本考査・高校等級制・寄与入学を禁止した教育人的資源部の「3不政策」を廃止せよと公開的に要求した。これらは3不政策が大学競争力と教育発展を妨げる障害物だとした。経済協力開発機構(OECD)も最近、韓国政府に大学規制を果敢に解くよう提言し、3不政策など5つを対象に挙げた。

3不政策は世界でも珍しい大学入学試験規制だ。私教育にまったをかけるという理由で大学が独自の入試を実施できないようにする国があるか。学生選抜方式は大学の固有の権限だ。高校等級制禁止も非現実的だ。大学でも高校でも学生や生徒に水準の違いがあるのが現実だ。しかし教育部はその違いを無視し、内申を同等に評価せよと強要する。これでは大学入学試験がますます混乱するばかりだ。寄与入学制も外国では幅広く認めている。我々は優遇措置などの問題があるが、大学が定員外で選抜しても厳格に管理をすれば問題はないと思う。大学の質を高めるための財政拡充にも役に立つからだ。
(上記記事より)

日本の教育政策もあれこれと議論が行われていますが、韓国ではさらにヒートアップしています。

韓国の高等教育には、「3不政策」と呼ばれている方針があります。
まず「本考査」の禁止。大学独自の二次試験をしてはならないということです。
次が「高校等級制」の禁止、つまりすべての高校の生徒を平等に評価せよということです。
そして「寄与入学制」の禁止。寄与入学というのは、寄付金の額に応じて大学入学を認めるということです。
この3つの禁止事項が「3不政策」です。

現在、韓国では国立私立を問わず、大学入試では国が実施する全国統一試験の点数を用いています。
なお高校は「平準化政策」といって、国公私立すべての中学校(普通科のみ)を学区に分け、共通試験の合格者を学区内の高校に抽選で機械的に配分するという政策を採っています。実際には高校によって学力に差が出ているようですが、それでも建前上は「すべての高校が平等」ということになっているのです。
このように3不政策に従い、様々な面で「平等主義」を徹底しているのですが、それが国の競争力を下げているのではないかという批判も多いわけです。

「3不政策」を廃止せよと求める声がますます激しくなっている。先日、経済協力開発機構(OECD)が「韓国政府の3不政策は見直す必要がある」と指摘したのに続き、国立のソウル大も3不政策を真っ向から批判し、各私立大の学長らも3不政策廃止要求に立ち上がった。
(略)西江大学の孫炳斗(ソンン・ビョンドゥ)学長は、会議終了後に記者団に対し「OECDも指摘した通り、教育の競争力強化の支障となる3不政策を続ければ、他国に後れをとる。グローバル化という潮流の中、これを廃止することこそ韓国の生き残る道」と述べた。
(略)OECDも先月、韓国の教育に関する報告書で「3不政策は画一的な学生選びを強要し、大学の自主権を制限している。規制ではなく誘引策のほうが望ましい」と発表した。
(「大学入試:『“3不政策”なくすことこそ韓国の生きる道』」(朝鮮日報)より)

……と、国内はおろか、先日はOECDからも批判されてしまいました。こうした動きがきっかけとなり、現在、韓国国内で議論が巻き起こっているわけです。

しかしそれに対し、

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が同日、大学のこのような要求を批判したのに続き、教育部が、本試験や寄与入学制、高校等級制などを禁止する3不政策を守らない大学をあらゆる手段を講じてでも制裁すると発表し、大学の自主性をめぐる議論が広がっている。
(「『3不政策』をめぐり、私立大学と教育部が激しく対立 」(東亜日報)より)

……と、政府は従来の原則を崩さない姿勢を貫いたままです。

えらいことになっています。
しかし政府にしてみれば、3不政策の見直しはこれまで構築してきたシステムすべての否定にもつながりかねませんから、そう簡単に認められないのでしょう。

さて、一体どうなるのでしょうか。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。