中国:教員養成大学の学費免除へ

マイスターです。

中国は共産主義国ですが、急激な経済発展の中で都市部と農村部の間の経済格差が広がり、問題になっています。

おそらくはそんな状況を解消しようということなのでしょう、↓こんなニュースを見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「全人代:教員養成大学の学費免除へ-温家宝首相」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0305&f=business_0305_011.shtml
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第10期全国人民代表大会(全人代)が5日開会し、温家宝首相は政府活動報告の中で、公平な教育を実現するため、中国教育部直属の教員養成大学(師範大学)の学費を免除する方針を明らかにした。
 
温首相は「優秀な教員を大量に養成するとともに、優秀な青年が終生を教育者として過ごすよう促すべきだ」と述べた。

温首相によると、中国政府は07年、農村部の義務教育で諸費用の徴収を免除する方針。これにより中国農村部で小中学校の児童・生徒を持つ一般家庭の経済的負担が計1億5000万元軽減するという。
(上記記事より)

「中国教育部直属の」と限定的ではありますが、教員養成大学の学費が全額無料というのは驚きです。
中国というのは、指導部の方針でけっこう大胆な変革ができてしまうようなイメージがあるのですが、これもそんな例の一つなのかもしれません。

農村部の義務教育費を免除することも既に発表されているそうで、一連の発表はいずれも「都市と農村の経済格差を縮小する」という目的に沿ったもののようです。
順調に経済が成長していくなか、中国政府もこうしたところに着手し始めているのですね。

一方、そんな政府の発表を受けて、「教育部直属」の大学だけでは不足なのではないかと指摘する中国のブログ記事が、「中国情報局」で紹介されていました。
こちらの内容も興味深いです。

■「【今日のブログ】学費免除、西部の師範学院にも」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0313&f=column_0313_008.shtml

教育部直属の師範大学に入学した学生は授業料が免除される。これは先日の全人代で温総理が政府報告の中で発表したことだ。この6大学は北京師範大学、東北師範大学、華東師範大学、華中師範大学、西南大学、陝西師範大学である。この6大学の新入生はきっと喜び、とりわけ貧しい家庭の子達にとっては朗報であろう。

地方でも一部の資金を捻出し、地方の師範学院も授業料を免除する。まるで国家が提出した農業税の免除や農村の義務教育の学費免除のように、一部の省都は率先垂範し、これを模範とするのであろう。

財政資金の潤沢な江蘇や浙江省は中央の政策に呼応することが出来る。しかし財政難の西部地区には限りがあり、ある西部の都市では公務員の給料にさえ憂慮しており、さらなる教育への支出の増加は明らかに困難である。

教員養成が最も重要なのはまぎれもなく地方だが、しかし卒業生は比較的発達した地区に集中して赴任したり名門師範大学に移る。教育部の周済部長はこれら地方の教員養成学校の優遇措置を採ったが、しかし十分ではなく、これら地方の教育の底上げには西部地区の学校の学費を免除したほうがよい。授業料免除となった師範学校の貧困家庭の子供の選択の範囲も拡大し、学ぶ機会が増える。

西部の底層部教育、とりわけ初等教育では優秀な教師が非常に不足している。しかし学生たちは地方の師範学校を避け、あるいは師範学校に進学しても教師にならず、さらには貧しい西部の教職を選択しない。
(上記記事より。元記事は「魯健的BLOG」)

今回、学費無料となったのは6つの名門師範大学です。で、それらとは別に、地方の「師範学院」ではこうした師範大学を「模範」にして、資金を捻出しながら、各自で授業料免除をするのだといった変革の「流れ」が紹介されています。「中央の政策に呼応する」という表現が使われていますね。
うーむなるほど、そういう風に物事が進められるのですね。

しかし優秀な教員が一番不足している西部は財政難に陥っており、このようなさらなる出費は困難ではないか?とのこと。
でも一方で、地方の師範学校をちゃんと機能させないと、西部の教育環境が改善されないのでは? という指摘も。
で、結論としては

私はまず西部100カ所の師範学校の学費を免除することを提案する。中央財政以外でも、企業や基金による援助を推奨し、同時に企業には税収面で優遇する。西部に優秀な教師を留め、設備を整え、熱心な学生を呼ぶ。西部の子供は公平な教育を受ける機会を得て、発達地区の子供と同等の知識を身に付けられる。(上記記事より)

……と提案されています。
確かに、地方と都市部の教育格差を将来的に縮小させていこうとするなら、こういった政策も効果を発揮するかも知れません。

(過去の関連記事)
・悩み、暴れる、中国の大学生達 (最近の報道から)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50212258.html
・ニュースクリップ[-11/26] 「(中国)就職率の低い大学と学科、募集数削減へ」ほか
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50267113.html

以前の記事でもご紹介しましたが、中国の大学生の多くは、都市部の企業への就職を希望するのだそうです。貧しい農村部に行っても、学費で投資した分を取り返せないからです。その結果、農村部がなかなか発展せず、地域格差が埋まらないのだと聞きます。
(「農村戸籍」「都市戸籍」といって、戸籍で移動の自由を制限するという中国特有の制度もあります)

そんなことを考えると確かに、地方の教育・経済水準を上げていくことが何よりも求められているのかなと思えます。

以上、中国のニュースからでした。

マイスターでした。