ゲーム、温泉、デート……みんな大学で学べます

マイスターです。

最近、学科名称に関する話題をいくつか見つけましたので、ご紹介したいと思います。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「ゲーム学科続々誕生、今春2ケタに 『実践』で人材育成」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200701190168.html
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コンピューターゲームについて教える大学や大学院が増えている。今春に立命館大(京都市)などが学部やコースを新設する予定で、2けたに乗るのが確実だ。多くはゲーム業界で働ける人材育成に重点を置いており、「まるで専門学校だ」との批判がくすぶる。ただ、ゲーム産業は日本が競争力を誇る有望分野だけに、政府が担い手育成を後押しするなど「追い風」も強い。
(上記記事より)

まずはこちら、ゲーム学科の増加を報じるニュースです。

日本が世界に誇るコンテンツ産業、ゲーム、マンガ、アニメ。どれも従来は、学問として学ぶ対象と認識されていなかった領域ですね。しかし今では、マンガ学部もありますし、CGアニメーションもメディア関係の学部で学べます。
コンピューターゲームの制作技術はというと、数年前までは、コンピューターに強い学生が独学でプログラミングなどを身につけていた観がありました。やがて専門学校の中でゲームデザイナー養成を謳うところがちらほらと増えてきておりましたが、ここにきて、大学のゲーム学科も増加中とのことなのです。
フタ桁に乗るのが確実ということですから、一種の流行なのかもしれません。今後は大学でもコンピューターゲームの研究や教育が行われることになるのでしょうか。

生徒を送り出す側の高校教員らには「学生を集めるための人気取り」「大学での学習になじまない」といった批判が根強い。

東大の調査によると、国内のゲーム会社に就職した学生の6割は専門学校卒。大卒は29%、大学院卒に至ってはわずか1%で、「ゲーム業界への就職に親がいい顔をしない」(東大の馬場章教授)との指摘もある。

しかし、海外では米国のマサチューセッツ工科大、中国の清華大など有名大学が人材育成を狙ったゲーム教育を強化しており、日本の関係者には「海外に後れをとる」と危機感が強い。経済産業省は06年8月に発表した「ゲーム産業戦略」で、国とゲーム産業が連携して人材育成を進める必要性を強調。同年5月にはゲーム研究者らが日本デジタルゲーム学会を立ち上げるなど、産官学の動きは急だ。
(上記記事より)

このように、高校教員や保護者はあいかわらずいい顔をしていないそうですが、産官学の期待は大きいようです。

個人的には、ちゃんとゲームを教育・研究する機関が増えるのは賛成です。教育もさることながら、研究の方にも期待したいです。
例えば「ゲームがキレやすい子供を作る」みたいな理屈がよく持ち出されますが、本当にそうなのか、まだまだ十分に検証されているとは言えないように感じます。「Second Life」のようなバーチャル社会の研究も必要ですし、教育用ゲームの研究も大事。他国に後れを取っているように思われるこうしたゲーム研究、日本がやらなくてどうする!とマイスターは主張したいっ。

・(過去の関連記事)
・仮想社会の中で、リアルな動きを起こそうとする人々
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50259424.html

教育も同じです。実践的であるのは結構ですが、ゲームを作るための技術だけではなく、社会の中でのゲームの役割や、ゲームが教育に与える効果などについても考えさせるカリキュラムであって欲しいなと、個人的には思います。
(アカデミックに料理する素材として、ゲームというのは結構面白いんじゃないでしょうか)

お次は↓こちら。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「『温泉学部』構想も? 立正大『源泉』掘削中 埼玉」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200701190143.html
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埼玉県熊谷市の立正大学熊谷キャンパスで、なんと温泉を掘っているそうです。

温泉掘削のアイデアは、地下水学が専門の高村弘毅学長をはじめ、地球環境科学部の教授陣が中心になって発案された。少子化が進み多様化する受験生のニーズに応えようと「温泉」を核にした新たな事業展開の可能性を模索。一昨年から本格的な調査を始め、温泉含有につながる活断層がキャンパス内を走っていることを確認した。

学長自ら「良質な温泉がわき出る可能性が高い」と太鼓判を押し、全国の大学でも余り例がない温泉の掘削にゴーサインが出た。

温泉事業は、08年度から始まる熊谷キャンパス再開発の一環だ。「温泉」のお墨付きをもらえば、リハビリ療法など湯水の効能を学問的に研究する学部新設の構想も動き出す。敷地内には特別養護老人施設「立正たちばなホーム」も併設しており、わき出た湯の配湯も検討している。
(上記記事より)

リハビリ療法など湯水の効能を学問的に研究する学部ができるかもしれないとのこと。PR効果を狙うという意図で「コース」や「学科」ではなく「学部」にしようとしているのかも知れませんが、実際、もし学部や学科になったら、そうとう珍しい存在になりそうです。「温泉学部」ですか。
(もっとも、4年間温泉学をどっぷり学びたいという受験生が果たしてどれくらいいるのかマイスターは想像もつかないので、成功するかどうかは分かりかねますが……)

学長のご専門が地下水学だとのこと。だから、こんな思い切った取り組みが実行できたのだろうなぁ、と勝手に想像するマイスターです。

全然関係ありませんが、他の国には温泉について教育・研究している機関がないのかなと探していたら、イギリスでこれまたすごい名称の大学を見つけました。

■Bath Spa University
http://www.bathspa.ac.uk/

学章もなんだか温泉っぽい!
でもこちらのBath Spa University、別に世界の温泉好きが集まっているというわけではありません。「Bath市」は古代ローマ時代の浴場建築があるイギリスの都市の名で、そこにある大学というだけの話のようでした。残念。

最後に、↓アメリカでのニュースを。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「単位付きの『デート学』コースを新設、米大学」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200701180019.html

(英語での元記事)
■「S. Dakota college offers lessons in love」(CNN)
http://www.cnn.com/2007/US/01/09/school.dating.ap/index.html
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米サウスダコタ州スーフォールズ――私立のスーフォールズ大学は、今年2月から単位付きの「デート学」コースを新設する、と発表した。長続きする相手を見つけ出す方法などが大きなテーマ。
講師となる「人間交流」学問の専門家は、意味が疑わしい講座だとの見方もあるだろうが、「大学では学問を扱うが、恋愛問題は、他の何よりも人間にとって重要だ」と新コース開設の意義を強調している。
講義では、恋愛の興奮や別れた方が良い「時期」などについて教える予定。
(上記記事より)

はるか古代より、人類にとって最大の悩みの一つであり続けているもの、それは恋愛。文学のテーマとしてはもちろん、たまに権力者同士の恋愛問題が、歴史を動かしたりもしていますよね。現代社会を分析する上でも、恋愛という切り口は欠かせないように思います。

人類にとっての恋愛の重要性を考えてみたら、「恋愛学」という領域を総合的に4年間学べるコースがあっても不思議ではないのかも知れません。

……などと思いつつ、上記のスーフィールズ大学のサイトで情報を探してみたところ、授業案内らしきものを見つけました。「Finding Dates Worth Keeping!」というセミナーのようですね。

PSY 199A
Finding Dates Worth Keeping!

Instructor: Laurie Chaplin

Finding Dates Worth Keeping! is a one-credit seminar intended for college-age adults wanting relationship and dating success. The seminar will look at how your background impacts your present relationships, help you assess your
personality style and compatibility needs, and improve your dating experience. Much of the homework in this seminar will be aimed at improving the relationships you already have and adding new relationships in your life that
will be worth keeping. So, bring your relationship questions and challenges to class and be prepared to discover solutions and make progress.

Dates: Thursdays: 2/8, 2/15, 2/22, 3/1, 3/8,
3/15, 6:00 – 8:30 p.m
「UNIVERSITY OF SIOUX FALLS:SPRING 2007 SEMINAR SERIES(PDF)」より

うーん、これを読む限り、恋愛学というよりは本当に「デート学」みたいですね。恋愛を多角的に見つめる試み、というほどの構想ではないようです。デートに関する授業はまだこのひとつだけみたいですから、そこまで範囲を拡げられないのでしょう。でもうまくすれば、身近な問題を通じて人間関係やジェンダー論など、様々な問題を考えさせる授業にアレンジできそうな感じはします。

今後はもしかしたら、「恋愛」を考えさせる授業が大学でもっと増えてくるのかも知れません。

以上、「最近は、こんなことも大学で学べるんだぁ」という話題でした。

どれもかつては、大学で扱われるべきものとはされていなかった分野ですよね。

これからも、あっと驚く学部や学科を作るところが出てくるかも知れません。そういったものを見つけましたら、またご紹介します。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • 記事中の立正大学温泉掘削が失敗に終わってしまったそうです。
    http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news001.htm
    この事業、学長が専門家だったこともあってかユニークな取り組みとして紹介されていましたが、失敗に終わった後、学長は学内及び理事会に対してどのように説明責任を果たすのでしょうか。7000万円の事業費が宙に浮いたとなれば、穏やかには事が進まないでしょうね。