東北大、国際学会対策として、「神田外語大から講師を呼んで」英語特訓

「学生のうちに語学をじゃんじゃん教わっておきなさい!」と、現役学生の皆様にお勧めしたいマイスターです。

大人になってから英語を教わろうと思うと、とんでもない金額がかかりますよね。時間もそんなにあるわけではありませんし。
マイスターが通っていた大学院は、なんとマレー語やアラビア語まで用意してくれていました。どうしてそれをもっと活用しなかったんだろう……と今さらながら、悔やまれてなりません。きっと、こういう「覆水盆に返らず」な大人が世の中にいっぱいいるんでしょうね……(遠い目)。

ところで最近では語学学校と提携したり海外語学研修を充実させたりと、各大学とも語学教育の強化に余念がありません。国際化に対応できる学生を送り出したいという思いに加え、「語学教育が充実している」というのが受験生に対する非常にわかりやすいアピールポイントとして使えるということも、大きいように思います。

さて今日は、そんな大学における語学教育の実践例として、ちょっと面白い事例をご紹介いたします。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「東北大、国際学会へ英語特訓」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070110ur01.htm
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東北大は、海外の学会などでも堂々と英語でわたりあえる「国際派」を育てるため、えりすぐった学生に実践英語を身につけさせる課外授業を行い、注目されている。授業運営を外国語教育に定評のある機関に完全委託したユニークな取り組みだ
(略)
授業はすべて英語で行われ、学生らが興味あるテーマについて意見発表、討論を進めていく。講師は英語の発音や言い回しだけでなく、自分の意見を相手に効果的に伝えるためのボディーランゲージ(身ぶり)も指導する徹底ぶり。受講者の経済学部2年の永井史恵さん(20)は「普段受けている講義形式の授業とは全く違う。使える英語が身につく訓練になっている」と満足している。
(上記記事より)

語学教育にも色々ありますが、この東北大学の試みは、かなりハイレベルなところに焦点を当てた事例のようです。大学院生はTOEICで700点以上、学部生でも550点以上の学生が受講しているとのことですからね。
「国際学会などに参加しても堂々と英語で自分の意見を述べ、外国人研究者らと議論を戦わせることのできる学生を育成する」のが狙いだそうです。

東北大学は我が国を代表する研究大学の一つ。
その東北大の英語教育が、「国際学会で発表できるレベル」というのを一つの目安として設定するのは、理にかなっています。
大学ごとに教育のミッションは違っていい、とマイスターはいつも思っているのですが、この東北大学の英語教育はまさに、大学のミッションにあった取り組みでありましょう。

さて、興味深いのは以下の記述です。

しかも課外授業は、外国語での専門教育に定評のある神田外語グループ(本部・東京)に授業の運営を任せるとの決断をした。講師は神田外語大から派遣されている。「実践英語は学内に十分なノウハウがない。実績ある学外組織に協力を仰いだ方が効果的」という厳しい自己評価があった。
(上記記事より)

東北大学が「切り札」として協力を要請したのは、なんと他大学のグループなのでありました……!

マイスターはこの東北大学の判断に、とても感心しました。

大きな総合大学、それも旧帝大クラスとなると、学内には多種多様な人材がそろっていると思います。東北大学なら、およそ学生の教育に関わる全領域に対して、相応の専門性を持った教員がおられると思います。

そういった大きな組織であればあるほど、何か取り組みを行うときにはまず

「学内のどの人にその仕事を割り当てるか」

という発想で事を進めていきがちです。

それはそれで大切な発想ではありますが、長年そういった決断を続けていると、どうしても「このプロジェクトを成功させるにあたって、ベストな環境を用意しよう」という考え方からは遠ざかっていきます。

東北大学の場合も、あれだけ大きな大学ですから、語学の教員だって大勢いらっしゃることでしょう。そういった方々は、これまで東北大学で語学教育を担ってきたという自負を持っておられるはずです。これは想像ですが、もしかしたら今回の授業運営委託の話に強く反対された方だっておられたかも知れません。

でも最終的に東北大学は、「他の大学に任せた方がこのミッションはうまくいく」と判断を下したのです。いかに成果を挙げられるか、というところにこだわったわけですね。
その「本気さ」を想像して、マイスターは関心したわけです。

かつて、本ブログで「プロデューサーというお仕事」というシリーズ記事を書かせていただいたことがあります。

・プロデューサーというお仕事(1):プロデューサーは、常に成果の達成を優先する
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50145260.html
・プロデューサーというお仕事(2):客観的な視点を持ちながら、当事者として決断する
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50145287.html
・プロデューサーのお仕事(3):プロデューサーの役割がわかる、ちょっとしたクイズ
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50146779.html
・プロデューサーのお仕事(4):「ちょっとしたクイズ」の回答
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50147468.html
・プロデューサーというお仕事(5):教育事業にこそ、今、プロデューサーが必要なのだ!
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50147897.html

プロデューサーというのはまず最初に「求められる成果とは何か」を設定し、次にその達成のための方法を考える人であるということを、これらの記事で以前ご説明しました。わかりやすく言えば、組織内の都合を考えるのは後回しにするということですね。

で、今回の東北大学の「実践英語は学内に十分なノウハウがない。実績ある学外組織に協力を仰いだ方が効果的」という判断には、こういったプロデューサー的な発想を感じたのです。
冒頭の報道を読んで、大学の組織も昔とはそのあり方が変わってきているのかな、なんて考えました。

ところで、もちろん東北大学の決断が、他の大学にもそのまま当てはまるわけではありません。「語学教育こそ本学のコアだ!」とお考えのところは、逆にそこをアウトソーシングさせてはいけませんよね。
あくまでも、自分たちが達成すべきミッションは何であって、そのために何が必要か、というところから発想することが大切であるように思います。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • 自分の大学が東北大とこんな関係を結んでいたとは。。。知りませんでした。