マイスターです。
「大学webサイトの考え方」というテーマを不定期連載中です。
今回は、「お問い合わせ」を大切にしよう、という話です。
皆様の大学には、「お問い合わせ」というコンテンツはありますか?
英語で言うと「Contact Us」ですね。名前はこれと違っていても良いのですが、とにかくユーザーが「直接担当者に質問したい」と思ったとき、直接メールを送れたり、電話をしたりできるような情報が、webサイトに記載されていますか?
Webサイトというのは、基本的にユーザーの悩みや疑問を解決するためのメディアです。したがって「お問い合わせ」というのは、最重要コンテンツだと言っても過言ではありません。
しかし様々なWebサイトを見ていると、どうもこの「お問い合わせ」というコンテンツが軽視されがちであるような気がします
こちらがどれだけ詳細な情報をwebサイトに載せていたとしても、Webサイトに掲載されていない情報を知りたいとか、特殊な質問や相談をしたいとか、直接話して確認したいとかいったニーズを持つ方は、案外いらっしゃるものです。ところが、そう思ったときの連絡手段がわかりにくいサイトが、案外少なくないのです。
おそらく「お問い合わせに対応する手間や時間を省くのが、Webサイトの役割だ」という発想がその背景にあるのだと思います。確かにそういう面はあるでしょう。
しかしその発想が行き過ぎてしまったあまり、非常にわかりにくいところにしか連絡先が書かれていなかったり、メールアドレスだけで電話番号がなかったりといったサイトを作ってしまっているところも多いのです。「なるべく問い合わせてくれるな。自分で解決してくれ」という態度が、サイトに表れてしまっているのですね。
これではいかにコンテンツが充実していても、本当の意味でユーザーに親切なサイトだとは言えません。
webの力を過信するのは危険です。むしろ「お問い合わせがメイン」くらいに考えておいた方がいいかもしれません。
大学は多様なステークホルダーを抱えておりますので、一人一人に対応するのは確かに大変です。しかしそれでも一部上場しているBtoC企業の顧客数に比べれば、なんとかお問い合わせに対応できる範囲ではないかと思います。
さて、お問い合わせですが、webサイトのどこにいても、必ず画面のどこかに「お問い合わせ」というリンクが見えているのが基本です。そしてお問い合わせは、最低でも電話とメールの二種類で受け付けるのが望ましいです。電話だけだと、昼間忙しい方はなかなかかけられませんし、メールだけだと急いで確認をしたい方は不便に思います。
また「実際に訪れて話を聞いた方が早い」と考える方のために、担当部署の所在地を書いておくのも親切かと思います。
さらにそれに加え、webページ本文の要所要所で「この内容についてご不明な点がある方は、こちらまでお問い合わせください!」のように、担当部署への連絡手段が記載されていると良いかもしれません。ちょっとしつこいくらいに案内しましょう。
ここで、気をつけなければならない点がいくつかあります。
まず、これは最も基本的なことですが、いただいたお問い合わせは、たらい回ししてしまうようなことがないようにしましょう。
お問い合わせ先を記載する場合にしばしば見られるのは、
「教務課」
「学生課」
「就職課」
「入学課」
:
:
…と、部署別の連絡先だけが記載されているケースです。
もちろんこれはこれで必要ですが、ユーザーは、こちらが思っているほど大学組織の役割構成について詳しくないのが普通です。これだけですと、どこに問い合わせたらいいか分からないかも知れません。
おまけに大学の場合、(大学にもよりますが)内部の職員でも、他の部署の業務にそれほど詳しくなかったりします。
ですので、ユーザーが試しに「ここかな」と思って電話をしてみると、
「いや、ウチじゃないですねぇ。入学課だと思いますんで、そのままお待ちください」
↓
入学課「それについては本部書では分かりかねますので、広報課に聞いてください」
↓
広報課「いや、聞いてないですね。すみません、それは大学院課だと思うんですが……」
などとたらい回しされてしまったりするのですね。最悪のパターンです。
(この最悪のパターンが、しかし実は日本中の大学で割と日常的に起きているんじゃないかとマイスターは心配しています。皆様の大学は大丈夫ですか?)
企業もかつて、こういった大失敗をwebサイトでよくやりました。そこで今では「コミュニケーションセンター」のようなお問い合わせ対応専門の部署を置き、いかに適切に担当部署につなぐかということに力を入れているところが少なくありません。
大学の場合、そこまで人的リソースに余裕はないでしょうから、学内のことをすべて把握している人、通常なら広報課の連絡先を、「総合お問い合わせ窓口」として記載するという手もあります。
対応するこちらは、つい「部署別」という組織の都合でユーザーに接してしまうのですが、あちらにとってはどの部署が答えようが関係ありません。悩みが解決されればいいのです。その点で、適切に担当部署につないでくれる総合窓口があったら便利ですよね。
あるいは、「あなたがお知りになりたいことは何ですか?」というQ&Aコンテンツを設け、適切な担当部署(とその連絡先)を示してあげるというのも一つの方法でしょう。
ユーザーというのは、何らかの悩みやモヤモヤを解決したくて問い合わせをするのですから、「悩みやモヤモヤ」から問い合わせ先を検索できるような仕組みが合理的だというわけです。
いずれにしても、たらい回しというのは、こちらの想像以上にユーザーをいらだたせ、不信感を与えてしまう行為であることを十分に理解しましょう。
今日はここまでにして、次回は、「お問い合わせに対応するときに気をつけること」についてご説明します。
以上、マイスターでした。