ボーナスをもらえたけれど、使い途が思い浮かばないマイスターです。
取り立てて、欲しいものがありません。どうしましょうか。どうしましょうね。
さて今週も一週間分のニュースクリップの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。
国立大学医学部の教育ミッション。
■「本県で働く気なく弘大医入学6割」(東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20061210091746.asp
弘前大学医学部の学生の64%が「本県で働く意志がない」まま入学していることが、学生が行ったアンケートで分かった。そのうちの多くが受験事情で弘大を選択しており、大学の「評価」や「施設」などを基準にして選択していたのはごくわずかだった。本県では弘大生が他県に流れ、深刻な医師不足が問題になっているが、学生からは「面接時、本県に残る意志がある学生を見抜くべき」との指摘もあった。
(上記記事より)
うすうす大学関係者が気づいていたことを、改めて正式に調査してみたというところでしょう。なかなか考えさせられるアンケート結果です。
国立大学医学部の第一のミッションは、「その地域に良質な医師を安定供給する」ことだと思いますが、どうやら入学の時点で学生の意識とずれている様子です。
こういった状況を少しでも是正するために、国立大学医学部の間で、学生募集の段階で「地元枠」を用意する動きが出てきています。また在学中も、学生の目を地元に向けさせる取り組みを色々しているのだと思います。
しかし就職先については、学生個人の将来に関わることですから、大学側が強引にコントロールするわけにもいきません。医師不足はどうにかして解決しなければなりませんが、これはなかなか難しい問題です。
京都の諸機関、連携して教育のプロを育成。
■「『連合教職大学院』準備進む…京都の6大学」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20061208ur01.htm
京都の6大学が国立と私立の枠を超え、「連合教職大学院」を開学する準備を進めている。大学間の単位互換制が定着している京都ならではの取り組みだ。
(略)
構想では、不登校やいじめなどの教育相談や生徒指導、学校経営など10科目を設ける方針。実践面を重視し、事例研究を中心にした授業編成を計画している。各大学が連携することで校長経験者ら実務に通じた指導スタッフを確保しやすいのが利点。京都府教委と京都市教委の指導主事らもスタッフになる予定だ。京都教育大のキャンパスに加え、大学院生が通学しやすいようにJR京都駅前のサテライト教室などで授業を開く方針で、定員は60人。単独で教職大学院の開設を目指す大学と同様、08年4月の開設を目標にしている。
(上記記事より)
国立・私立の枠を超えた大学連携だという点もユニークですが、加えて、「京都府教委と京都市教委が協力している」という点も注目です。
大学が行っている教員育成の方向が、現場の問題に即しているかどうか。大学が良い人材を育成したとして、その教員が現場で活躍できるような環境が整備されているかどうか。こういった視点を持たないと、教員の育成は成功しないと思われます。
実際に京都地区に教員を供給している各大学と、教育委員会がスクラムを組むことには、大きな意味があるのではないでしょうか。
この連合教職大学院、教育現場の問題を是正するために地域をあげて取り組むという姿勢を感じさせます。
さっそく弁護士会が動き出した?
■「前納した授業料の返還を 弁護士会が大学授業料110番」(熊本朝日放送)
http://www.kab.co.jp/db/asp/KabNewsDetail.asp?hizuke=2006/12/6&group=4&id=1
入学を辞退した大学に払った授業料などの返還を先月、最高裁が認めたことを受け、12月6日、県弁護士会が電話や面談で相談を受け付けています。
110番では、合格した大学への入学を辞退したのに支払った授業料などが、まったく戻らず理不尽な思いをしている親や、元受験生の相談を受け付けます。
(上記記事より)
先日の判決を受けて、さっそく弁護士会がこのような対応を開始しているようです。上記は熊本県での取り組みを報じるものですが、もしかしたら他県でも同様の動きがあるのかも知れません。さすが、対応が早いですね。
弁護士の皆様には、顧客の側に立って、大学側に色々とご指摘いただきたいと個人的には思います。
「9月入学」の議論、本格的にスタート。
■「大学の9月入学検討 教育再生会議・分科会素案」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200612080278.html
教育再生会議の「教育再生分科会」(第3分科会)の素案に「大学の9月入学の検討」が盛り込まれることになった。欧米に合わせるほか、高校卒業から半年間、ボランティア活動や海外体験、教科の復習など「充電期間」に活用することも有意義との考えからだ。
(上記記事より)
以前から話題になってはいた「9月」入学が、いよいよ本格的に議論されるようです。
(過去の関連記事)
・総裁選の結果次第で、国立大学が「9月入学」に!?
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50238868.html
・安倍構想の元ネタ? イギリスの「ギャップイヤー」とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50244186.html
構想が明かされた当初は「ボランティア」という言葉がクローズアップされていましたが、最近では「海外体験」「教科の復習」などといった活動にも充てられるという説明を耳にするようになりました。個人的には、実施するならそのくらい幅があった方が良いと思います。
ところで、記事には↓こんな記述も。
同会議では「良い学生が海外に流出する可能性もある」との慎重意見もあったが、「グローバルスタンダードに合わせるべきだ」との積極論も強く、検討課題となった。
(上記記事より)
グローバルスタンダードに合わせると良い学生が海外に流出する。ごもっともな心配ですが、学生のためにはそういう環境であった方がいいのです。学生が国内・海外を負担なく選べるようにした上で、競争に勝てるような大学を目指すのが本来でしょう。
「学生を海外に逃がさないために、留学に不便な現状を維持しよう」という主旨の意見が出るなんて、なんだかちょっと情けないです。9月入学が実施されるかどうかは、今後も色々と議論されるわけですが、こういう建設的でない理由で結論を決めて欲しくないなぁ……と思います。
民間人を教壇に?
■「教員採用に『社会人枠』…教育再生会議が提言へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061208i415.htm
安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は8日、都内で合宿審議を行い、教員全体の質の向上のため、「教員採用の社会人枠」を設けるべきだという見解を、1月にまとめる第1次提言に盛り込むことで一致した。
すでにある特別免許状制度を活用するなどして、専門性が高く、意欲ある社会人の採用を促し、教員の多様化を図る狙いだ。
(略)
再生会議では、特に理科や英語の専門性を持つ教員の増加を狙い、「採用者全体の2割」などの数値目標を設定して特別免許の付与を進めるよう提言する。同日の審議では「目標は2割では足りない。教員の半数程度を民間人から採用すべきだ」という意見も出た。
(上記記事より)
同じく、教育再生会議の案。個人的には、これはちょっとどうかな、と感じました。
教育の現場に多様な人材をそろえることには、大いに賛成です。ただそれは、「民間人なら誰でも教育現場でいい仕事ができる」ということではありません。
マイスターは、他業種でどれだけ活躍された方であっても、やはり上でご紹介した教職大学院のような場所である程度プロとして必要な教育を受けてから、教壇に立って欲しいと思うのです。
そうでないなら、あくまでも民間人は「ゲスト講師」のような位置づけにとどめ、授業全体のコーディネートは本職の教員が行うべきだと思います。
企業で活躍したからって、万能ではありません。教育には教育の「専門性」があるのですから、正規の教員として継続的に教壇に立つのなら、それを身につけておく必要があるはずです。
まして「教員の半数程度を民間人から採用すべき」なんていう目標値の立て方には、疑問を覚えます。
個人的には、どうせ民間人を活用するのなら、教育現場をサポートする事業で力を発揮してもらうことも考えてみてはと思います。
公立小中学校の教員は、おそらく大学の教員以上に、雑務に追われています。授業の準備やオリジナル教材の作成、教育力向上のための研究などに充てるはずの時間を、様々な「校務分掌」にとられてしまっています。そういった問題を解決しない限り、誰が教員になっても同じカベにぶつかるような気がします。
そこで、そういった労務を軽減するために、企業人の力を借りるのです。例えば効率的に仕事を進めるための役割分担制度の提案や、学校業務支援ボランティア組織の立ち上げ、学校間の情報交換システムの運営、教材データベースの運営などが考えられます。こういったプロジェクトを立ち上げる際は、企業人の事業管理能力が大いに活かされるのではないでしょうか。
(未知数である)「企業人の教育力」に淡い期待を抱くのもいいのですが、それよりまずは、それぞれが得意とするスキルを教育のために持ち寄る、という発想を試してみる方が先なのでは、と思ったりします。
以上、今週のニュースクリップでした。
ボーナスが入ったので、とりあえず、あったかい毛布を買ってみました。
ブログを書くときも毛布にくるまって作業すれば、ほら暖房費を節約できます……って、むしろいっそう貧しくなったような気分になるのは何故?
その他の使い途は……強いて言うと、任天堂の『Wii』がちょっと気になります。「ダイエットに有効であるなら」という条件付きですが。
(同じことを考えている人が、世の中に相当いると思います……)
期待するほどカロリーは使われず、ただ腱鞘炎になるだけなのでは、という気もするので、そのあたりについての世間での評価を検証してからと思っております。
今週も、長いブログにおつきあいいただき、ありがとうございました。
(日によって、長かったり短かったりするように心がけてみました。短い記事もあった方が気分的に読みやすいかなー、なんて)
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。