朝10時頃、「ちょっと昼まで寝よう……」と思って布団に入ったら、目を覚ましたのが16時だったマイスターです。
昨夜あんまり寝られなかったという事情をさっ引いても、これはどうかと思います。
さて、日曜日ですので、一週間「大学職員.network」上にてご紹介し続けてきた大学関連ニュースクリップの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。
信頼を失いつつある文部科学省……。
■「聴衆の半数は関係者 質問は県職員 タウンミーティング」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/1110/016.html
■「履修漏れ、やらせ質問…… 文科省、責任逃れに躍起」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200611100487.html
政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)で「やらせ質問」があった問題で、大分県教委は10日、政府の質問案に沿って発言したのは県教委の職員4人だったと発表した。また、青森県八戸市では県や市教委が集めた教員ら「関係者」が参加者の半数以上を占めていたことが明らかになった。質問の自作だけでなく、教育関係者が自ら演じ、聴衆まで身内で固めようとした実態が浮かび上がってきた。(「聴衆の半数は関係者 質問は県職員 タウンミーティング」(Asahi.com)より)
物事を決めるとき、会議の採決の場で議論をして決めるのではなく、前もって根回しやすりあわせをしておくというのは、どんな組織でもあることです。(マイスターは好きではありませんが、年長の方ほど、この事前作業の有用性を説くものです)
ただ、「議論をする」という目的と、「スムーズにことを進める」という手段とが入れ替わってしまうのは、問題です。
物事を滞りなく進めるのも官僚の仕事でしょうが、自分たちの都合だけ考えて、国民が議論するのを妨げるというのは言語道断です。まるで、「教育の正しい姿については自分たちが指導するから、無知蒙昧な国民はそれを聞いていればいい」とでも言うかのようなやり方で、マイスターは憤りを感じます。
長く官僚組織にいると、こういう意識が身に付くのでしょうか。
日本では、「議論で決める」という文化がまだ根付いていないのかな、と思います。
文科省は、学習指導要領が守られていなかったという結果責任は認めながらも、責任は基本的には教育課程を決める校長や、学校を指導する教育委員会にあるとの主張で一貫している。
しかし、今週に入って文科省が、全国の大学生の16%が高校で必修の世界史を履修していないという調査結果を4年前に手にしながら、調査を進めなかったことが明らかになった。(「履修漏れ、やらせ質問…… 文科省、責任逃れに躍起」(Asahi.com))
これも、結局、体面だけで調査していたのかな、と思わせてしまうできごとでした。格好を整えるため、「調査をした」という事実だけが大事だったのかも知れません。
……なんてことを思われないよう、がんばって信頼を取り戻してください。
大学にもよさそう? 危険体験施設。
■「『危ない!』を体で覚える 出光興産が体験施設」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/1112/003.html?ref=rss
団塊世代の大量退職を前に、石油会社の出光興産は若手社員にあえて「危険」を体験させる研修を始めた。
同社では、プラントの運転にかかわる技術者1200人のうち、80%が来年から15年間で退職する。今年から新規採用を昨年の4倍の130人に増やしたが、課題は若手への技術伝承。高所作業や劇薬物の取り扱いが多い石油プラントでは、小さなミスが人命にかかわる事故につながることから、さまざまな危険を体感する設備を導入した。
千葉県市原市にある技術研修センターでの研修内容は11種類。滑車に指をはさまれる、高所からの落下、劇薬物に手を触れる、細い配管に乗るなど、過去に起きた事故を再現した。内山晴雄同センター所長は、「基本動作を怠ることが大きな事故や災害につながることを、少し痛い目にあってもらい感覚で身につけてほしい」と話した。
(上記記事より)
なかなか興味深い取り組みです。そう言えば最近では、「失敗学」とか「危険学」とか言った言葉も流行していますし、リスクマネジメントについての書籍も多いですよね。
上記は企業の取り組みですが、大学にもこういった施設があっていいんじゃないかな、と思いました。理工系大学はたいてい立派な実験施設を持っていますが、「事故体験施設」とか、「危険体験センター」というのはあまり聞きません。
ものづくりや、体を使った遊びをあまりしてこなかった若者が増えているそうですから、このように「危険」を安全に体験させることにも意味があるのかなと思います。
○○大学がもし100人の村だったら。
■「でた 出た 早稲田データ:(31)『2006年度学生生活調査』結果報告 早大生版!! 早稲田がもし100人の村だったら・・・。」(早稲田ウィークリー)
http://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2006a/099g.html
一時期話題になった「世界がもし100人の村だったら」。「100人」という身近なスケールに置き換えることで、普段意識しないような世界全体の問題も、リアルに想像できるのですね。
一時期のブームは去ったような気がしますが、この「もし100人の村だったら」という説明の仕方は、人々に何かを訴えるときに、強力な効果を発揮するようです。
というわけで、「早稲田がもし100人の村だったら」です。
90人が授業に興味を持っていて、80人が大学での授業が将来に役立つと考えている。授業には、59人がほぼ完璧(90~100%)に出席しているが、受講している授業のほとんどに(80%以上)満足している人は11人。授業を選択する際に85人が「講義内容」を、42人が「曜日・時間帯」を基準としている。また、46人が教員と短時間でも話をしている。
(上記記事より)
……ってな具合に、学生達の状況を解説しています。普通にパーセンテージのグラフで表すのとは、また違った印象を与えますよね。
どこの大学も学生生活調査のようなデータを持っているかと思いますが、見せ方にちょっと工夫を加えるだけで、皆さんに広く読んでもらえるものになるのかも知れません。
ヘリ墜落の爪痕。
■「沖国大本館の改築工事終了/『黒い壁』保存計画未定」(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200610311300_05.html
二〇〇四年八月の米軍ヘリ墜落事故で損傷し、取り壊された沖縄国際大学本館(一号館)の全面改築工事が三十日までに終了し、建物内に備品などを運び込む引っ越し作業が始まった。
新築校舎の傍らには、ヘリ炎上で焼け焦げた旧本館の壁がビニールシートで覆われたまま屋外に放置されている。壁保存の要望を受け、構内の別の場所に移して活用を検討する方針だが、計画は白紙の状態だ。
(上記記事より)
マイスターはまだ生涯に一度しか沖縄に行ったことがありません。そのとき、どうしても見たいとわがままを言って出かけたのが、沖縄国際大学です。そう、ヘリ墜落の事故現場を自分の目で見るためです。
沖縄国際大学の職員の方に直接案内していただくという幸運に恵まれました。(その節は、本当にありがとうございました!)
そのときに撮った写真は、↓こちらにあります。
・沖縄国際大学 ヘリ墜落事故の現場
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50129665.html
被害を受けた1号館はこのとき既に取り壊されていましたが、「事故の爪痕」は、焦げ落ちた樹木などにうかがえました。
また、一号館にあったロッカーや各種の資料が、他の校舎の様々なところに保管されている様子も見せていただきました。
今回、一号館が新しく再建されたとのことで、何よりです。分散していた備品もようやく、あるべきところに戻るのだと思います。
ただ、事件の記憶を残す壁面は、まだそのままのようです。こうしたものをどう残すかというのは難しい問題だと思いますが、何かの形で残るといいなと個人的には思います。
中国の大学、著作権を守る組織に生まれ変わる?
■「教育省、大学での外国教材の印刷と使用を禁止」(CRI online)
http://jp.chinabroadcast.cn/151/2006/11/11/1@78295.htm
中国教育省はこのほどの通告を、「各大学は『中華人民共和国著作権法』を真剣に実施しなくてはならず、使用する外国教材は原版であるか、或いは許可の出た国内版でなくてはならない。如何なる部門と個人であろうと、外国教材を許可なして印刷し、使用することは出来ない」と強調しました。
この通告は、「各大学は、ここ数年の外国教材の印刷と使用の情況を全面的に調査すると共に、12月末までに教材への所有権侵犯行為をやめなくてはならない」としています。(上記記事より)
「China Radio International」によるニュースです。
中国のメーカーは、しょっちゅう著作権や特許の侵害で各国のメーカーに訴えられています。中国の著作権保護についての取り組みは遅れている……というイメージを、国際的にもたれてしまっているように思います。
上記の報道は、これまでいかに大学で著作権が守られていなかったかということを表していますよね。
今後は国家を挙げて、著作権についての意識を変えていかなければなりません。そのため、まずは大学の姿勢を正していこうということなのかも知れませんね。
海外から、研究者や留学生をどんどん大学に招き入れようとしているところでもありますから、確かに、今のうちに手を打っておいたほうがいいと思います。
日本のポスドク就職問題に関する報道。
■「Young Japanese scientists must deal with career trends similar to those of their US counterparts.」(naturejobs.com)
http://www.nature.com/naturejobs/2006/061102/full/nj7115-119a.html
最後に、おまけとして……日本のポスドクの進路についての記事です
博士号取得者が増えるが彼らを活かすキャリアがないため、ポスドクが路頭に迷うとの指摘。アメリカがかつて経験したのと同じ、なのだそうです。
良く耳にする指摘ではありますが、海外のメディアからも指摘されちゃっているのですね。なんとかしないといけませんね。
以上、今週のニュースクリップでした。
夕方まで寝てしまい、今さらやることもあまりないので、気合いを入れて肉じゃがを作りました。料理自体は会心の出来でしたが、せっかくの休日を寝て過ごし、一人、台所で絹さやのすじ取ったりしているのはどうなの、と我が身を振り返ったりします。
有効に休日を活用するのって、なかなか難しいです。
そう言えばかの松下幸之助さんは、なんと1965年に、完全週休2日制を実施したそうです。
「今後、世界のメ-カ-と互角に競争していくには、能率を飛躍的に向上させなければならない。それには休日を週2日にし、十分な休養をとる一方で、文化生活を楽しむことが必要になる」(松下電器 社史より)
という考えからだったとか。ううむ、「経営の神様」と呼ばれ親しまれた創業者、さすが。
ちなみに、「一日教養、一日休養」がスローガンだったそうです。自伝などを読んでいても思うのですが、松下幸之助さんはこういう言葉のセンスが絶妙ですね。
今週は一日しか休みがなかったので、ぜんぶ休養に充ててしまいましたが、「教養」の方も蓄えていきたいと思うマイスターです。
今週も一週間、本ブログにアクセスいただきまして、ありがとうございました。
来週以降も、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。
「そう言えばかの松下幸之助さんは、なんと1965年に、完全週休5日制を実施したそうです。」
×週休5日制 → ○週休2日制
ですね^^;
マイスターです。
うわっ、これは恥ずかしい!
ご指摘くださいまして、ありがとうございます。さっそく、修正いたしました。
休みすぎですよね…orz
松下電器、つぶれます。