ニュースクリップ[-11/5] 「就職難の博士たちへ、国立8大学が企業との交流サイト」ほか

マイスターです。

11月の連休、皆様は楽しまれたでしょうか。大学関係者の中には、出勤していた方も結構たくさんいらっしゃるのではと思います。マイスターもそうでした。
「文化の日」は、何しろ名前が名前、大学にとっては様々な学術イベントを行う絶好の機会です。また、学期途中の連休ということで、学園祭をここにもってきている学校も少なくないでしょう。大学関係者にとっては、意外に忙しいシーズンです。

さて日曜日ですので、一週間「大学職員.network」上にてご紹介し続けてきた大学関連ニュースクリップの中から、またいくつかを選んでご紹介したいと思います。

旧帝大+東工大のポスドクためのSNS。
■「就職難の博士たちへ、国立8大学が企業との交流サイト」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061105it02.htm

国立8大学が、インターネットの“社交場”と言われる「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」のウェブ・サイトを独自に運営することになった。

就職難の博士たちを支援するためで、近く本格サービスを開始する。
(略)
北大、東北大、東大、名大、京大、阪大、九大と東工大の工学部が開設する「大学SNS」は、交流によって“浪人博士”たちの関心の幅を広げ、企業との接点を増やすことを狙う。

参加者は自分の研究テーマや論文などを登録。企業の人事担当者も会員になり人材を捜すデータベースとして活用できる。会員が情報交換しながら、交流を深められるコーナーもある。
(上記記事より)

というわけで、ポスドク用のSNSができました。アカデミックな情報を掲載することに特徴があるようです。
記事には、

8大学は当初、就職支援用データベースの開発を進めていたが、SNSの人気が高まったのをみて、急きょSNSに改造したという。

とも書かれています。なるほど。
職を得たいポスドクの皆様はさっそく登録し、情報をアクティブに掲載するかも知れません。問題は、企業の人事担当者が使うかどうかです。

■UCEE研究者データベース
http://ucee.jp/

ところで、同SNSの利用規約には、こうあります。

データ提供者は下記のいずれかの条件を満たす者とする。

(1)申請時点で、8大学工学系研究科の博士後期課程、社会人博士課程、または国際大学院コース博士課程に在籍する者。
(2)8大学工学系研究科に在籍する助手、技官、研究員、リサーチアソシエイト、ポスドク等の研究者で博士の学位(博士(工学)、工学博士、学術博士、Ph.D.など)を有する者。
(3)8大学工学系研究科より博士の学位を取得後、8大学工学系研究科外に在籍する助手、技官、研究員、リサーチアソシエイト、ポスドク等の研究者。
(4)その他の研究者で、運営委員会に対し研究者DBへの登録を希望し、運営委員会の審査の結果、データ提供者の資格を付与された者。
利用規約より)

データの閲覧をする人には制限がありませんが、研究者として自分の情報を登録・公開するためには、上記のような条件を満たしていなければならないようです。旧帝大+東工大の関係者しか使えないのですね。大学にしては珍しい、一種の人材囲い込みに通ずる戦術です。

戦術的にはとても効果のあるものだと思いますが、もともと圧倒的な強さを誇っている一部の大学が手を組んで行う取り組みなので、「日本全体での人材流動がより閉鎖的になる」「旧帝大による他大学の締め出しだ」等の反発も買いそうではあります。

修学旅行で大学見学。
■「東京への修学旅行 訪問先に企業・大学増える」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200610270257.html

東京への修学旅行の訪問先として、浅草寺や東京タワー、お台場などの名所に加え、企業や団体、大学を選ぶケースが中学、高校とも増えている。関心のある仕事や進学先に触れることで、将来の進路を考えるのがねらいだ。
(略)
 財団法人日本修学旅行協会によると、全国の国、公、私立高校計1058校が答えた04年度の修学旅行を対象にした調査で、修学旅行に体験学習を採り入れている高校は全体の65.4%。うち進路にかかわる「職業訪問・上級学校訪問等」は体験学習の5.8%を占めるにすぎず、スキーなどスポーツ体験(34.1%)などと比べると少ない。
(略)
それでも進路学習の導入は「以前はなかったが、最近10年ほどで表れた傾向だ」と門田秀雄・調査役は指摘する。修学旅行で東京に来る地方は、高校では北海道や中国、四国、九州が、中学では東北が多い。「東京は元々人気があったが、企業や大学が集まっていて多様な進路学習ができる点も、選ばれる理由に加わった」とみる。

進路を考える修学旅行の出現は、現行の学習指導要領で「自ら学ぶ意欲」や「生きる力」が重視されたこととも無関係ではないという。「キャリア教育の一環だろう。興味のある職種や志望校を見ることでやりたいことを見いだし、目的を持った進路選択につなげるねらいがあるのでは」と門田さんは話している。
(上記記事より)

アメリカの大学には、離れた地方の優秀な学生を獲得するため、模擬授業や学生寮宿泊体験を組み合わせたツアーパッケージを用意するところもあると聞きます。大学が飛行機の費用まで持って、高校生とその親をキャンパスに招待するのだとか。

日本はというと、(全体から見ればまだ少ないですが)修学旅行の旅程の中に大学見学を取り入れる高校が出てきているようです。大学にとってはありがたい話ですし、高校生が進路を考える上で有意義な体験だとは思います……が、本来の修学旅行の目的とずれて、完全に進路指導のためのイベントになってしまわないかと危惧する向きもあるでしょう。
修学旅行には様々な文化や芸術に直に触れたり、個別行動で主体性を養ったり、友情を深めたりという役割がまずありますから、そちらがおろそかにならないようにお気をつけください。

大学ベンチャーの、教育上の役割。
■「学生にマナーや実務教育」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20061105ur01.htm

大学発ベンチャーの存在は、その大学や地域にとってどのようなメリットがあるのか。「研究成果の普及に加え、学生の教育の『場』を作るのも大きな側面」と、筑波大産学リエゾン共同研究センターの菊本虔(ひとし)教授は説明する。
ベンチャーとかかわる中で、学生は商品として通用する製品やサービスを生み出す苦労や喜びを経験し、社会人としてのマナーや実務能力なども身につける。進路のひとつにもなる。
(上記記事より)

大学発ベンチャーに、アルバイト等の形で関わった学生が、活動を通じて社会人としてのマナーを身につける。さらには、そのベンチャーにそのまま就職する。
大学発ベンチャーと言えば、まずどうしても「教員の関わり方をどうするか」という点に話題が行きます。しかし、学生にとっての大学ベンチャーって何?という議論は、まだまだ深まっていないように思います。
社会人マナーが身に付くのはいいことですが、そんなレベルで終わる話ではありませんよね。専門知識を深めたり、交渉・提案能力を身につけたり、全体を見渡すプロデュース能力を身につけたり、という点でも、ベンチャーでの経験は生きるはずです。

もちろんアルバイト程度では限界がありますが、いつかそのうち大学の正規カリキュラムの一部に「大学ベンチャーでの体験」を位置づけるところも出てきたりするのではないかな、と思います。

龍谷大学、「ライティング・センター」を開設。
■「論文作成を院生が手助け 龍谷大、瀬田にセンター」(京都新聞)
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2006102400008

龍谷大は、学生のリポートや論文作成などを大学院生が手助けする「ライティング・センター」を大津市の瀬田学舎内に開設した。学力低下や読解力不足が指摘される「ゆとり教育」世代の学生を支援する狙いだ。

授業時間や学習内容を削減した新学習指導要領下で学んだ学生が今春、初めて入学し、各大学がその影響を注視している。社会、理工、国際文化の3学部のある同学舎教授会は、学生が講義で困らないようにと同センターの設置を決め、今春から準備を進めてきた。
(上記記事より)

大学生の学力に関してよく耳にするのが、文章力の低下。マイスターのように、教務カウンターで書類を受け取るだけの人間ですら、学生の書いた文章にびっくりすることがよくあります。論理がめちゃめちゃだったり、そもそも質問の意味をわかってないのでは!?と思えたり……。まして、レポートや論文は、さぞ大変なことになっていることでしょう。

文章理解は学問の基盤。本来なら全国の大学、全学部の新入生が「日本語表現 I」のような科目を必修で履修してもいいくらいだとマイスターは思います。1年生の基礎教育のうちに、論理が明快な文章を組み立てられるようにするのです(おそらく、そういう取り組みをやっている大学も少なからずあるのでは)。

龍谷大学は、文章作成の指導を専門に担う「ライティング・センター」を開設したとのこと。こういった機関って、アメリカの大学などでは割と一般的にあるみたいですね。(英語力が十分でない海外からの留学生も多いですし、コミュニティ・カレッジなどでは文章力が十分でない入学者も少なくないと思いますし。)

留学生の印象は?
■「立命大、5区で再逆転…全日本大学女子駅伝」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/sports/jekiden06/news/20061029i5w3.htm?from=os1
立命館アジア太平洋大学(APU)は、全学生のおよそ4割が留学生という、日本屈指の国際派大学です。そのためこうしたスポーツ報道においても、自然に留学生の名前が並びます。

しかし世間的には、この報道だけを見ると、「スポーツのために外国から特待生を連れてきやがって」と思う人もいるような気がします。
「本当に留学生だらけ」なのに、誤解されたら気の毒だな……と、勝手に心配するマイスターです。
(もっとも、そのうち世間も事情を知り、逆にスポーツを通じてAPUの国際性がいっそうアピールされることになると思いますけれど)

以上、今週のニュースクリップでした。
今週はもっと色々な話題があったのですが、あんまり長くなるのも読みにくいですので、この辺で……(大学職員の方は、「大学職員.network」にニュースクリップをまとめておりますので、よろしければそちらもどうぞ)。

11月は学園祭シーズンです。
これから開催する大学もまだまだたくさんあることでしょう。

学園祭に行くと、大学ごとの、学生の気質の違いや活気の差などを知ることができますよね。「同じ大学生でも、実態はこうも違うのか!」と驚くことも多いです。
ぜひ、自分のところだけでなく、他大学の学園祭ものぞいてみてください。

今週も、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。