マイスターです。
なるほど、こういう地域貢献の仕方もあるんだなぁ……と感心させられるニュースを見つけました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「山梨学院大『走る110番』 児童見守り駅伝練習」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20061012ur21.htm
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箱根駅伝でおなじみの山梨学院大陸上競技部(部員86人)の学生たちが12日、甲府市内の小学校の通学路で、「走る子ども110番 安全パトロール」と書かれたゼッケンをつけてランニングを始めた。
山梨県警は「韋駄天(いだてん)ぞろいの学生たちがいれば心強い」と期待している。大学のある甲府署管内では、不審者が児童に声をかけたりするなどの事案が今年に入って29件発生。甲府署が地域密着型の防犯ボランティアを募ったところ、朝夕の練習時間帯が小学校の登下校と重なる同部が協力を申し出た。
この日の出発式でゼッケンを受け取った学生たちは数コースに分かれ、児童に「おはよう」などと声をかけながら約10キロを走った。上田誠仁監督(47)は「ゼッケンを見た子どもたちに、安心して登下校してほしい」と話していた。
(上記記事より)
山梨学院大学は、「箱根駅伝」の出場常連校として、全国的に名前を知られています。
■「山梨学院大学陸上競技部応援ページ『Gale』」(山梨学院)
http://www.ygu.ac.jp/sports/gale/index.htm
その駅伝名門校の、粋な取り組みです。
早朝や夕方に犬の散歩をする住民に腕章を配って地域パトロール隊にする取り組みは聞いたことがありましたが、なるほど、運動部の早朝ランニングには思い至りませんでした。
これなら、元々の練習にあまり支障を来すことなく、地域の安全に貢献できます。
練習に参加する部員達にも、子供達と地域社会のために役立っているという誇りが生まれます。また、目が届かないエリアを選手達がカバーしてくれることで、警察や行政も大助かりでしょう。
そして、地域住民が大学を見る目も変わるはずです。同じコミュニティの頼れる隣人として、より親しみのある存在として、再認識してくれると思います。日常的に選手を目にすることで、「駅伝の大学」というイメージも強化されることと思います。
なんと、ちょっとのことで、コミュニティ内にこれだけのメリットが!
なんてすばらしい取り組みなんでしょう。
大学の地域貢献というと、つい私たちは、大上段に構えたものを企画しようとしてしまいがちです。でも、様々なところに貢献の機会があるものなのですね。コミュニティの中でごく自然に地域貢献が行われている点が良いと思います。
箱根駅伝のとき、地域のみなさんが子供と一緒に、テレビの前で選手達を一所懸命応援する姿が目に浮かぶようです……。
マイスターも、勉強させていただきました。
……と、ニュースのご紹介はここまで。
ちょっと話題は変わりまして……
以前から思っていたのですが、山梨学院のwebサイトって、実は結構良くできています。
以前、箱根駅伝の記事を書いたときに、箱根駅伝出場校のwebサイトをすべて拝見しました。そのときに一番印象に残ったのが山梨学院のサイトでして、以来、ちょくちょく見ています。
■学校法人 山梨学院
http://www.ygu.ac.jp/
上記のトップページをご覧ください。このようにマップをモチーフにしたデザインのwebサイトというのは子供用サイトなどによくあるのですが、大学では珍しいんですよね。で、これが、なかなかちゃんと作り込んであるのです。
時間帯で絵が変わりますし、音も変わります(夜は虫の音が聞こえます)。
キャンパス内を駅伝の選手達が走っていたり、学生同士の会話が表示されたり。
また、60周年を知らせる気球もちゃんと浮かんでいます。通常、「○○大学は○○周年を迎えました!」というバナーは、卒業生でもない限りあまりクリックしないと思いますが、このようにマップ上のモチーフとして表現されていると、つい見てしまいますよね。
斬新なアイディアというわけではありませんが、なかなか丁寧に作ってあり、楽しませてくれるトップページです。
また、用意されているコンテンツもなかなか面白いです。
■「YG Community」(山梨学院)
http://www.ygu.ac.jp/community/index.html
■「山梨学院ニュースファイル」(山梨学院)
http://www.yguppr.net/
上記の二つは、学園内の出来事や、学園の構成員の活躍などを共有するためのコンテンツです。両方とも、大学の公式サイトには珍しい、「読ませる」制作物です。
■「山梨学院カレッジスポーツセンター」(山梨学院)
http://www.ygu.ac.jp/sports/
もともとスポーツに力を入れている大学だからというのもありますが、↑このようなスポーツセンターのサイトをしっかり作っているのにも驚きます。実は多くの大学が、こういったところまで手をかけていないのです。
「次期オリンピックを目指す選手達」なんていうページを用意しているあたりも、なかなかやるなぁと感心します。
ニュースやイベント情報の更新頻度も高いです。
さらに、
■「学生企画による山梨学院大学キティ誕生!!」(山梨学院)
http://www.ygu.ac.jp/student/ygu_kt.html
↑このように大勢の興味を引くと思われる情報の場合は、バナーリンクをトップページに貼って念入りにアピールしています。基本を押さえた広報の仕方です。
……と、山梨学院のwebサイトでは、このように「読み手に興味を持ってもらう」「身近なメディアとして、楽しんでもらう」という姿勢がはっきり打ち出されています。これって、大学の公式サイトとしては、珍しいです。
その分、大学の学びについて調べようとして深い階層のページに進むとナビゲーションが途中でわかりにくくなるとか、サイト全体の構成がつかみにくいとかいったデメリットもあります。
でも、これはこれで、大学の戦略としてはアリなんじゃないかなぁ、とマイスターなどは思うのです。
よく日経などが「大学のwebサイトランキング」の調査結果を発表していますが、あれはあくまでも情報量やアクセシビリティ対策の有無といった、定量的に測れる部分を見たランキングです。別に、良いサイトかどうか、という評価ではないのです。
良いサイトかどうかという指標は、大学がwebサイトをどのような意図で制作しているかによって変わります。
にも関わらず、客観的にわかりやすいランキングに踊らされて、ナビゲーションは良くできているけど全然魅力を感じさせないサイトを作っている大学が少なくありません。使いやすいことはもちろん重要ですが、それがすべてではないのです。
現在の状況から言えば、例えば中堅私大なら、まず受験生を引きつけるサイトであることが至上命題のはずでしょう。その役割を十分に果たせているサイトを、マイスターはまだ見たことがありません。
山梨学院のサイトは、「学園の構成員に毎日読んで欲しい」「学園としての一体感を感じて欲しい」という意図を明確に感じるという点で、個人的には好ましく感じます。
気づけば、ニュースの紹介よりも、サイトの紹介の方が長くなってしまいました……。
陸上競技部による地域パトロールの取り組みは、おそらく全国で参考にされると思います。
(山梨学院には少々申し訳ない気もしますが)ぜひ、同様の活動が全国に広まっていくといいなと思います。
以上、マイスターでした。
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(過去の関連記事)
・箱根駅伝と大学広報(1)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50126501.html
・箱根駅伝と大学広報(2)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50127127.html