マイスターです。
自分の母校である高校がいつの間にか中高一貫校になっていることに気づいたのは2年ほど前のこと。スーパーサイエンススクールの指定まで受けてました。
国際交流にも積極的で、中学生のうちから東南アジアに行き、提携している現地の中学生達と交流を深めるのだそうです。
あっというまに友達になり、帰国後もメールのやりとりをする生徒が多いのだとか。早くからそんな経験ができる後輩達がうらやましいです。
子供達にとって、国境や言葉のカベは、とても低いのですね。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「『高大連携』相手は海外」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060922ur01.htm
————————————————————
高校生が大学で授業を受けたり、大学教授が高校で講義したりする「高大連携」が広がる中、大阪の府立高校が海外の大学と提携し、交流を深めている。公立高校では珍しい取り組みだ。
[大阪・箕面高 NZの大学で英語学ぶ]
大阪府北部のベッドタウン、箕面市にある府立箕面高校(山村安男校長、874人)。
同校は今年8月、ニュージーランド・マヌカウ市(人口約25万人)のマヌカウ工科大との提携に合意。生徒が同大観光学科の講座を受講し、カリキュラムを修了すれば単位を認定する仕組みをつくった。8月7~11日に第1陣の1、2年生24人がニュージーランドに渡り、同工科大に通った。
(略)
生徒を引率した蔭山孝幸教諭(53)は「現地で専門的な単語や言い回しを学ぶのは日本で得られない刺激」と話す。旅客機の国際便の客室乗務員を目指しているという2年坂口絢美(あやみ)さん(17)も、「生きた英語を学ぶことができた」と喜んだ。高校生に大学レベルの先端的な教育を受ける機会を与え、進路の選択などに役立てる高大連携の取り組みは近年急増。
(略)
箕面高校も、近隣の大阪外国語大や関西大との連携を進めてきたが、「国際感覚を持った即戦力の人材が企業や社会に求められている」との考えの下、外国人向けの実用英語を教える講座を持っている同工科大と提携することにした。山村校長は「感受性豊かな高校時代に海外から日本を見つめ直す機会は大切。公立高校でも工夫次第で生徒たちに様々な体験の機会を与えることができる」と意義を語る。
今後はオーストラリアの大学との提携も検討。01年に姉妹校提携を結んだニュージーランド・ハット市のハットバレー高校との連携もさらに深め、生徒を同高校に留学させた後、同工科大など、海外の大学に進学する道をつくることも計画している。
(上記記事より)
というわけで、大阪の公立高校の試みです。
「マヌカウ工科大学」は、もともと外国人向けの教育プログラムを持っているとのこと。英語教育についてのノウハウがあるのですね。そのノウハウと、観光学科の教育カリキュラムとをあわせて、高校生向けのプログラムとして提供しているというのがとてもいいと思います。
単なる語学留学にとどまらず、「英語で何かを学ぶ」という面での教育効果も生み出しているのですね。
箕面市とニュージーランドのハット市が姉妹都市提携を結んだ後、2001年9月には箕面高校とハットヴァレー高校 が姉妹校提携の調印を行いました。
以来毎年夏休みに姉妹校交流ツアーを実施しており、今年度は7/28~8/12に24名が参加しています。
期間中はホームステイをしながら午前中は英語研修を、午後は校外活動を基本とし、マオリ文化を学ぶ宿泊学習など様々な研修内容で、ニュージーランドの文化と人々の温かさに触れることができる素晴らしい日々を体験できます。
なお今年度より、前半を首都ウェリントン近くのハット市でホームステイをしながら現地高校への通学、後半をオークランドでホテルステイをしながら《マヌカウ工科大学》で学習することになっています。
またこのプログラムに参加することにより正規の授業単位(1単位)が認められます(「国際交流」(大阪府立箕輪高等学校webサイト)より)
高校のサイトによると、現地の高校と姉妹校提携を行っているのだそうです。ツアーの前半が高校との交流、後半が大学での学習というわけですね。なるほど。
さすがに、全生徒が参加するというわけではないようですが、参加した高校生達の知的好奇心を刺激するための海外交流として、成果を上げていくと思います。
日本では高大連携の試みが広まりつつあります。しかしその多くは地元の大学と連携しての取り組みだと思います。このように海外の大学をパートナーにする高校の話はほとんど聞きません。
■WELCOME TO MINOH SENIOR HIGH SCHOOL 大阪府立箕面高等学校
http://www.osaka-c.ed.jp/minoo/
↑上記webサイトをご覧ください。英語サイトが用意されております。
公立高校で、英語のサイトを持っているところはいったいどのくらいあるのか、マイスターは詳しく知りません。ただ同校のサイトは、英語圏の方から見られることを想定した作りになっているようです。
現地の方々に、自分たちはこういう高校でこんな教育を行っているんだということを説明するためにも、英語サイトは必要になるのでしょう。
こうした取り組みを行うことで、ゆくゆくは生徒の側に、「海外の大学に進学」という意識が芽生えてくるのかも知れません。
個人的には、そうなったら面白いと思います。
さらにもう一つ、興味深い記事をご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「エリート養成(9) 目指せ世界の難関大学」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060413us41.htm
————————————————————
最初から世界の難関大学を目指す中高一貫校が生まれた。
「僕は、日本のためにもおめでとうと言いたい。20、30年すれば、この中から世界的に活躍する人が生まれるでしょう」
今春、広島市に開校した私立AICJ中学校の入学式で、評論家の竹村健一さん(76)が新入生144人に語りかけた。教育理念に共感し、同中を運営する学校法人AICJ鴎州学園の理事長を務める。
同中は「国際的なエリート育成」をうたう男女共学校。AICJは「国際社会のための日本の学校」という意味の英語の頭文字だ。来春には中高一貫校となる。授業は、国語と社会以外、英語で行う。新入生は春休みの2週間、外国人教師による準備授業で英語を学んだ。
約500人の志願者の中から選ばれた新入生には、開成(東京)、ラ・サール(鹿児島)など、有名校に合格した生徒もいる。
「国際的な弁護士を目指します」「NASA(米航空宇宙局)で働きたい」「(NGOの)『国境なき医師団』で活躍したい」
抱負もすでに国際的だ。 父親の1人(43)が「世界を向いたこの学校には多くの可能性がある。子供の能力を伸ばしてくれると信じている」と語った。
(上記記事より)
こちらは、海外大学への進学を標榜する中学・高等学校の設立を報じた記事です。
今年4月に掲載された記事ですが、とても興味深い内容でしたので、いつかブログでご紹介したいと思っておりました。
■学校法人 AICJ鴎州学園
http://www.aicj.ed.jp/index.html
国際的なエリート育成を謳うこのAICJ鴎州学園、その設立主旨もユニークですが、カリキュラムはさらにユニークです。
■「大学進学までの流れ」(学校法人 AICJ鴎州学園)
http://www.aicj.ed.jp/nagare/nagare.html
上記のページでは、進学までの流れが説明されています。高校進学時に、3つの選択肢があるのがわかると思います。
学習塾が設立した学校だけあって、国内難関大学進学コースも用意されてはおりますが、やはり目を引くのは、海外への進学を前提とした2コースでしょう。
読売の記事では、↓このように紹介されています。
新しい学校の大きな特徴は、世界の大学への入学資格が得られる教育プログラム「国際バカロレア(IB)」認定を目指すことだ。校長は、ニュージーランド出身のキャロリン・ソロモンさん(57)。シンガポールのIB校で校長を務めた。教師の半数はIB校での教育経験を持つ外国人だ。
1クラスは28人。彼らと日本人教師によるチーム・ティーチングで授業をし、習熟度別クラス編成も導入する。茶道など、日本の伝統文化も積極的に学び、ボランティア活動も義務づけた。
さらに、高校進学時には、ニュージーランドにある姉妹校AIC(オークランド・インターナショナル・カレッジ)高校ニュージーランド校に留学する選択肢を設けた。ニュージーランド校は3年前に開校し、中国、ベトナムなど世界13か国の生徒が学ぶ。今年5月卒業の第1期生51人は、英ケンブリッジ大や米プリンストン大にも合格した。
また、2年前には広島市内にインターナショナルスクールを開いており、この在校生24人は、AICJ中学校の2、3年に編入した。3年生には今夏、ニュージーランド校に飛び入学する生徒もいる。
(上記記事より)
いかがでしょうか。
実に面白い学校ができたなぁと、個人的には思います。
「有名難関大学」にこだわるかどうかは別として、考えてみれば、海外の大学に進学するコースを置いた高校って、もっとたくさんあっても良いはずですよね。
むしろ、どうして今までこういう高校がなかったのだろうか、ということが、不思議と言えば不思議です。
日本では、中学・高校の先生は、必死に生徒に英語を学ばせます。
また、中高生の保護者の方は、「これからは必要になるからなぁ。英語を勉強しておいた方がいいぞ」と子供に言って聞かせます。
でも、教員や親が、「海外の大学を受験してみてはどう?」と子供に提案することはありません。
それどころか、「アメリカの大学を受けたい」と子供が言ったら、多くの親は最初、反対します。日本の大学で良いじゃないか、何が不満なんだ、という言葉とともに。
日本人にとって英語は国際人になるためのスキルではなく、あくまでも日本の大学受験を突破するためのツールなんだなぁ、ということがよくわかる一幕です。
(マイスターの知り合いで、日本の大学の修士課程を卒業するとき、親に「海外の大学院に留学するつもりだ」と言い、「何バカなこと言ってるの」と反対された人がいます。その人はさすがに大学院生の年齢なので、結局は自分の判断で渡米しましたが、なんだか気の毒な話です)
日本人には国際交流のためのコミュニケーションスキルが足りないとか、実践的な英語力がないとか、さんざん自己批判をしておきながら、それでも日本人は何故か、若者が海外に飛び出すのを止めようとします。
考えてみれば不思議だと思いませんか?
冒頭でご紹介した自分の母校もそうです。「進路実績」のwebページを見てみましたが、国際交流に力を入れておきながら、海外の大学に進学した生徒は一人もいませんでした。
若者達が必要な能力を持っているかどうか、ではなく、「海外に進学する」ということを周囲の大人がまだ身近な出来事として想像できないのが原因なんじゃないか、とマイスターには思えなくもありません。
若者が、自分で「海外進学」を想像するのは、なかなか難しいです。周囲にいる大人達に、そういうロールモデルになる人がいませんからね。
だからこそ可能性があり適性を持っている若者に対しては、大人の側が「こんな選択肢もあるよ」と提示してあげることも大切なんじゃないかと思うのです。
その点で、今回ご紹介した二つの高校は、興味深い取り組みをしているんじゃないかと思うのです。
日本全国の高校すべてがこのような取り組みを必要とするとは思いません。
しかし、海外の大学と連携を組む高校や、海外大学への進学を目指す高校ができるのは、日本の教育全体にとって、良い刺激になるのではないでしょうか。
以上、マイスターでした。
—————————————–
(おまけ)
ところで、箕面高校の逆のケース、つまり「海外の高校と連携する日本の大学」ってあるのでしょうか?
大学は、留学生の人数を増やしたがりますよね。留学生が欲しいのなら、夏休みに海外の高校生を対象にしたサマースクールなどを開講してみても良いのではないでしょうか。
※箕面高校の英語サイトは、文字コードを英語にしたら、文字化けしている部分がありました。たまたま昨日の記事の内容が、英文webサイトのことだったので、試してみたら化けました。お気をつけください。
でも、例えばアメリカに留学すると、日本には戻って来ない人も増えるでしょう。実際そんな友人が何人もいます。日本の企業の多くは専門知識や技術を軽視する傾向があったり(せっかく学んだことを活かせない、認めてもらえない)、社会全般としても本質ではない些細な規範にこだわりすぎる傾向があったり(息苦しい)。
小~高等学校、大学が外国の学校と連携等を種々試みることは結構なことです。ただ、日本企業・社会がもっと成熟し、魅力を増したり、度量を大きくしていかないと、単なる頭脳流出に終わってしまいそうな予感もします。
大げさな書き方かもしれませんが。
海外の有名大学を目指すと鳴り物入りで開校した広島市の学校法人AICの事ですが、IBコースの募集がなくなり、海外の有名校を目指すコースは自然消滅した様です。
結局、国内の進学校と同じなら生徒たちを混乱させただけで終わったのでしょうか?
直接関係のないニュージーランドの関連校の実績を宣伝に使って宣伝が巧みですよね。
いろんな大学の海外高校が有りましたが今は殆ど撤退しています。慶應、早稲田ですら苦戦しています。
AIC開校の経緯にニュージーランドの不動産が安かったからとありました。ビジネスが先にあったのでしょうかね。