マイスターです。
キャンパス英語って、ちょっと特殊です。
微妙な英語力のマイスターですが、仕事上たまーに、英語しか理解できない教員にメールを送ったりすることがあります。
その都度、「『後期』ってのは『Autumn term』でいいかな?」とか割とどうでも良い部分で、はたと考え込んています。
自分自身、海外の大学で正課の学生として一学期間を過ごした経験がないので、細かいところで大学英語を知りません。
そんなときは、まず自分の大学のwebサイトの「英語版」を見てみます。いちおう、自校が公式にどんな言葉を使っているか、「公式な用法」に準じようと思うわけです。しかし、たいていは参考になりません。というのも、英語版webサイトは情報が少なすぎるのです。
で、結局、アメリカの大学のwebサイトなどを参考にすることになります。
……でも、もしかしたら自分の大学のサイトを参考にしなくて正解だったのかも知れません。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「国内主要大学学部別英文ウェブサイト、8割強に文法ミスあり」(サイマル・インターナショナル)
http://www.simul.co.jp/corp/news/20060718.html
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(株)サイマル・インターナショナルは、日本の主要大学120校※1における「学部別ウェブサイトの英文情報」についての実態調査を行った。
まず、大学のオフィシャルサイト英文版で、全学部の紹介情報が掲載されている大学は120校中81校(67.5%)に達しているものの、それぞれ学部毎に独立したウェブサイトが全学部閲覧可能な大学※2は、全体の約1/3(35.8%)、全学部ではないが一部ある、を加えても約半数(52.5%)に留まる結果となった。
英文のクオリティに関しては、スペルミスあり(62.5%)、文法ミスあり(83.5%)という結果となり、英文の見直しが必要と考えられる学部別サイトが多く存在していることがわかる。
また、ウェブページのコーディングが日本語表示用設定となっているサイト ―日本語を閲覧できない環境のユーザーにとっては文字化けを起こしてしまうサイト― が7割以上(73.4%)を占めた。
さらに、リンクが正しく貼られていないサイト ―「リンク切れ」または「何の注意書きもなく日本語情報に飛ぶ」サイト― も約7割(69.0%)あったことから、英文サイトを構築する上での基本ルールが守られていないケースが大変多く見られる結果となった。
(上記記事より)
「大学職員.network」の中で、他の職員さんに教えていただいた情報です。非常に興味深い内容なので、ブログでもご紹介させていただこうと思った次第です。
グローバルに情報発信することの重要性を説く大学関係者は多いと思いますが、この調査結果を見る限り、まだまだ十分な対応はできていないようです。
今回の調査で指摘されている問題点は、大きく二つに分けられそうです。
スペルミスや英文法の誤りは、能力の問題。
リンク切れや文字化けの存在といったメンテナンス不足、情報不足などは、姿勢の問題です。
前者は、webサイトを管理する方々の責任です。
帰国子女の職員や、海外で働いていた経験のある教員が、英文サイトの文章を書いているという大学は、結構あるんじゃないかと想像します。それはいいのですが、今回の調査結果を見ると、どうも英語力に怪しい部分が多いようです。
英語での文章力が不十分だということの他に、大学ならではの用語の使い方などに慣れていない、という理由もあるのではないかとマイスターは推察しますが、さてどうなのでしょうね。
英文の校正は、重要な部分やあまり頻繁に更新しない部分については、内部の担当者だけに任せるのでなく、外部のプロのチェックも入れた方がいいかもしれません。
何しろ大学の公式webサイトです。文章が稚拙では、読み手にいい印象は与えません。あまり国際的な活動には力を入れていない大学だから、こういうサイトの間違いにも気づかないんだろうな、と思われてしまいかねません。
そして後者、「姿勢の問題」は、より深刻です。
まず「十分な情報がない」というのは、そのまま、海外の軽視を物語っているようなものです。
確かに、「英語のページも必要らしいから、一応用意しておこう」という程度の認識で作られたと思われる英語サイトは、しばしば見かけます。受験生向け情報などをはじめ日本語で用意されているコンテンツのほとんどが存在せず、チラシ4~5枚程度の情報量しかないような英語サイトですね。
そういったケースでは、更新頻度も非常に低いことが多いです。
労力やお金がかかることですから、日本語サイトと全く同じにするわけにはいかないかも知れません。
でも、公開している以上、「毎日世界各国の人々が、このサイトを見に来ている」ということだけは理解しておいた方が良いかと思います。そうやって見に来た人の大半が、がっかりして帰っているかも知れないのです。
「がっかりさせないためには、最低限どのような情報を用意すればいいか」という発想で、今一度サイトを見直してみると良いかもしれません。
なお、
ウェブページのコーディングが日本語表示用設定となっているサイト ―日本語を閲覧できない環境のユーザーにとっては文字化けを起こしてしまうサイト― が7割以上(73.4%)を占めた。
というのは、webマスターの責任です。
これは英語がどうとかいう以前の問題で、「海外からのユーザーを出迎えるサイトだ」と認識できていれば、未然に防げることなのです。
日々ただ言われたとおりにコンテンツをアップしたり、言われたとおりに文章を直したりしているだけの、プロ意識のないwebマスターが多いということなのかも知れません。そうだとすれば、残念です。
webマスターが担っている役割は、非常に大切です。
各種のメンテナンス不足もそうですが、webマスターが自分のサイトの状態を把握していないために起こる問題は、少なくありません。
マイスターは3ヶ月ほど前、大学のwebマスターだという方と話していて、「Firefox?それは何ですか?」という言葉を受けたことがあります。この方の大学では、10人に1人くらいは、webサイトを正しい表示で見られていないかも知れないなぁと思いました。
どうも「webマスターとは、上司の指示通りにサイトを修正する人」という認識とお持ちのようでした。これは、能力不足もありますが、やはり根本的に「プロ意識が足りない」という、姿勢の問題なのではないかと思います。
こういったwebマスターはあまり多くないと思いたいですが、大学の人事ローテーションシステムを考えれば、これも仕方のないことなのかも知れません。ゼネラリスト育成という発想は、こんなところにも悪影響を与えてしまっているのではないかと、マイスターは心配になります。
大学でも、そろそろ「国際広報」という領域のプロが育ってきて良い頃かと思います。さしあたっては、まず足がかりとしてwebサイトの見直しから始めてみてはいかがでしょうか。
今回の調査では、英文クオリティが高かったwebサイトも紹介されているようです。
まずはこれらを参考にするのも良いかもしれません。
以下、リンクをご用意しておきますね。
【英文クオリティが高かったウェブサイト】(サイマル・インターナショナル調べ)
■愛媛大学教育学部
Faculty Of Education Ehime University■大阪大学法学部
School of Law , Graduate School of Law and Politics , Osaka University■関西大学総合情報学部
Kansai University Faculty of Informatics■京都大学経済学部
Grad. School of Economics / Faculty of Economics Kyoto Univ.■慶應義塾大学商学部
Keio Faculty of Business and Commerce■筑波大学第三学群工学基礎学類
College of Engineering Sciences, University of Tsukuba■東京大学工学部
School of Engineering, The University of Tokyo■名古屋大学教育学部(9.28現在、リンク切れみたいなんですが…)
■日本大学経済学部
Nihon University College of Economics■日本大学理工学部
Nihon Unversity College of Science and Technology■北海道大学経済学部
Graduate School of Economics and Business Administration Hokkaido University■山口大学人文学部
Yamaguchi-University, Faculty of Humanities■立命館大学政策科学部
College of Policy Science, Ritsumeikan University■早稲田大学政治経済学部
Political Science and Economics English, WASEDA University■早稲田大学理工学部
Science and Engineering, Waseda University以上、「国内主要大学学部別英文ウェブサイト、8割強に文法ミスあり」(サイマル・インターナショナル)のリストを元に作成。
(※「英文クオリティが高い」のと、国際広報として優れているサイトであるかどうかというのはまた少々違いますのでご注意を)
大学を国際的な存在として知らしめるためにも、英語サイトの質と量を確保することは大切です。
最近では、中国語、韓国語などのサイトを制作する大学もあり、非常にすばらしい取り組みだと思います。ただ、英語サイトの質が低くてはいけませんので、まずは英語サイトの充実から始めてみてはいかがでしょうか。
以上、マイスターでした。
さっそく担当課に知らせておきました。
8月上旬に調査報告書がサイマルから来ていたと広報の担当者は言っていました。
そこで情報が止まっていたのでシステム担当や国際交流担当には知らなかったようです。ありがとうございました。