マイスターです。
いよいよ動き出した安倍内閣。
安倍首相は「教育改革」を大きな柱に据えているようですので、メディアの報道も、自然と教育関連の内容を話題にすることが多いようです。
大学関係者は、国立大学9月入学とそれに伴う半年間の「奉仕活動」がどうなるのか気になることでしょうが、教育バウチャー等、他にも大きなテーマがいくつかあります。
また学校教育だけでなく、「家族」のあり方や、性教育、男女の役割についての認識等、日本人の社会観に踏み込む領域についても、これまでの流れを見直す教育方針が出るとか出ないとか。こうしたトピックについては、安倍首相はかなり保守的な考えをお持ちだという印象がありますが、果たしてどのような方針を示すのでしょうか。
さて、日曜日になりましたので、一週間、「大学職員.network」上にてご紹介し続けてきた大学関連ニュースクリップの中から、いくつかを選んでご紹介します。
留学生のために動いた、佐賀大学教職員達。
■「佐賀大:私費留学生の生活支援へ、教職員らの寄付525万円--中間まとめ」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2006/09/20060922ddlk41040573000c.html
佐賀大は19日、私費留学生の生活支援のため教職員などから募っている寄付が、今月15日現在で525万9375円に達したと発表した。寄付は12月25日まで募集しているが、既に集まった分で、まず22人の奨学金支給者を決めた。
同大は今年度、県の私費留学生奨学金の打ち切りに伴い、教職員から650万円を目標に1口1000円の寄付を募集。15日現在、学内からの371万4375万円に加え、県医師会や個人からも154万5000円が集まった。
受給者は、他の奨学金を受けていないなどの条件で公募し、91人が応募。来年度以降は「佐賀大学基金」を新設し、用途の一つの国際交流事業の中で、私費留学生への支援を続けるという。同大は「多くの方から賛同を頂き、ありがたい」としている。
(上記記事より)
以前の記事で、佐賀大学教職員による寄付金集めについてご紹介しました。
■「佐賀大学国際交流基金募集」(佐賀大学)
http://www.saga-u.ac.jp/somu/kikin.htm
留学生を支援するため、教職員を対象に1口1,000円の寄付を募り、650万円を集めようという活動。この活動の結果、現在、525万円が集まっているとのことです。集まった分はさっそく奨学金にまわるそうで、何よりです。
こういう行動力は、見習いたいと思います。
茶髪だと単位がもらえないのかも……?
■「長期のバイト、単位認定 大阪学院大が初の取り組み」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2006/09/20060920ddn010040050000c.html
大阪学院大学(大阪府吹田市)は、企業での学生の長期アルバイトを卒業単位として認定する「アルバイト就業プログラム」を今年度から導入、9月から学生が働き始めた。在学中のアルバイト就業に対して、アルバイト先の企業から「第三者評価」を受けるのは、国内の大学初の取り組みだという。
人材サービス大手のパソナグループの「関西雇用創出機構」(大阪市)が、企業と同大学を仲介して実施。学生の働きぶりを企業の目でじっくりと評価してもらい、学生の必要な就職活動にも役立てようという試みだ。
対象となるのは2年生以上。期間は1カ月から半年で、計90時間以上働くと、卒業に必要な単位(2単位)を得られる。アルバイト料も支払われる。
就業にあたっては、大学のキャリアセンターがアルバイト先を紹介。学生が自己目標を設定したあと、事前のマナー研修や就業中の支援を行っている。
アルバイト期間中、企業は「あいさつ」「身だしなみ」「責任感」などの勤務態度、「判断力」「交渉力」「提案力」などの仕事の能力、「言葉遣い」「協調性」などの対人能力に関する25項目を5段階評価し、大学に報告。それをもとに大学が最終的に単位として認定する。
キャリアセンターの松尾泰利課長は「このプログラムで人間関係を築いたり、仕事をするうえで必要な能力を身につけることができる。学生の将来に向けての教育プログラムであり、単なるアルバイトに対する単位認定ではありません」と強調する。
(上記記事より)
こちらの話題も、以前のニュースクリップで一度ご紹介しました。
賛否両論を呼びそうなプログラムだなぁ、と個人的には思います。
インターンシップやコーオプ教育など、学生の就業体験を教育の一環として位置づける試みはあります。しかしこの「アルバイト就業プログラム」の場合、評価にも体験の内容にも、実質的に大学はあまり関わっていない気がしなくもありません。実際にはそのあたり、どのように大学が関わっているのでしょう……?
「身だしなみ」や「言葉遣い」が成績評価の一部に加わるという点も、意見が分かれそうです。
180億円で命名権を購入。
■「(アメリカ)NFL競技場に大学名 フェニックス大スタジアム」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/sports/spo/KYD200609270004.html
米プロフットボール、NFLのカージナルスの本拠地競技場のネーミングライツが26日、フェニックス大学に決定したと発表された。同大は今後20年間で総額1億5450万ドル(約180億円)を支払う。プロのカージナルスは今後「フェニックス大スタジアム」が本拠地となる。
同競技場は今季からオープンした最新鋭の競技場。同大は、フェニックスに本部がある通信教育の大学。(上記記事より)
フェニックス大学は、通信教育に関わる方ならよくご存じの名前かも知れません。
全米最大の規模を誇る大学であり、e-Learningをいち早く展開したことでも知られています。
■University of Phoenix
http://www.phoenix.edu/
この大学が、フットボール競技場のネーミングライツ(命名権)を、180億円相当の金額で手に入れたそうです。
オンライン教育で全米、いや全世界から学生を集めようというフェニックス大学のビジネスモデルなら、このような宣伝方法でも元が取れるのかも知れません。他の大学は真似しない方が賢明です。
ところでネーミングライツのメリットの一つは、競技場への案内標識や市内地図など、あらゆる地名表示が書き換えられるところですよね。宣伝効果絶大です。ただしこのケースの場合、普段フットボールに興味がない人なんかは、「フェニックス大学競技場はこの先10マイル」という看板を見て、大学のキャンパスが10マイル先にあると勘違いしたりはしませんかね……?
難しいカルト対策。
■「『カルト』対策に各大学動く 「摂理」元信者が警鐘」(UNN関西学生報道連盟)
http://www.unn-news.com/newsflsh/bunka/2006092413271.html
鄭明析教祖(61)の日本人信者に対する性的暴行が問題になっているカルト教団「摂理(旧・JMS)」。日本での正式な信者は2000人に上ると言われ、大学生の占める割合が大きいという。(略)
【各大学の対応】
今回、UNN関西学生報道連盟が調査した連盟加盟10大学では、「摂理」が新聞などで話題になって以来、それぞれ対策に追われている。
関学では、今のところ「摂理」からの被害を訴える学生はいないが、相談者には「キリスト教の牧師を紹介する」などの対策を立てている。このように、相談窓口を設けている大学が多いが、相談に訪れる学生はいないのが実状だ。
立命は「学内のメールアドレスを利用し、学生全員に注意するよう呼びかけた」。しかし、「今のところ被害の相談はない」という。同志社では「現在、各学部ごとに被害の集計を行っているところ」だという。掲示板などで注意を呼びかける大学も多い。京大では「サークルと称して、勧誘活動を行っている宗教団体に注意してください」と8月2日付で呼びかけた。
(上記記事より)
大学キャンパスを活動拠点にした宗教団体というのはおそらく昔からあると思いますが、その中から犯罪性を持つ組織を見つけ活動内容を確認するというのは、容易なことではありません。
各大学とも、注意を呼びかけたり、相談窓口を用意したりといった対策を講じているようですが、どの程度の実効性があるのかは、未知数です。
これまで数十人の大学生を「摂理」から脱会させたという高山正治さん(庭瀬めぐみ教会牧師)は、「摂理」の問題点として「会計の不透明さ、上層部が末端を酷使する構造」を挙げている。
高山さんは、カルトにひっかからないためには「人と少し話をして『いい人だな』と思っただけで、その人の全てを信用するのは駄目。おかしいなと思ったら、『ノー』と言う勇気を持つことが必要」と話した。(上記記事より)
このような専門家の力も借りて、被害者が出ないようにできることをしていかなければなりませんね。どの大学にとっても、人ごとではないと思います。
アメリカの大学がキャンパス内で行っている健康管理。
■「NEW SURVEY POINTS TO DISPARITY OF ACCESS TO INFORMATION ABOUT SEXUAL HEALTH ON COLLEGE CAMPUSES NATIONWIDE」(Trojan)
http://www.trojancondoms.com/press_articles/a20060919eng.asp
ちょっと珍しいランキングを見つけたので、ご紹介します。
なんと、アメリカの大学がキャンパスで実施している、各種の性病対策についてのランキングです。コンドームメーカーによる調査結果です。
これによると、米国の学校の93%はキャンパス内で性病検査を提供し、さらに94%の大学はキャンパス内で避妊具を配布しているそうです。
最も対策が充実しているのは、Yale University。その他にも、超がつくほどの有名エリート校が、ランキング上位にいくつも名前を出しています。
日本のほとんどの大学ではまだここまでのことは行われていないでしょうが、いずれはこうした面での健康管理が、我が国の大学でも必要になるのでしょうか。
以上、今週のニュースクリップでした。
以前の記事でもご紹介したライターの石渡嶺司さんが、ご自身のブログで大学広報担当者のための記事を連載しておられます。
■広報上手・出題編1「広報担当になったら」(ライター石渡嶺司のブログ)
http://reiji0.exblog.jp/5717196/
■広報上手・ケース編1「広報担当になったら」(ライター石渡嶺司のブログ)
http://reiji0.exblog.jp/5723333/
■広報上手/解説編1「広報担当になったら」(ライター石渡嶺司のブログ)
http://reiji0.exblog.jp/5729953/
出題→解説という流れで記事が増えていくようです。
広報担当者にとって役立つ視点を紹介してくれる内容ですので、担当者の方には特にオススメですよ。
今週も一週間、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
明日からも、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。