レポート作成や単位取得の「支援ビジネス」事例

マイスターです。

・レポートの「アウトソーシング」をする学生、それを見破ろうとする大学
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50209479.html

以前、↑国内外の「レポート代行サービス」についてご紹介しました。
数万円や数十万円といった金額と引き替えに、レポートや卒論を制作してくれる企業のことですね。
もっとも、多くの場合、彼等は

「あくまでも参考資料として論文やレポートをご提供するだけ。そのまま提出することはない」

……と主張していますから、「学生のさぼりを助長するビジネス」なのか、「学習支援」なのかは、明確に区別するのは困難です。

これなら家庭教師の延長線上として許容できるかな、と思えるものもあるし、やっぱり単なる裏ビジネスじゃないか?と思えるものもあります。
マイスターは、基本的にはこの手の業者のほとんどは、後者の性格を多かれ少なかれ持っていると思っているのですが、はっきりそうだと断じるわけにもいかなかったりします。

例えば……といって、皆様にご紹介したいのが、↓こちらです。

【教育関連団体……??】————————————

■SCHOOL G-CUBE
http://www.independence-llp.com/g-cube/

■WEB TEACHER
http://www.web-teacher.jp/index.html
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* 単位取得のお手伝いをします。 → お見積もりフォーム
* 卒論、修論執筆のお手伝いをします。 → お見積もりフォーム
* 大学院受験のお手伝いをします。 → お見積もりフォーム
(「SCHOOL G-CUBE」webサイトより)

【EXAMPLE】

* 発達心理学のプレゼンテーションのやり方がわかりません。
   レジュメの第一ドラフトの作成
    +タイムテーブルの提案をしました。
* C++のライブラリを作ってください。
* 位相数学のレポートができません。
* 卒論の英語添削をお願いします。
* 統計学のレポートが解けません。
* A4三枚の和文英訳をお願いします。
* 他、中小企業からの業務委託 etc…
(「WEB TEACHER」webサイトより)

みなさまは、どう思われますか?

サイトを見てみると、学生が「家庭教師」のビジネスをwebで展開しているだけ……と言えなくもありません。また、学習支援としての性格もないわけではないようです。

でも、サイトで上記のような文言を見て、「顧客」達はどのように受け取るんだろう?と考えると、なんだか微妙な気持ちになるのも確か。
ちなみに、上記の二つのサイト、いずれも運営者は同じです。

■LLP概要
http://www.independence-llp.com/g-cube/g-intro.html

ここでは、このサービスについての個人的な感想をこれ以上申し上げるのは避けておきます。
本ブログは、幸いにも非常に多くの大学関係者の方々に読んでいただいていますので、むしろ皆様があれこれ考える材料の例として今回、ご紹介したいなと考えました。
上記のサイト、ぜひ、じっくり目を通していただければと思います。

今後、こういったサービスを謳う団体や個人は、ぽつぽつと増えていくと思います。
爆発的に普及することはないでしょうが、少しずつ少しずつ、ネット上で浸透していくでしょう。
そのとき、大学がどのように対応するか、ということを、今から考えておいた方がいいかもしれないな、とマイスターは思います。

これまでは、「学生一人一人がゼロから自力で調べ、考えること」を前提に課題を出していたのに、作業の一部を外注したり、ひどいと全部を業者に丸投げしたりする学生が増えてくるわけです。

業者の側がどう言おうと、サービスを悪用する学生は絶対に出ます。
例えばイギリスなどでは、レポート請負業者を悪用する(外注して制作してもらったレポートをそのまま提出する)学生が増加し、社会問題になっているそうです。

日本でもそのうち、玉石混交の様々なサービスがネット上に登場するでしょう。
すると、現在は採点をする教員の皆様が自力で剽窃かどうかを判断している状態だと思いますが、その判断が追いつかなくなる事態にもなってくると思います。

かなり変わってきたと思いますが、とは言えアメリカなどに比べると日本の大学では
「授業中はずっと教員の講義を聴き続け、レポートや筆記試験でその知識量を試す」
というスタイルの授業がまだ主流であるように思いますが、レポート外注サービスの普及は、この手法の信頼性にじわじわと影響を与えていくことでしょう。

もちろん教員の側も、レポートだけに頼らない評価方法を採用したり、出題の仕方を工夫したりと、あらゆる手段を講じていると思います。

ただいずれにしても、教育の質の保証をどのように行っていくかということは、高等教育全体の大きな共通課題になっていくだろうと思われます。
近い将来、高等教育関連の学会では、具体的なトピックの一つとして、今回ご紹介したような「支援」サービスのことが議論されるようになるのではないでしょうか。

本日ご紹介した2サイト、あなたなら認められますか? 認められませんか?

例えばあなたが教員だったとして、どの程度の「支援」であれば、学生に利用を許可しますか? あるいは、程度の如何に関わらず、まったく許可しませんか?
利用を禁じていたにもかかわらず、活用する学生が増えているようだと知ったら、どのような対応をとりますか?

教員以外の方にも、ぜひ、ちょっと考えてみていただけたらと思います。
こういうことを具体的に考えることも、この先の高等教育のあり方や展望というものを構想する上での手がかりになるように思います。

以上、マイスターでした。