夏休み 大学で親子向けの理科・科学教室を行う試み

マイスターです。

今日は、小・中学校、高校のみなさんは登校日ですね。
宿題は無事に終わりましたでしょうか?

子供のとき、特に苦戦したのは「自由研究」だった…という方、多いと思います。
マイスターも、自由研究には苦労しました。
何しろ家族が全員文系でしたので、「科学研究」のイメージが、身近にないのです。
毎年、なんとか提出してましたが、あのとき適切な助言をしてくれる人がいたら、もっと面白い研究にできたかもしれないなぁ…と、今思います。

でも、今の子供達には、心強い味方がいるのですね。
そう、大学です。

昨今では、多くの大学が、子供(親子)を対象に、夏休みの理科・科学教室を開催しています。
マイスターも実際にいくつかの取り組みを見にいったのですが、キャンパスで学生が小さな子供に科学を教えているというのは、なかなか良い光景です。

今年も多くの大学が、キャンパスを開放して理科・科学教室イベントを開催していたようです。

Googleでちょっと検索しただけでも、数え切れないほどの案内や報道が出てきましたので、そのうちいくつかをご紹介します。どんな取り組みがあったのか、おおよそのイメージをつかめるのではないかと思います。

●明治大学理工学部 夏休み科学教室2006
http://www.meiji.ac.jp/sst/summerbreak/2006/top.htm

●東邦大学理学部生命圏環境科学科 高校生対象 夏休み理科教室
http://www.env.sci.toho-u.ac.jp/event/003850.html
●東邦大学理学部情報科学科 夏休み理科教室 ロボットを作ってみよう
http://www.kikuchi-lab.jp/summer/2006/

●高知工科大学 夏休み親子科学教室
http://www.kochi-tech.ac.jp/kut_J/kuttopics/cgi/diary.cgi?no=41

●山口大学知能情報システム工学科  夏休みジュニア科学教室 「すくいーく(Squeak)でプログラムを作ってみよう」
http://www.csse.yamaguchi-u.ac.jp/modules/wordpress/index.php?p=19

●東京農工大学  環境資源科学科夏休み1日体験教室
http://www.tuat.ac.jp/~enrs/summer06.html

●武蔵工業大学 ~夏の一日をサイエンス体験で楽しむ~ 第5回 小学生・中学生の大学で楽しむ「科学体験教室」
http://www.itscom.net/contents/maegumi/news/index.html

●第4回桐蔭横浜大学おもしろ理科教室
http://www.cc.toin.ac.jp/kika/rika/omosiro2002.html

●子供ら科学の不思議学ぶ 東海大海洋学部
http://www.shizushin.com/local_central/20060827000000000032.htm

●木々の「不思議」に歓声 小学生29人が参加 森から学ぶ理科
北大和歌山研究林 古座川町
http://www.agara.co.jp/DAILY/20060824/20060824_005.html

●徳島大:科学への理解深める 高校生が助教授らと実験 /徳島
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/news/20060827ddlk36040201000c.html

●科学っておもしろい 愛媛大でサマースクール
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20060819/news20060819377.html

●ジュニア・サイエンス・スクール開催 九州工業大
http://www.kyutech.ac.jp/page/shosai.asp?id=847&mode=b

※上記は、全国で催された科学教室の、ごくごく一部です。これ以外にも、様々な大学が取り組みを行っていると思われます。

ちょっと検索しただけで、こんなに出てきました。

今、日本では、理科離れが進んでいると言われています。そういった理科離れを食い止めるというのも、大学がこういった取り組みを行う理由の一つになっているのでしょう。これを見ていると、まだまだ日本のサイエンス教育も捨てたもんじゃないな、と思います。

ところで、大学の「理科・科学教室」イベントは、教員のほか、学生が関わるケースが少なくないようです。小さな子供でもわかるように、わかりやすく、かつ正確に科学現象を説明するというのは、学生の教育という点でも非常に効果的であるように思います。大学のPRという目的のほか、学生の教育としても、いい機会なのですね。

事実、夏休みの理科・科学教室で、文部科学省の特色GPに採択された大学もあるくらいです。

■「平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP):理科教室の展開と支援学生への教育波及効果 地域貢献活動を通じての学生のデザイン能力等の育成を目指した工学教育の実践」(工学院大学)
http://www.kogakuin.ac.jp/education/tgp/2004/gaiyo.html

工作や実験では子供達がカッターナイフや裸火、また、様々な薬品を使用するために最大限の注意義務が要求され、更に子供達と保護者から厳しい目に晒される。「学生さん達がとてもていねいに教えてくれた」、「学生の対応がとても良い。わかりやすく説明してくれた」という褒め言葉だけでなく、「指導してくれたお兄さんが、もう少しテキパキ教えて欲しかった」、「学生さんに質問したが、自分のところ以外、わからない人が多い」等、厳しい意見も出される。毎年、こうした厳しい評価に対応して、演示の実質的な担当者である大学院生は、演示テーマの設定から具体的な実験の手順のとりまとめまでを、事前に多くの課題を整理しながら改善・解決策を提案することが要求され、このようなプロセスを体験することで、「デザイン能力」や「解決能力」の育成に大きな成果をもたらしている。そして、演示の補助的担当者である1~4年次の学部生は、小・中学生に対し最前線で実験の手順の説明と実験過程における指導方法の改善に取り組むことで「コミュニケーション能力」の育成と「エンジニアとしての自覚」の向上に繋がっている。
(上記ページより)

確かに、理科の実験や工作などは、結構危険な作業も伴います。理科は大事だと思いつつも、ご家庭で子供に火や刃物を扱わせるのは不安だという保護者の方もおられることでしょう。

でも、大学のイベントでなら、学生や教員が責任を持って丁寧に教えてくれるはずです。そういう意味でも、子供を持つご家庭にとっては、貴重な機会ですよね。
(逆に言うと、こういうイベントを開催する以上、大学側は細心の注意を払わなければなりません。事前に学生達を十分に教育し、事故などの起こらぬよう、万全の体制をとるべきです)

また、ご家族で一日、安心して、楽しく理科を学べるわけですから、大学の地域貢献事業としても理科・科学教室イベントの効果は絶大です。

開催日が夏休み後半であるため自作(工作)もの50%、体験(実験)もの40%の割合で、小・中学生の夏休み宿題の工作や自由研究の一助になるよう配慮している。
平成15年度の第10回『理科教室』アンケート結果でも、参加者7,463名のうち小・中学生4,350名(58.3%)、子供達の保護者2,669名(35.8%)と半数以上の子供達が保護者同伴で参加し、また、地元八王子在住者は33.4%を占め、本催しが地元八王子地域にしっかりと根づいていることを証明している。
(上記ページより)

これだけの人数を集めるまでになれば、立派な地域貢献だと思います。

最後にもう一つ、ユニークな例をご紹介しておきますね。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「“北海道大学に行って夏休みの自由研究を片付けよう” JTB(株)の旅行企画『楽しくわかりやすい科学教室』が好評」(なまら北海道)
http://www.namara-hokkaido.net/news/news.php?id=6962

■「楽しくわかりやすい科学教室」(JTB北海道)
http://www.jtb.co.jp/hokkaido/hokudaikagaku/index.asp
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旅行業全国大手の (株)ジェイティービー(東京都品川区本社、佐々木隆代表取締役社長、資本金23億0400万円)の系列地域子会社、 (株)JTB北海道(札幌市中央区本社、高橋威男代表取締役社長、資本金1億円)では、夏休みの家族旅行に向け、旅行中に参加するオプションプログラムによって、小学校などで宿題として出される“自由研究”の支援が出来る企画、 「楽しくわかりやすい科学教室 北海道大学へようこそ!」が募集されている。 同社にとって「楽しくわかりやすい科学教室」は初の試み。同社は、 北海道大学の科学技術振興調整費事業である 科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)に協力を要請して、今回の企画を成立させた。北海道大学側は、科学技術コミュニケーション・フォーラムによる教育事業として、“科学教室”を開講することに決定した。
 参加の方法は、用意されている5つの科学教室から1つを選び、各教室の集合場所に自身で集合し、JTB係員による受付を済ませるという流れ。
(「なまら北海道」記事より)

北海道大学が開催している理科教室イベントを、JTBが企画にしています。大学側は科学教室のスタッフを用意し、JTBが運営側を担当するという協力体制。ちょっとした産学連携ですね。
こういうイベントを実施するのは確かに色々と大変ですから、こうした形で外部の力を借りるのも一つの手かもしれませんね。

このように、何かといいことが多い理科・科学教室。

普段は地味(?)な理系出身のお父さんお母さんも、子供相手に科学を語って尊敬を集められます。マイスターは、ここも大切な点だと思います。
理科を通じてコミュニケーションする機会って、普段はあまりないと思います。大学がそのきっかけになったら、すばらしいではないですか。

理科系の学部を持っている大学には、ぜひ、こうした取り組みを積極的に行って欲しいと思います。社会と科学との距離、社会と大学との距離を縮められ、しかも参加者に感謝されるのですから、やらない手はありませんよ。

以上、マイスターでした。