Enrollment Management のススメ(3):日本に足りていない、「学内データの共有」

マイスターです。

日本でこれから本格導入が必要となる(とマイスターが思っている)「エンロールメント・マネジメント」について、数日にわたってご紹介しています。

(これまでの記事)
・Enrollment Management のススメ(1):「エンロールメント・マネジメント」とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50230391.html
・Enrollment Management のススメ(2):なぜ今、エンロールメント・マネジメントが必要なのか
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50230531.html

今日は、日本の大学がエンロールメント・マネジメントを実施しようとする時に欠けている要素の一つ、「データの一元化」について書きたいと思います。

皆様の大学には、どのくらいの部署がありますか?

教務、学生、入試、就職、図書館、海外交流、学生相談、厚生、研究支援、学部・学科事務など、学生や教員に直接関わる部門から、
財務、人事、広報、総務、施設管理などのように、法人組織を支える部門まで、

実に様々な部署で、大学というのは構成されています。
一般には、大学内の組織のイメージといえば「学部と学科」でしょうが、実際には、とても多様な業務を行っているわけですからね。企業とは違った、大学ならではの部署も少なくありません。
これは、皆様も、普段からよくご存じのことだと思います。

では、次の質問。

上記のような大学の各部門が、いったい、どれくらいの種類のデータを保持しているか、ご存じですか?

または、こういう質問もできます。

「自分が所属していない部署」が管理する情報について、あなたはどのくらいのことを知っていますか?

例えば、あなたは教務課の職員だったとしましょう。
教務に従事しているあなたは、勤務先の大学について、

「第一志望で入ってきた学生は何割くらいか」
「一人暮らしの学生は何割くらいか」
「求人票を送ってくる企業は、学生数に対して何倍くらいか」
「昨年、相談室でカウンセリングを受けた学生は何人くらいか」

……といったことを、ご存じですか?

まぁ、さすがに暗記までしている方は少ないかもしれませんよね。

では、こうしたデータを知りたいと思ったとき、すぐに知ることができますか?

ここまでで、マイスターが言わんとしていることを理解していただけた方も多いのではないかと思います。
日本の大学では、「学内の統計データを一元化し、誰もが閲覧できるようにする」ということを、やっていないことが多いのです。
それどころか、「誰に聞いてもわからない」とか、「データはあるんだけど、誰もまとめていない」といったことも、残念ながら、あまり珍しくありません。

例えばマイスターは教務課員ですが、勤務先の大学の受験者数の推移について、詳しいデータを閲覧することができません。
マイスターの勤務先では、過去のそうしたデータを公開していないのです。またマイスターが、例えば10年前の受験者数を知ろうと思ったら、上の方に閲覧願いを出して、承認されるまで、数日間は待たないといけません。こんな状況ですから、入試課員以外は、大学の誰も「10年間の受験者推移」の詳細を知らないのです。

でもこれって実は、マイスターの勤務先だけではなく、日本中の至る所で起きていることではないかと思います。

「いやぁ、今年も受験生が減ったねぇ。ほんと、まいっちゃうよねぇ」

なんて言葉を口にする人は多くても、

「じゃあ、この10年間で、どのくらいの割合が減少したんですか?」

という質問に満足に答えられる人がとても少ない。そんな大学が多いのではないでしょうか。(「半分くらいじゃない?」みたいな、当てずっぽうの印象を答える人はいると思いますけれど……)

入試のデータは、わりと広く関心を持たれていることですからまだいいのですが、在学生のデータについては、本当に、学内の誰もまとめていなかったりします。

例えば皆さんは、勤務先あるいは出身大学の、正確な「退学率」をご存じですか?
これ、とても大切な数字のはずです。

年間の退学率も重要ですし、
「新入生のうち、4年間でストレートに卒業した学生は何パーセント」
といった数字も、これまた大切です。

学科別、学年別の退学者数は当然のこと、「季節ごとの退学者数の推移」なんてのもあります。5月に退学している学生が多い場合と、9月に退学している学生が多い場合、3月に退学している学生が多いとでは、おそらく退学の原因が全然違いますよね。

こういうデータ、教務課に問いあわせて、すぐに回答がもらえますか?
こうした数字、実は教務課員もあんまり把握していないこと、多いのではありませんか?

アメリカの大学などと比較した場合、日本の大学経営の特徴として浮かび上がってくる点の一つが、(残念ですが)こうした「データの軽視」です。

アメリカの大学には、Institutional Research、通称「IR」と呼ばれる機関があります。その大学に関するデータを集約し、分析するための学内機関です。このIRの話、耳にされたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。

マイスターがいつも参考にさせていただいている「アメリカの大学事情」は、まさにそのIRで働いた経験をもっておられる方によるブログで、マイスターにとってはIRの仕事の一端を知ることができる、貴重な文献の一つになっています。

■「過去の経験① -Institutional Research-」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003337868.html
■「Institutional Research が機能するために必要なこと」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10005658239.html
■「カンファレンスに行ってきました」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10010983532.html

上記の「アメリカの大学事情」さんの記事を読んでいただけるとわかると思うのですが、日本の大学ではこのIRにあたる機能の整備が、なぜかとっても遅れています。
それは日本の大学が、これまでIRを必要とするほど切実な経営危機を経験してこなかったこと、そしてこれからもそこまでの危機が来ると考えていないことによるのかな、とマイスターなどは思います。

このIRのように、学内データを学内に向けて公開する組織は、大学の首脳達が経営判断を下すためのサポート機関として、とても重要です。日本でも、一刻も早く、大学がこうした機能を強化していかなければなりませんよね。

さて、どうしてこんな話を本日ご紹介したかといいますと、
大学の各部門のスタッフ達がエンロールメント・マネジメントを行う際において、他部門の保持するデータを閲覧できるかどうかが、大きな違いになってくるからです。

例えば、学生課や就職課のスタッフにとって、「この5年間で、退学者数はどのように推移してきたか。退学の理由はどのように変わってきたか」っていうことは、学生に対するサービスを計画する上で、とっても大切な情報だと思いませんか?

履修のアドバイスを行う教務課員にとって、入試課が持っている入試データ(基礎学力の推移や、入試科目の変更点など)は、知らないとマズイ情報だと思いませんか?

このように実は、「他部署が保持しているデータを共有できれば、サービスの質が向上する」という場面が、大学にはたくさんあるはずなんです。
学生を総合的にサポートする「エンロールメント・マネジメント」には、こうした情報の共有が欠かせないのですね。

しかし現状は、こういった情報は、なかなか学内で共有されていません。
各部門が抱え込んでいるだけで、詳細に問い合わせて、ようやく教えてもらえるという状況です。というより、「そもそも、どの部署がどんなデータを持っているのか、情報の所在を把握している人がほとんどいない」という状況ですから、問い合わせをする以前の状況なんです。

これはきわめてゆゆしき事態だと、マイスターは思うのですが、いかがでしょうか。
今後、大学が高度な役割を担っていくためにも、こうした状況は改めていかなければなりません。

最近では、「学生カルテ」などのように、その学生に関するデータを一元管理するための仕組みを導入する大学も出てきているようです。
個人情報管理という点では難しい部分もあるでしょう。しかし、何らかの仕組みでデータを大学経営や、各部門のサービスに生かせるようにしなければ、大学が少子化時代を生き抜くのは厳しいんじゃないかな、と個人的には思います。

ホスピタリティを身につけるとか、プロ意識を持つとかいった取り組みももちろん大事ですが、その一方で、こうした科学的な手法に基づく大学機能の高度化も進めていかなければ、やはり本当に強い大学とは言えないのではないかな、と思うわけです。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

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