ニュースクリップ[-8/6] 「文科省、大学と外国企業の連携強化へ支援策」ほか

マイスターです。

本日は「原爆の日」です。平和式典の様子を、テレビなどでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
そんな中、ひっそりと、こんな報道もありました。

■「米大学院生、資料館で聞き取り(広島)」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200608040034.html

資料館の展示方法が、戦争に対する意識にどのような影響を与えるかという研究だそうです。米国にある記念館の展示内容とも比較するとか。

メディアは、人々の意識に多大な影響を与えています。メディアが情報をどのように扱っているかを知ることは、国家間の相互理解には欠かせないとマイスター思います。メディアの力の大きさを多少なりとも知っているつもりの自分としては、こういった研究はぜひ活発に進められて欲しいと思う次第です。

さて、そんなわけで、今週のニュースクリップです。

海外企業との産学連携促進のために、文科省が大学にテコ入れ。
■「文科省、大学と外国企業の連携強化へ支援策」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060805i201.htm?from=main2

国内の大学と外国企業の連携を強化するため、文部科学省は2007年度から支援策を打ち出す。

国内の大学が外国企業から受託する研究はごくわずかで、国内企業が海外の大学に委託する研究が多い“出超”の現状を打破するのが狙い。当面、10大学程度を選び、1大学あたり年間数千万円の予算を新たに計上、外国企業との連携に向けた組織整備や人材配置を行う。

同省が966大学を対象に、05年度実績を調査したところ、企業の資金を活用した大学の研究は計1万6936件。うち外国企業からの受託はわずか41件で、全体の0・24%しかなかった。一方、日本企業が国内の大学に投じた研究費を大幅に上回る資金(03年度分で1985億円)が、日本企業から海外の大学や研究所に流出しているという。

同省では、国際展開に向けた大学の姿勢が定まらないことが、こうした現状につながっていると分析、テコ入れに乗り出す。計画では、産学連携に積極的な大学の知的財産本部などに、海外企業との交渉実務を担う組織を整備し、国によって異なる特許制度や研究成果帰属の考え方に精通した専門家などを配置する。
(上記記事より)

「国際展開に向けた大学の姿勢が定まらないことが、こうした現状につながっている」と分析した文科省が、大学にテコ入れするそうです。
以前に比べれば、「産学連携支援センター」みたいな組織を持つところが増えてきたような気がする日本の大学ですが、アメリカなどと比べれば、確かに対応の質も量も、まだまだです。残念ながら、相変わらずのローテーション人事で配置された職員が、営業電話を片っぱしからかけているだけという「産学連携支援センター」もあるみたいです。
「アメリカと日本とでは、企業などの意識も違うから…」なんて言いたいところですが、日本企業から海外の大学に資金が流れているということですから、やっぱり大学のこうした未熟な対応にも問題がありそうですよね。

ところでこういう対策を行う時は、「企業にとって、本当に欲しいサービスってどんなもの?」という発想を持って物事を進めないと、失敗します。
文科省は、

10大学程度を選び、1大学あたり年間数千万円の予算を新たに計上、外国企業との連携に向けた組織整備や人材配置を行う。

とのことですが、どういう根拠で「10大学」を選んで、どういった整備にどう予算を投入するのか、そのあたりの詳細が気になります。せっかくこうした動きが出てきたのだから、「○○センター」みたいな組織の看板を作っただけで終わらせないようにしたいところですよね。
(マイスターが思うに、大学の予算のあり方や、組織としてのガバナンスのあり方を考え直すくらいのことを覚悟して取りかからないと、アメリカの大学並みに産学連携を行うのは難しいのではないでしょうか)

この組織を窓口に、海外との交渉実務を代行する経営管理会社などの活用も進める。人材育成では、欧米の大学の知財部門などに理系の博士号取得者を派遣することも検討する。

↑これも、とても大切な取り組みだと思います。が、欧米から帰ってきた博士号取得者が活躍するには、日本の大学組織はまだまだ閉鎖的です。派遣するだけで満足するのではなくて、ちゃんと活躍してもらえるように考えないといけませんよね。もちろんそれは、文科省が考えるのではなくて、大学関係者達が考えて実行すべきことでありましょう。

なんて思っていたら、↓こんな報道も。

産学連携の専門職集団。
■「大学と社会をつなぐ合同会社をつくりました 大阪大学 大学院工学研究科」(日経BP)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060728/107091/

[5月に設立した合同会社「フロンティア・アライアンス」とは?]

大学と社会をつなぐインターフェース事業を中心に手がける会社です。企業との共同研究や競争的研究資金などによる大型の研究プロジェクトの支援などを引き受けます。一見、単なる事務代行のように見えますが、実際には大学と企業の双方の希望を聞いて、具体的な共同研究契約や計画にまとめ上げるプロデューサー役を担います。

いわゆる目利き能力や企画立案能力など、自分から仕掛ける能力が必要な高度専門職人材の仕事です。大学では産学連携による共同研究の増加や、研究資金額が大きい大型の研究プロジェクトが増えた結果、研究プロジェクトを運営するマネジャーが必要になりました。フロンティア・アライアンスに属する高度専門職人材がインターフェース役を果たしてくれれば、大学の教員は研究と教育に専念できます。

というわけで、大阪大学工学研究科の取り組みです。
「目利き能力や企画立案能力など、自分から仕掛ける能力が必要な高度専門職人材」というのは、大切です。ハコができても人材がいなければ何にもなりません。欧米の大学に派遣された博士号取得者が、こうしたところで活躍できればいいですね。

(ここ数年、東大以外の旧帝国大学が、こぞってこうした事業を活発に進めているような気が)

大学キャンパスでビアガーデン。
■「キャンパスの緑眺め乾杯  北大ビアガーデン始まる」(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?lifestyle+CN2006080101002751_1

札幌市中心部にある北海道大学構内で1日、ビアガーデンが始まり、大学関係者や市民がキャンパスの豊かな緑を眺めながらビールを味わった。今年初開催。北大によると、大学キャンパスでビアガーデンを開くのは珍しいという。
北大広報課は「緑の多いキャンパスを開放し、地域住民に大学を身近に感じてもらいたい」と期待している。一方で、未成年の学生らが飲酒しないよう職員が交代で見張っている。
(上記記事より)

先日の記事でご紹介したとおり、マイスター、まったくの偶然ですが、このビアガーデンが開催されている現場に遭遇し、楽しませていただきました。

・観光地でもある大学キャンパス
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50228979.html

今年が初開催だったんですね。もしかしてマイスター、かなりラッキーな体験しました?

会場は正門近くの百年記念会館のレストランのテラス。9日まで午後5時半から3時間、北大農場産のトマトを使ったつまみも食べられる。

とのこと。ちなみにマイスターがケータイカメラで撮影したメニューは↓こんな感じでした。
北大ビアガーデンメニュー←クリックで拡大します
この他にも、色々ありました。北大トマトのピザ、確かにおいしかったです。

正直、マイスターがいた時は、地域住民より学生と教職員の方が多かったような気もします(学生が行列を作っているので、マイスターは最初、成績表でも配っているのかと思いました(笑))。
でも飲んだ帰り道、地域住民とおぼしき方から「ビアガーデンはどこでやってますか?」という質問をされましたから、楽しみにしていた人達も大勢おられたのだと思います。

特に農学系の学部を持っている大学は、こうした取り組み、積極的にやってみてもいいのではないでしょうか。

スポーツが大学広報の武器に。
■「大学がスポーツ強化合戦 少子時代生き残りのカギ?」(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news_now/news2-636.html

スポーツ推薦の拡大や施設、指導者の充実…。大学が、資金と労力を注いで体育会の強化合戦を繰り広げている。「学内の活性化と卒業生の帰属意識を高めるため」と関係者は口をそろえる。だが、学校運営が少子化の影響に揺らぐ中で、スポーツを通して大学の知名度をアップさせたいという思惑ものぞく。

新聞やテレビへの大学の露出度を高めるには、優秀な選手が不可欠だ。「スポーツ推薦入試」が、各校で本格化したのは約二十年前。それ以前にも同様の制度はあったが、昭和四十年代の学園紛争のあおりを受け、多くが取りやめていた。関西では比較的早い一九八七年からスポーツ推薦を再開したのが立命大。現在では多くの私立大が導入しており、立命大の担当者は「他大学の追い上げには危機感を持っている」。
さらに、大学側がチームの強化を資金面でバックアップする。多くの大学に、実績があって社会的関心度の高いことを条件に支援金を交付する「強化クラブ制度」がある。
(略)
スポーツを強化する第一の目的は、学内の活性化であり、宣伝効果はあくまで副産物であると、各校の姿勢は共通する。しかし、受験生が減少の一途をたどる今、この“副産物”の果たす役割は見逃せない。ある大学の運動部監督は「大学の名前を少しでも多くメディアに乗せるためにも、いい成績を収めることが求められる」と、経営戦略の一翼を担う部活動の立場を打ち明けた。

本ブログでも以前、箱根駅伝と大学広報との関わりについて書かせていただいたことがありました。

・箱根駅伝と大学広報(1)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50126501.html
・箱根駅伝と大学広報(2)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50127127.html

この駅伝の例を見ても、大学スポーツが広報に与える影響は無視できません。その際に、「どれだけお金をかけたか」という要素が絡んでくるのも、ある程度は事実です。
ただ、PRのために、スポーツ推薦などの制度を使って学生を「宣伝要員」に仕立て上げるような大学スポーツのあり方には、マイスターは反対です。

アメリカの大学などでも、大学スポーツの成果が、大学のイメージアップに結びついたりということはあるようです。でもこちらは、「スポーツが活発な大学 = バランスの取れた、活動的な学生達」という意味でのイメージづくりが念頭にあるのですね。
一方、「スポーツ推薦で学生を集めて、学業軽視のトレーニングスケジュールを組み、とにかく勝たせてメディアに露出させる」といった、一部の日本の大学がとっているPR戦略には、個人的には疑問を覚えます。

「部活動」が、初めて教員の正規の「業務」に。
■「部活をはじめて『教育』規定 教諭の職能区分も 都教育委」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/news/060728/sha042.htm

東京都教育委員会は27日、これまで位置づけがあいまいだった都立学校の部活動を明確に教育活動の一環に位置づけることを決めた。学校の管理運営規則を改正し、来年4月から新規則を施行する。
(略)
都教委によると、規則改正内容は(1)教育活動の一環として部活動を設置(2)校長は教諭に校務として部活動の指導を分掌できる(3)教諭以外に部活動の指導業務(顧問)を委嘱できる-などが柱。部活動を学校の教育活動とすることで、顧問が休日に試合などで引率した場合は「勤務」となり、部活動中のけがなども「校務災害」となる。
部活動の顧問を教諭以外にも拡大したことで、茶道や音楽家など外部の専門家が顧問に着任し、部活動の充実や特色ある学校づくりにつながるという。
部活動については、学校によっては顧問のなり手がなかったり、ボランティア的な意識で顧問を引き受けるなどの課題が指摘され、顧問教諭が異動すれば廃部に追い込まれるケースも出ていた。
(上記記事より)

教育業界人ならともかく、一般的には、部活動の指導が正規の業務に含まれないということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
つまり、「高校野球は教育の一環だぁ!」とか言いつつ、野球部の顧問は「教員としての正規の仕事」じゃないということです。なんだかおかしな話ですよね。部活動を業務にすると、給与面とか、色々と現在の仕組みを揺るがす事態になるから、文科省はうかつに動けないんじゃないかなぁ、なんてマイスターは勝手に想像しています。

そんな不遇の「部活動」でしたが、東京都教育委員会が、はじめて業務に指定したそうです。つまり、東京以外ではまだ「ボランティア」な状態のままです。なんとかした方がいいと思うのですが。

オープンキャンパスの記事ですが…。
■「レクサス ハイブリッドの展示&勉強会…久留米工業大学」(Response)
http://response.jp/issue/2006/0804/article84657_1.html

オープンキャンパスのことを取り上げた記事です。
が、読んでみると、見事にクルマのことしか書かれていません。だってクルマのニュースサイトですからね。この記事を読んだクルマ好きの方々とかクルマ雑誌のライターさんとかが、久留米工業大学のオープンキャンパスにいくことが想像できます。
でも、大学側は、まさかそんな方々が、高校生向けオープンキャンパスに出没するとは思ってないでしょう。

様々な方々が大学に関心を持っているんだぞ、という一つの例ではないでしょうか。

集客に合わせてオープンキャンパス。
■「高校総文に合わせ 京都の37大学・短大でオープンキャンパス」(読売オンライン)
http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/ed60804a.htm

京都府で開催中の「第30回全国高校総合文化祭」(2~6日)に合わせ、府内37の大学・短大が5、6の両日、一斉にオープンキャンパスを行う。過去最多の約2万5000人の高校生や教員らが訪れるため、「京都私立大入試広報連絡会」(18大学)などが、例年の日程(8月1、2日)を変更し<大学の街・京都>をPRする。
生徒にとっても「自由時間」に志望大学を“下見”できるメリットがあり、同連絡会は期間中、18大学の場所や観光名所を記した「京都マップ」を一部の会場で無料配布する。
(上記記事より)

恥ずかしながらマイスター、「全国高校総合文化祭」なるイベントの存在を、これまで知りませんでした。
このイベントに合わせてオープンキャンパスを行う京都の大学の行動は、とても正しいです。

中田選手に続いてあの人も大学進学。
「桑田 現役引退後“因縁”の早大進学へ」(スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2006/08/06/01.html

85年のドラフト。PL学園のエースとして活躍していた桑田は、早々と「断固進学です。早稲田に行きます」との希望を打ち出していた。願書も提出していたが、11月20日のドラフト会議で巨人が1位指名。結局受験はせず、そのまま巨人に入団した。一方で巨人入りを熱望していたKKコンビの清原(現オリックス)は西武からの指名に涙。当時は桑田と巨人との密約説もささやかれた。
しかし桑田が早大に強いあこがれを抱いていたのは事実。小学校6年生の時の作文「ぼくの将来の夢」にも「強い高校から早稲田大学へ行くのが希望」と書いたほどだ。高校時代も学業優秀で知られた。そのPL学園から巨人を経て早大へ。まさに「順序は逆」ながら、22年越しの夢実現へ動くことになる。
(上記記事より)

……といった経緯を、マイスターは全然知らなかったのですが、そうですか、進学されますか。これまでマイスターと桑田選手には、「母が巨人ファンである」というくらいの浅い関係しかありませんでしたが、大学進学を希望される受験生となれば話は別。陰ながら応援させていただきたいです。

ちなみに、大学に行くのに、正しい順序なんてありません。ぜひ、夢を叶えていただきたいと思います。

以上、本日のニュースクリップでした。

梅雨も明け、ようやく8月らしい気候になってきましたね。
セミが自己主張してます。
マイスターも、毎日汗だくです。

でもやっぱり、暑い夏って、いいですよね。何かが始まりそうな気になります。子供の時の夏休みの記憶があるからでしょうか。

今週も一週間、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

マイスターでした。