オープンキャンパスのサービスあれこれ

高校生の時、4ヵ所くらい、大学キャンパスを見学しに行ったマイスターです。

マイスターの高校では、高校3年の始め頃、生徒の大学見学のために平日2日間を休みにしていました。
その日に生徒達は、興味がある大学のキャンパスに私服で出かけて、普段の大学の様子を見てくるのです。ありのままの大学の姿が見られるので、受験を考えている生徒にとっては、いいシステムでした。

(どの大学に行ったかの報告義務はありました。また、万が一大学関係者に見咎められた時に見せる、校長名の入った「お願い状」も渡されていました。学校ぐるみで確信犯ですね……)

ところで、マイスターが通っていた高校は、ある大学の付属校でした。
ですのでこの2日間には、推薦進学を考えている付属校生のために「キャンパス見学会」も企画されていました。推薦を考えている生徒は、他大学ではなく、こちらに参加することもできるのです(行くか行かないかは自由)。

この見学会では、キャンパスの見学の他、各学科の教員による説明を聞くことができました。大学キャンパスと高校が隣接している学園も世の中には結構ありますが、マイスターの通っていた学校は離れているパターンでしたから、この見学会はちゃんと系列大学の中を見ることができる貴重な機会でした。

さて。

大学付属校ではあったものの、マイスターの高校は他大学への進学を狙うかそれとも推薦で上がるかで悩んでいる人間が結構いました。そういう人はたいてい、系列大学だけでなく、他の大学のキャンパスも実際に見てまわるのですね。例えば上述した2日間のうち、1日は系列大学の見学会に参加し、もう1日は他大学に参加する……とか、系列校の見学会が終わった後に、そのまま他大学のキャンパスに向かう……とかいった感じで、です。

「まぁ、推薦で大学に行ければいいかな。別にどっちでもいいや」

と言っていた人間が進路を変え、

「受験して、絶対にあの大学に行くんだぁ!」

なんて言い始めるのは、たいてい、この「大学見学休み」の後や、各大学のオープンキャンパス、学園祭に行ったりした後だったのです。

系列大学も、とても良い教育をするところなので、みんな推薦でも全然不満はなかったと思います。系列大学に行ったとしても、最低限のニーズは満たされたのです。

ところが実際にキャンパスを見てみると、「ニーズ」を超えたところで差が出るのですね。

系列大学が付属校生向けに行っていた「キャンパス見学会」というのは、内輪でひっそり行うイベントでした。教員がガイドで付いて、順番通りにキャンパスを見てまわる、見学ツアーでした。丁寧に説明を聞けるのはいいのですが、行動の自由がない上、学生が授業を受けている間に人の少ないキャンパスを見てまわるので、構内の「熱気」を感じることはできなかったのです。

一方、他大学を見てまわった生徒達は、普段の平日の学生達にとけ込んで、キャンパスのライブ間を体感することができたのです。学園祭やオープンキャンパスにいった人達は、ちょっとハイになった元気な学生達の姿を見ることもできました。

この違い。
ここで生まれる「体感温度の差」が、楽な推薦入学ではなく、困難を伴う「ご指名受験」へと、生徒達の気持ちを切り替えていたように思います。

そんなわけで、オープンキャンパスは大事です。
最近はどの大学も、このオープンキャンパスに趣向を凝らしているようです。

【教育関連ニュース】—————————————-

■「大学『見学会』花盛り…生き残りへ学生確保競争」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060714ur02.htm

■「受験生集め『夏の陣』 九州各大学でオープンキャンパス 全入時代説明に工夫」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20060717/20060717_004.shtml

■「高校生を囲い込め、全入時代目前に大学側サービス合戦」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060711i405.htm?from=main4
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「交通費補助などによって参加のハードルを下げる」
「参加すること自体が、何かのメリットになるような仕組みにする」

という仕掛けを作っている大学が増えているみたいです。

16日、第一薬科大(福岡市)であったオープンキャンパスには、北海道からも含め受験生と保護者約30人が参加した。福岡、佐賀両県以外からの参加者の交通費と宿泊費は大学側が全額負担している。就職状況や研究施設の説明を聞いた熊本マリスト学園高(熊本市)3年の尾崎幸弘さん(18)は「入学後は先生が丁寧に対応してくれそう」と無料で提供された学食のカレーをほおばった。
西日本新聞記事より)

日本文理大(大分市)は、県外の参加者のホテル代を負担するほか、受験する場合は受験料約3万円を免除。
西日本新聞記事より)

四日市大学(三重県四日市市)は今年、オープンキャンパスに来るための交通費補助を本格的に始めた。高校生と同伴の保護者(1人まで)を対象に、事前予約すれば在住地によって1万5000円~5000円を後日、指定口座に振り込む。定員枠はない。今年は8月2、26日と9月16日に開催する。
読売オンライン記事より)

武蔵丘短期大学(埼玉県吉見町)はオープンキャンパスに参加すると、入学手続き時に受験料相当額(3万円)を払い戻すサービスを2年前に始めた。「参加者のうち、かなりの割合が出願し、実際に入学する」という。
読売オンライン記事より)

神戸国際大学(神戸市)も受験料(3万5000円)が5000円引きになる特典がある。
読売オンライン記事より)

このように、「まずはどんな手を使ってでも来てもらおう」という発想は、大事です。

広報やPRを企画する際に大切なことは、「世の中の人間のほとんどは、自分達に興味なんて持っていない」という前提を持つことです。

よく「大学が社会に門戸を開き始めた」なんて言われますが、門戸を開くだけで止まってしまって、門の中に招き入れる努力を一切していないケースが目立ちます。例えば「社会人入試の仕組みを作ったのに、実際には社会人が全然入って来ない大学院」とか、多いのではないでしょうか。オープンキャンパスでも同じことが言えます。

「オープンキャンパスを開催する」
  ↓
「受験生がわんさか集まる」
  ↓
「志願者が去年より増加するはず」

みたいな前提でプロジェクトを進める担当者、いそうです。でも、肝心のイベント告知の方法が「webサイトに載せるだけ」とか「高校にポスターを配るだけ」とかだったりします。電車の車内広告も多いですが、例年と同じ方法、同じ媒体では、参加者の人数は減る一方です。
必要なターゲットに、より効率的にピンポイントに情報を届けるにはどうすればいいか? という方法を考え続けることが大切ですよね。(高校1、2年生もターゲットにしたオープンキャンパスなども、増えてきているのではないかと思いますが、受験生にアピールする時と同じ広報メディアを使っているケースが多いような気がします)

告知ポスターのキャッチコピーなども、非常に大切です。

「○○大学 オープンキャンパスは8月3日!」

みたいな告知の仕方だと、その大学にもとから興味がある人しか来ません。潜在的な顧客を掘り起こすことにはつながらないと思います。
そういう意図で企画されているのなら良いのですが、そうでない場合は、再考が必要です。

遠方からの参加者に交通費を支給するというのも、思い切った作戦です。
この交通費を使ってはるばる来てもらったとしても、見るのは自分の大学だけじゃないでしょう。当然、ライバル校のキャンパスもあわせて見に行くと思われます。
その結果、ライバル校に志願者を取られるなんてケースだって出てくるでしょう。でも、やらなければジリ貧になるから、やるわけです。

アメリカでは、かなり充実したキャンパス体験プログラムを実施している大学があると聞きます。数日間、大学の寮で生活をして、体験用の授業を受けるという内容です。
このプログラム、遠方からやってくる場合の飛行機代を負担するばかりか、体験している授業の受講料や、食事代なども大学が支給するケースがあるそうです。
ただし、「合格した場合は確実に入学する」という制約付きです。そんな海外の動きも、参考になるかも知れませんね。

東洋大学の白山キャンパス(東京都文京区)では、 “都心”をアピールしようと、説明会会場を高層校舎16階に設定している。
読売オンライン記事より)

↑こちらは、少しでもキャンパスイメージが記憶に残るようにしようという例。都心など、高層ビルキャンパスをウリにしている大学って多いと思うのですが、各校とも、こういう地道な工夫をしているでしょうか?

キャンパスの中でもっとも印象的な場所を会場にするというのは、結構、効果的だと思います。

地方の大学は、家族連れや友達同士で来られるように…という工夫に余念がありません。

長崎国際大(長崎県佐世保市)は、同市にあるハウステンボスに無料で入場できる特典を付けている。
西日本新聞記事より)

ハウステンボスがおまけで付いてくるオープンキャンパスです。受験生は夏に遊んでいるヒマないんじゃないか、という気がしなくもありませんが、早めの時期とか、高校2年生対象とかなら、大丈夫でしょう。

九州産業大(福岡市)では保護者にも気を配り、臨床心理士の教授が受験期に気を付けなければならない親の心構えを伝える講演会を企画している。
西日本新聞記事より)

このように、親をオープンキャンパスに呼ぶ試みは、効果的かも知れません。

その他、開催頻度を高めることで、参加者を増やそうという大学もあります。

麗沢(れいたく)大学(千葉県柏市)では6月から9月までの予定で、月1、2度の割合でオープンキャンパスを実施している。今月8日には約80人の高校生らが訪れ、在学生から入試対策や学部の説明を聞いたり、模擬授業を受けたりした。
受付では学生食堂を利用できる無料食券が配られ、大学オリジナルのクリアファイル(書類入れ)もプレゼントされた。同大学の担当者は「生の授業を体験し、志望校の一つに加えてほしい」とアピール。茨城県龍ヶ崎市からきた高校3年生、藤井竜太さん(18)は「実際に話をした先輩たちは優しい人ばかり。ぜひ入学したい」と話した。
読売オンライン記事より)

月に2回というのは、結構な頻度ではないでしょうか。オープンキャンパスというのは、広報課や入学課の職員だけでなく、全学の協力を得ないとなかなかできません。麗澤大学ではこの頻度で、模擬授業や、在学生からの説明も行っているわけですから、かなり全学的に気合いが入っています。

この他、従来のオープンキャンパスとひと味違った企画も、いくつか見かけました。

■「環境系大学進路相談会『えこみゅにけーしょん』 in 大阪」(EICネット)
http://www.eic.or.jp/event/?act=view&serial=9814&category=
■「京都の大学、出前講義も 学部選びの参考に『フォーラム』」(読売オンライン)
http://chubu.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyo060717_1.htm
■「横浜市内の大学と都市の魅力をPRする『学☆遊』フェア」(ヨコハマ経済新聞)
http://www.hamakei.com/headline/1756/

……このように、各校とも、「どうすればよりよいオープンキャンパスになるんだろう?」と、必死です。

オープンキャンパスを効果的に「結果」につなげるには、漫然と実施するだけではなくて、高校生の想いを惹きつけるような内容にすることが大切です。

と、その辺のことを書こうとしたら、もう文字数がいっぱいになってきました。
続きは明日にします。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 東京工科大学は今年から「オープンキャンパス」という名称から「キャンパスショー」というものに変えたみたいですね。
    詳細については私も未確認ですが、これから同様の大学が増えてきそうですね。

  • 当方は高校教員ですが、夏期も毎週のように説明会や体験入学を開催しています。多すぎるような気もしているのですが、一度増やすとなかなか減らすことができないものです。大学も教授がそこまでサービスをするのかというようなものもあります。厳しくて近づきにくいような風貌の大学教員はもういないのでしょうか。