・キャンパスをロケ地として使ってもらおう!(1)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50218808.html
今日は、↑前回の続きです。
「全国の大学は、どのくらいロケに使用されているのか?
どんな大学が使われているのでしょうか?
ロケ隊は、どういった点を重視して、ロケ地となる大学を選んでいるのか?」
でしたね。
そこで、前回ご紹介した、この「全国ロケ地ガイド」の出番です。このサイトで、ロケ地としてよく使われている大学を調べてみました。
■「DB検索:ロケ地データベース検索」(全国ロケ地ガイド)
http://loca.ash.jp/htm/search.htm
ロケ地検索に「大学」と入れると、228件ヒットします(2006年7月6日現在)。実際には大学構内じゃない結果もあるので、それらを除き、ヒット件数の多い大学を調べた結果が、↓こちらです。
【ロケ地としてよく使われている大学】
東海大学: 16件
昭和女子大学: 14件
武蔵工業大学: 7件
国際基督教大学: 6件
信州大学: 6件
東京工科大学: 6件
ルーテル学院大学: 5件
首都大学東京: 5件
東京大学: 5件
立教大学: 5件
拓殖大学: 6件(ロケ地検索で、「大学」と入力した結果をもとに、マイスターが集計)
いかがでしょうか。
東海大学と昭和女子大学が圧倒的ですが、これは実を言うと、ほとんど大学病院です。信州大学も同様です。
病院のシーンが出てくるドラマや映画って、かなり多いですよね。大学病院も、撮影を支えているというわけです。この撮影回数は、大学側もかなり協力的な姿勢をとっているということでしょう。
※ただ、ドラマ『白い巨塔』の撮影舞台になったのは、川崎市立川崎病院、神奈川大学、東京薬科大学、大和成和病院、東京共済病院、川崎市立井田病院、白百合女子大学などだそうです。この作品に限っては、大学病院はみんな、ロケ地になるのを嫌がったのかも知れません(笑)
というわけで、純粋な「キャンパス風景」という意味では、武蔵工業大学、国際基督教大学(ICU)、東京工科大学などが、よく使われているということになりますね。(武蔵工業大学は、すべて「横浜キャンパス」です)
■武蔵工業大学環境情報学部 キャンパスマップ
http://www.musashi-tech.ac.jp/CampusMap/yc.html#campusmap
■「キャンパスマップ」(国際基督教大学)
http://www.icu.ac.jp/campusguide/index.html
■「教育・研究環境 概要:八王子キャンパス」東京工科大学
http://www.teu.ac.jp/gaiyou/kankyo/index.html
面白いのはICUです。実を言うとこの大学、ロケ地として使われてはおりますが、「大学キャンパス」という設定で使われた例は一件もありません。「素敵な並木道」とか、「森の中の図書館」とか、別の設定で使われています。
ICUは、「大学らしさ」を期待されてロケ地に選ばれているのではなく、単にイイ感じの素敵な風景だから選ばれているのですね。
(それはそれで逆にスゴイですよね……)
東京工科大学は、画面に出てきたら一発でどの大学かわかりそうなくらい、デザインが特徴的なキャンパスです。このキャンパスを映像の舞台に使うのはどんなケースだったんだろうと思って調べたら、↓こんな使われ方をしていました。
○恋人よ:宇崎航平が教師をしている学校、渡辺美緒が通う学校
○ブラックジャックによろしく:永禄大学医学部
○仮面ライダー555(ファイズ):山手音楽大学
○特捜戦隊デカレンジャー:アリエナイザーが現れた大学
○神はサイコロを振らない:神蔵竜蔵が綾瀬翔一を見に行ったグランド
○仮面ライダーカブト:仮面ライダーザビーがワームと戦った場所(「ロケ地データベース検索」(全国ロケ地ガイド)の検索結果より。それぞれリンクをクリックすると、どの場所が実際に使われたのかがわかります)
なんだか、特撮モノの舞台になっていることが多いような……。
キャンパス中央の、特徴的な左右対称デザインの建物がよく使われていますね。
ロケ隊は、キャンパス全体のなんとなくの雰囲気というより、この建物の醸し出す近未来的なイメージが目的でロケ地に選んでいるのではないかと思います。確かに、街中ではまず見かけないデザインですからね。
東京工科大学の学生さんは、休日にこの建物の前に行くと、仮面ライダーと怪人が戦っている場面に遭遇するかも知れませんが、ロケなので慌てないように。
さて、武蔵工業大学です。ここは上記の2校とは、ロケ地に選ばれている理由が若干違うようです。ロケ地として使われている事例すべてが「横浜キャンパス」なのですが、マイスターが思うにここは、ICUや東京工科大学ほど、個性がハッキリしたキャンパスではありません。
実はマイスター、実際にこのキャンパスに行ってみたことがあります。新しくてとてもキレイなのですが、東京工科大学ほどインパクトのあるデザインというわけではないのです。
では、何故ロケ地に選ばれるのか。マイスターが思いつくのは、↓こんな理由です。
(1)「今時のきれいな大学キャンパス」という雰囲気がストレートに伝わる。映像にした時、特に説明しなくても「あ、大学構内だな」とわかってもらえるような風景である。
(2)周囲が住宅地なので、大学の建物以外、背景に余計なものが映りにくい。
(画像)http://www.musashi-tech.ac.jp/FEIS/Facilities/index.html
ロケを企画する側になるとわかるのですが、ロケ地にとって重要なのは、
「○○っぽい」
というイメージがわかりやすく出せること、です。
例えば、「大学のキャンパスライフのシーン」を撮影するなら、一目でそれとわかるような、「大学らしい雰囲気を持ったキャンパス」が望ましいのですね。
武蔵工業大学横浜キャンパスがロケ地になったケースを見てみると、↓こんな設定で使われているのがわかります。
○可愛いだけじゃダメかしら:杉山ゆう子や谷口せつ子の通う「若葉女子短期大学」
○ナオミ:藤堂直海の勤める学校「私立天晴学園高等学校」
○ダイヤモンドガール:セクハラ事件があった東都女子大学
○松山・道後~十七文字の殺人:山下教授の通う星南大学○エースをねらえ!:岡ひろみたちが通う「神奈川県立西高等学校」
○めだか:桜木拓が受験した東明大学○トップキャスター:「白い巨塔疑惑」があった恵和医科大学病院
ICUや東京工科大学と違って、こちらはズバリ「学園の風景」として使われているのです。
映像関係者にしてみると、学園生活の映像として使いやすい風景だということになります。
3校とも、それぞれ使われ方は違うけれど、映像関係者達が表現しようとしているニュアンスに沿った風景だったから、ロケ地として選ばれているわけです。
つまり何が言えるかというと、
映像制作者側の意図に沿えば、いかなる大学でも、ロケ地候補になる可能性はある
ってことです。
今回の事例は、3校ともキレイなキャンパスでしたが、別にキレイで新しいキャンパスだけがロケ地に選ばれるというわけでもないのです。
オフィスでのプレゼン風景や、国際会議のシーン、都市の夜景の背景にしたシーンが撮影したかったら、都心のビル型キャンパスがロケ地に選ばれるかも知れません。
キャンパス内には、色々な場所があります。
講堂、階段教室、廊下、学食、カフェ、広場とベンチ、屋上、化学実験室、物理学実験室、大学病院、等々。
そのどれもが、ロケ地の候補になる可能性があるんだとお考えください。
ロケ隊は、自分達が作ろうとしているイメージにあった場所を、常に探しています。
大学キャンパスというのは閉鎖された空間ですから、街中に比べれば撮影作業自体は進めやすいはずです。
となると、あとロケを大学に誘致するために必要なことは、例えば以下のようなことです。
【大学として、受け入れを歓迎する姿勢を打ち出す】
前回の記事でも書きましたが、広報部が受け入れを表明していても、施設管理部が協力的でなかったら、撮影はうまくいきません。
教員や在学生が撮影に協力してくれず、撮影の邪魔になったりしたら、やっぱりロケ地としては敬遠されます。
また協力してくれるのはいいけれど、手配や準備の手際が悪い職員が多いと、撮影がその分遅れますから、やっぱりよくありません。官僚的なマニュアル対応ではなく、「全面的に協力しますよ!」という姿勢で、あれこれ融通を利かせてくれる広報担当者がいる大学だと、ロケ隊も安心して撮影ができるというものです。
最高なのは大学側に「ロケ受付担当」という担当者を設けることですが、そこまでは難しいでしょうから、各部門が連携して、なるべく柔軟に対応してあげましょう。
ロケ地情報は、映像関係者の間で口コミ的に広まることもあると思います。
「あの大学は対応がいいから、ロケ地にはいいよ」
「あそこはおしゃれだけど、大学があんまり協力的でなくて撮影は大変だから、やめときな」
なんて評判も流れるはずです。もしロケを積極的に誘致したいのでしたら、親切な対応をするのが吉です。
キャンパス内にどんな風景があるのかを、webサイトに掲載しておく
ロケ担当者は、ロケの候補地を探す際、ある程度アタリを付けてからロケハン(前回の記事参照)に行きます。
この大学は写真で見る限り今回のドラマの舞台として使えそうだな、とか、この大学のこの校舎は正面から撮るといかにも「象牙の塔」っぽくていいな(笑)、とか、おおよその検討をつけて候補地を絞った上で、その場所に行って確認するのですね。
そのときおそらく、もっとも参考にされているのが、webサイト上の画像です。
映像関係者も忙しいですから、最初はwebで調べるはず。ですから「キャンパス百景」みたいな地味な写真集が、ロケ担当にとってはありがたい資料になっていたりするのですね。
ロケ担当専用のコンテンツを作れとは申しませんが、キャンパス内の色々な風景をなるべくたくさん画像で紹介しておくと、ロケ担当が候補地に選ぶ可能性は高まります。
他にも、ロケ隊を誘致するための手立てとしては様々なことが考えられますが、とりあえずこの辺にしておきます。
最後に。
大学をロケに使ってもらう理由は何でしょうか。
別にドラマの舞台になったからと言って、高校生が受験してくれるわけではありません。宣伝にはならないと思います。
かといって、教育や研究の役に立つわけでもありません。
では、苦労をしてまで、どうしてロケを誘致するのか。
マイスターは、
「学生や教職員、OBといった学園の構成員と、社会とをつなげるPR(Public Relation)構築」
になる、というのが、大きな理由になると考えています。
自分の母校がドラマに使われたら、うれしいでしょう?
思わず周囲に「あれ、わたしの出た大学なんだ」とか、自慢したくなるでしょう?
自分の家の近くの大学が映画の舞台になっていたら、楽しいでしょう?
「俺んちの近くの大学がさぁ、あの映画に使われてんだよー」
とか、会話が弾みませんか?
結果的に、その大学の印象がちょっと楽しいものになったり、身近なものになったりすれば、まずはそれでいいんじゃないかな、と思います。
PRと大げさに書きましたが、要はそういうことが、案外社会から評価されているんですよということです。
それともう一点。
大学というのは、実はかなり色々な見られ方をしている機関です。
高度な学術機関だというだけではなく、人によって、あるいは大学によって、
「チャペルのあるおしゃれな公共空間」だったり、
「4年間の想い出のつまった場所」だったり、
「商店街の名所」だったり、
「地域の誇り」だったり、
色々な側面を持っているのが、大学です。
一般の人々から見たら、こんな多彩な表情を持つ大学のキャンパスですが、しかしそこで働いている教職員達は、普段余りこうしたことを意識しません。
どうしても「大学とはこうあるべきだ」のようなとらえ方が先行してしまって、それ以外の身近な魅力に気づかない方が多いように思います。
そこで、キャンパスがロケ地として使われることで、ドラマの中で意外なキャンパスの一面を発見したり、あるいは一般の方々から普段とは違った感想をいただいたりしたら、教職員達の意識が、また少し広がるんじゃないかと思うのです。
一般の方々からは、こんな風にも見られているんだ。
社会と、こんなところでもつながっているんだ。
そんな発見ができたら、それだけでロケ誘致の効果があったんじゃないかと思います。
ですからもしロケが来ることになったら、せっかくですからヒマそうな学生をエキストラとして使ってあげたり、ロケの様子を後日、大学webサイトのニュース欄に掲載してあげたりすると、より皆が、社会とのつながりを意識できて良いんじゃないかな、なんて思います。
こういった気長な目的のために時間と手間を割いて、上述したような苦労ができるかどうか。これは、大学によって考え方が分かれるところでしょう。
でも、苦労してでも試しにやってみたら、きっとみんなから感謝されるんじゃないでしょうか。
以上、マイスターでした。
はじめまして。
ロケ地検索サイト『ろけすた』を運営している竹内と申します。
ただいま撮影に協力いただける学校を探しております。
ネットで調べていたところこちらのブログに辿りつきコメントさせていただきました。
よろしければ弊社のロケ地検索サイトに『ろけすた』に施設の掲載の検討をお願いしたく思います。
宜しくお願いいたします。