ニュースクリップ[-6/4] 「大学発ベンチャー累計で1500社超す、地方大学で健闘」ほか

クールビズ解禁を待ちこがれていたマイスターです。

すっかり暑くなりましたもんね。
皆様も、もうノーネクタイでしょうか。

それでは、今週も日曜日恒例、ニュースクリップをお届けします。

大学発のベンチャー、続々と増えてます。
■「大学発ベンチャー累計で1500社超す、地方大学で健闘」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060529AT2E2900X29052006.html
■「『平成17年度大学発ベンチャーに関する基礎調査』について ~大学発ベンチャー設立数1,500社突破~」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/economics/20060530/20060530_002.shtml

経済産業省は29日、大学発ベンチャーの累計設立数が3月末時点で1503社になったと発表した。バイオ分野や地方大学での企業設立が目立ち、株式を上場している企業は16社になった。同省は直接的な経済効果を雇用者数が約1万6000人、売上高は2000億円弱とみている。
業種別ではバイオ分野が約38%、ソフトウエアが約30%を占めた。(NIKKEI NET記事より)

というわけで、大学発ベンチャー企業、増えています。

経済産業省のリリースでは、さらに、

間接的な経済波及効果も含めると、売上高は約3,600億円、雇用者数で約2.6万人と推計されます。
また、大学発ベンチャーの半数は研究開発段階にあり、事業ステージを7段階に分け進捗状況を見てみますと1/3の企業は、事業ステージが昨年度から進展していることが判明しました。
なお、平成16年度調査(1,112社)から大学発ベンチャーの設立数は約390社増加(純増約140社、新たに確認されたもの約250社)しました。これは、(1)設立されてから大学への設立報告等にタイムラグがあり、スタートアップ時に大学発ベンチャーを把握するのが困難であること、(2)各大学に産学連携部門が整備され、大学発ベンチャーを把握する土台が整ったこと等によるものと考えられます。(経済産業省「『平成17年度大学発ベンチャーに関する基礎調査』について(PDF)」より)

…という分析も。各大学の産学連携部門も、一役買っているとのこと。
米国などと比べるとまだまだでしょうが、それでも経済波及効果や雇用創出への影響など、少しずつ着実に成果を上げているのですね。

大学発のブランド製品も、続々と増えてます。
■「山梨大学、ワインのブランド化に向けて人材育成」(BRI ブランド総合研究所 地域ブランドNEWS)
http://tiiki.jp/news/org_news/05chubu/2006_06_28yamanashiuniv.html
■「北海道大グッズの販売店『エルムの森』が学内にオープン(北海道)」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060526wm03.htm
■「松本大学、学生が栽培した『もち米』をブランド化」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20060517c3b1704y17.html
大学発の製品、最近、多いですよね。研究成果を元にしたものや、教育の一環として学生の手で開発されたもの、あるいは大学の広報のために準備されたものなど、色々です。

農学系の大学では以前から、教育や研究の副産物としてキャンパス内の農場や牧場で収穫される生産物を開発・販売していたところも多かったのですが、最近はそうしたケースに限らないようです。

松本大学は、観光ホスピタリティ学科の授業の一環であるとのことですし、山梨大学の取り組みは、文部科学省が推進する平成18年度科学技術振興調整費「地域再生人材創出拠点の形成」の拠出事業です。
こうした取り組み、個人的にはとても興味深いです。

■「京都工芸繊維大学、京ブランドの源泉を学ぶ講座を実施」(BRI ブランド総合研究所 地域ブランドNEWS)
http://www.tiiki.jp/news/org_news/06kinki/2006_05_28kyotokougei.html

↑こんな記事もありました。大学で地域ブランドを学ぶ試みには、様々な可能性があると個人的には思います。

疑惑の人。
■「文部科学大臣賞を受けた洋画家に盗作疑惑」(nikkannsports.com)
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20060529-38452.html

様々なニュースで散々報道されたので、みなさまもご存じのことでしょう。
盗作や剽窃などの問題は、判断が難しい場合が多いのですが、このケースは「誰がどう見てもまったく同じ作品」ですからね……文部科学省もさぞ困ったと思います。
マイスターもお二人の絵画の画像を並べて比較しているニュース番組を見ましたが、コピーペーストしたかのような大胆な作風に、のけぞりました。

権威ある百科事典、生き残りをかけて試行錯誤?
■「ブリタニカ、大学向けオンライン百科事典、国内大学の半数への導入目指す」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20128087,00.htm

かつて百科事典は、知的な作業をする際の情報ソースとして欠かせないものでした。しかし、インターネットとWWWの出現が、百科事典の存在をすっかり危ういものにしてしまいました。中でも「ブリタニカ百科事典」は特に権威があるものとされていましたが、最近はフリーのオンライン百科事典「Wikipedia」と比較されるなど、その威光は以前と比べてパワーダウンしている様子。数人の選ばれた権威が執筆を行うよりも、全世界の人々が結集して知を紡ぎ出す行為の方が、最近では人気のようです。
少なくとも、滅多に百科事典など開くことのない一般生活者にとっては、Wikipediaの方がはるかに使いやすいメディアであることは、今や疑いがありません。

そこで、より正確で裏付けのとれた情報を欲する人々、つまり大学の関係者に対して、ブリタニカがこうしたサービスを始めたわけですね。危機感を抱いているのでしょう。

知識、情報、権威といったものの価値が、メディアの変遷で大きく揺らぐというこの事例、大学という知的生産機関に努めるマイスターにとっては、とても気になるところです。

(参考)
■「『Wikipediaの情報はブリタニカと同じくらい正確』–Nature誌が調査結果を公表」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20093147,00.htm
■「ブリタニカ、Nature誌に反論–Wikipediaの正確性に関する調査を非難」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20099356,00.htm

キャンパス内の安全を確保するために、工夫しています。
■「金大生の“駆け込み寺”に 大学敷地内にサークルK 土地を無償で提供 8月28日、営業開始」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/00/ikw/20060531/lcl_____ikw_____003.shtml

金沢大は三十日、角間キャンパス(金沢市角間町)から金沢市もりの里、若松町周辺につながる県道沿いの大学敷地内にコンビニエンスストア「サークルK金沢大学店」を誘致し、八月二十八日に営業開始すると発表した。出店地は大学と、多くの学生が暮らすもりの里地域の中間にあたり、不審者の出没情報が絶えないことから、夜遅く帰宅する学生の緊急避難場所としての役割も込められている。
金大によると、国立大学法人のキャンパス内を通る公道に面したコンビニ出店は全国でも初めてという。(上記記事より)

大学キャンパスは、学生にとっては生活の場。どの大学でも、実験などで遅くまで残っている学生は少なからずおられると思います。
一方、緑の多い広大な大学キャンパスには、不審者が容易に入り込めてしまうというのも事実。夜遅くに通行する学生さんの安全をどう確保するかというのは、各大学の課題でしょう。

金沢大学では、キャンパス内を通る公道にコンビニを誘致。これなら学生さんや教職員に安心を与えられる上、利便性も向上しますよね。

店舗の外観は自然が多い周囲の環境に配慮したデザインになる予定。通常の物販のほか、店内でインターネット接続ができたり、店で買った品物を店内で食べられるスペースも設けられる。(略)金大は「学生や地域住民の交流の場としても利用していきたい」と話している。(上記記事より)

問題を解決する方法に、他のメリットを組み合わせる工夫もいいですよね。こうした取り組みは、ぜひ参考にしたいところです。

「俺の出身は○○女子大学です」って、アリ…?
■「女子大のまま男子に門戸 中京女子大が全国初」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060604/mng_____sya_____005.shtml

中京女子大では付属高校が2005年度、「至学館高校」と名称変更して男女共学に移行。そのため、大学でも一部の学科で男子を受け入れることにしたそうです。ただし、「女子大学」という名称は変えずに、です。

大学名変更も検討したが、「中京地区の女子大ではなく『中京女子大』という固有名詞の大学」という考えから、当初から「中」「女」は外さない方針に。「『中京女子』大学」「中京女子・大学」「中京女子☆大学」「中女大学」などを候補に論議を重ねたが、当面は現在のままにして、男女共学の理想的なモデルができた後、あらためて大学名を検討することで落ち着いた。
(上記記事より)

「中京女子☆大学」にならなくて本当に良かったです。(一体どんな案ですかコレ!?)

本件は、非常に珍しいケースですね。
女子大が共学化した結果、元々の個性が薄まってしまうというのは確かに聞く話。「中京女子」というブランドを守ろうという考えはわかります。
ただ、それは経営者側の都合。「共学なのに女子大」という状況がしばらく続くのは、大学選びをする受験生(&その親)にとっても、これからここで学ぶ男子学生にとっても、メリットはあまり無いのではないでしょうか。(仮に、「中京女子」の名前を残して!という卒業生からの意見が強く、無視できなかったのだとしたら、そもそも共学化することが間違いだと思いますし…)

「男女共学の理想的なモデルができた後、あらためて大学名を検討」というのもあいまいです。それは一体いつなのでしょうか。半端に先送りするくらいなら、混乱を避けるよう、このタイミングで新しい大学名を付けた方が良かったのではと思います。
(その間に卒業した男子学生は、一生「中京女子大学卒」という学歴を背負っていくわけですし…)
広報的な視点で言ってもこの場合、広報のデメリットの方が、ブランディングのメリットより大きいのではないでしょうか。

男子受験生にとっては少し抵抗がありそうだが、谷岡学長は「女子大の名を気にしない度量の広さがあるかどうかを測るハードルになる。日本一元気で明るい中女学生の仲間にふさわしい男子に入ってもらいたい」との期待を込めている。
(上記記事より)

学生側の度量の問題なんでしょうか? 個人的に、この発言にはちょっと疑問を覚えないでもありません。

以上、今週のニュースクリップでした。

クールビズ期間は、一応6月1日からとされていますが、実際には先月末から暑かったですよね。
その結果、5月31日までは冷房を付けて正装で過ごし、6月1日になったら一斉にクールビズ姿で「我が社は地球環境を配慮し、省エネのためにクールビズを導入しています」なんて言ってのける会社や官公庁、大学も少なからず出現したのではないでしょうか。

マイスターもなんだかヘンだなと思いながら、一応5月31日まではネクタイをしてましたが、「6/1からクールビズ」ってのは、一種のキャンペーンであって、別にルールでもなんでもないんですよね。ですから本当に地球環境のことを考えている組織であるなら、5月中であっても、暑くなった時点で社員にネクタイを外させればいいはずなんですが、恐らく日本のほとんどの組織はそうせずに、律儀に6月まで待っていたのでは…?

自分も含め、日本ってつくづく、周囲の目、世間の目を気にしながら生きる社会なんだなぁと感じた月末でした。

今週も、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
来週も、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。